アップルアカデミーの昼休み。自分はリオルとヨーギラスを連れ歩きながら、ラミアとメーの二人と一緒に校舎の庭を歩いている時のことだった。
教室を出た時から、自分は不埒な視線を感じ取っていたものだ。その直感は正しかったようで、少し距離を空けた場所から、銀嶺会と思われる二名の不良生徒が睨みを利かせながらついてきていた。動向を探るというよりは、何か内側に秘めた感情が動力源になっているようなオーラを漂わせていたため、自分は開けた校舎の庭に出るなり彼らへと振り返りながら言葉を投げ掛けていく。
「何か用かな?」
ラミアとメーも振り返り、迷惑そうに顔をしかめながら見遣っていく。そんな彼女らの表情などお構いなしといった具合に二名の不良生徒が近付いてくると、相手をなめるような視線を向けながら脅すような調子で言葉を返してきた。
「図に乗るんじゃねぇぞ、カンキ。何が表彰だ、カッコつけて英雄を気取ってんじゃねぇよ。こちとら潰そうと思えば、お前如き簡単に潰せるんだからな」
「どうやら林檎探偵俱楽部の部長と仲良くやってるみたいじゃんなぁ? 人の気も知らないで堂々と
自分は適切な言葉を探るべく思考した。その間にもラミアとメーが不愉快そうな眼差しで彼らを見遣っていると、直にも一人の不良生徒がモンスターボールを取り出しながらそれを口にしてきた。
「銀嶺会を差し置いて目立とうってんなら、それだけの覚悟があるんだろうなぁ!? その鼻っぱしへし折って、別の意味で目立たせてやるよ!!」
それを言うなり、不良生徒がこちらに向かってモンスターボールを投げ付けてきた。顔面
に目掛けて飛んでくるボールに自分が身構えていく傍ら、足元にいたリオルが咄嗟に飛び出すことで眼前のそれを弾き返していく。
弾き返されたモンスターボールが衝撃で開くと、中からはイシツブテが現れた。続けてもう一人の不良生徒がモンスターボールを投げ付けると、サボネアを繰り出しながら命令を下していく。
「サボネア! ミサイルばり!」
有無を言わさぬ奇襲攻撃だ。サボネアが突き出した両腕からミサイルばりを撃ち込んでくる。対象はトレーナーである自分であり、前方から飛来してきた無数の攻撃に対して引き下がりながら指示を送った。
「ヨーギラス! がんせきふうじ!」
足元にいたヨーギラスが岩を生成し、それを発出することでミサイルばりを打ち消していく。だがイシツブテを繰り出した不良生徒は、ヨーギラスに指示を送るこちらへと攻め立てるように技を命令してきた。
「ロックブラスト!」
「リオル! メタルクロー!」
イシツブテもわざエネルギーで生み出した連続攻撃を発射し、トレーナーであるこちらに向かって攻撃を仕掛けてきた。しかしリオルが俊敏な動作で立ち塞がると、鋼鉄を纏った両腕でロックブラストを鮮やかに捌き切る。
だが、片方にばかり集中していられない。視界の中の情報量に対して自分の意識が分散されていくその最中、サボネアが動き出すなり続けざまに攻撃を繰り出してくる。
「サボネア! すなかけ!」
「ヨーギラス! あなをほる!」
サボネアのすなかけを、ヨーギラスはあなをほるで回避した。その間にもイシツブテを使用する不良生徒が相棒ポケモンへと命令を行ってくる。
「イシツブテ! じならし!」
「リオル! みきり!」
イシツブテがじめんを叩き付けると共にして、校舎の庭は亀裂を伴いながら震動を巻き起こす。それがリオルへと差し迫るものの、彼女は脱力した無意識的な身軽い動作でじならしを回避してみせた。
一方で、地中に潜ったヨーギラスはそのままサボネアへと急襲を仕掛けるが、相手もまた戦況を把握しながら適切な指示を送り出してくる。
「ねをはる!」
サボネアが校舎の庭に根を張り、ヨーギラスの攻撃に身構えた。足元の地面が膨れ上がると同時にしてヨーギラスは突撃をかましていくのだが、サボネアはねをはるで浮き上がらずに攻撃を耐え凌ぐと、突撃の衝撃で宙に舞い上がったヨーギラスに向かって反撃の一手を講じてくる。
「サボネア! タネマシンガン!」
「リオル! でんこうせっか!」
サボネアが両腕を構えてヨーギラスに攻撃を撃ち込もうとした瞬間、みきりによって跳躍していたリオルは空中で軌道を変えながらサボネアに突撃した。
横からの攻撃によって技が中断されたサボネアが吹き飛んでいく傍ら、イシツブテがリオル目掛けて攻撃を繰り出してくる。
「イシツブテ! ころがる!」
「ヨーギラス! てっぺき!」
リオルに向かって転がり始めたイシツブテだが、彼女に接触するその直前で動きを止めていく。
ヨーギラスがリオルを庇い、てっぺきで受け止めていた。そのまま相手を弾き返したヨーギラスはリオルと背中合わせになって佇むと、双方を挟むように対峙するサボネアとイシツブテは一斉になって襲い掛かってきたものだ。
「サボネア! エナジーボール!」
「イシツブテ! すてみタックル!」
「ヨーギラス! がんせきふうじ!」
イシツブテ方面に向いているヨーギラスが頭上に無数の岩を浮かび上がらせていく最中、自分は続けてリオルに指示を繰り出していく。
「リオル! はっけい!」
サボネア方面に向いているリオルは、指示を受けるなり後方へと軽やかにバク転した。
身軽な動作でヨーギラスの真上を飛び越えながら、ヨーギラスの前方からすてみタックルで迫るイシツブテに対してはっけいで迎撃していく。一方でヨーギラスの背面から迫るエナジーボールは発出されたがんせきふうじによって打ち消されると、ヨーギラスは振り返りながら残りの岩石をサボネアに撃ち込み始めた。
ねをはるで地面に固定していたサボネアが、撃ち込まれるがんせきふうじをエナジーボールでなんとか応戦していくその最中、すてみタックルを繰り出したイシツブテはリオルのはっけいによって完全に食い止められていく。相性抜群の攻撃を食らったイシツブテは後方へと吹き飛ばされると、リオルは即座にでんこうせっかで後を追い、追撃のメタルクローで戦闘不能まで追い込まれた。
リオルの猛攻が邪魔されないよう、ヨーギラスはがんせきふうじでサボネアを足止めしていた。だがリオルがイシツブテを倒したことで余裕が生まれると、ヨーギラスは再びがんせきふうじを浮上させることで足場を生み出していく。
その浮上した足場に向かって、リオルは天高く跳躍した。そして岩を飛び移りながらサボネアに接近すると、頭上からのはっけいという強襲でサボネアに攻撃を直撃させた。
ねをはるで位置を固定していたサボネアは、その場で持ち堪えながらリオルへと反撃のミサイルばりを食らわせようとする。しかし直後にもサボネアの足元が膨れ上がると、あなをほるによって地中から飛び出してきたヨーギラスの攻撃を食らうことでサボネアは立ちながら戦闘不能になった。
戦闘終了。二名の不良生徒が不服そうな表情を見せていく中、リオルはヨーギラスにハイタッチを要求することで二匹は勝利のタッチを交わしていった。