黄金の精神に憧れて 作:にわかジョジョ好き
あまりジョジョ要素はありませんが、ここぞと言う時にどんどん出していこうと思います。
シドの被験者となってから早数週間。今までの体と全く違う自分の身体にギクシャクしつつも、何とか力の使い方を学ぶ事が出来た。
それからもシドとの交流は続き、盗賊を一緒に倒して更生させる。シドは最初殺す事しかしなかったが、ここは俺の家が統治する領地。こちらの方針に従ってもらうのが普通だ。でなければ、他の領地で領主の子息が暴れまわっていると大問題になりかねない、と脅してやる事で大人しくシドをさせているのだ。……決して、無理やり肉体改造された事を根に持っている訳ではない。断じて。
そして、今日も今日とて深夜の盗賊狩り。しかし、今日は少し違う光景が広がっていた。
「……シド。コレ見てみろ」
「何かな?……あー、これは」
檻の中に入れられた異型の存在。ヘドロのように蕩けている肉や所々見える髪の毛の跡。間違いない、
「初めて見たな。これが元々人の形をしていたって?」
「らしいよ。でも魔力が内側から暴走して人の形を保てないって事でしょ?……ちょっといいこと思いついちゃった」
「……嫌な予感」
シドはあれから肉体改造にハマったのか、俺の身体を(無理やり拘束して)被験者として人体実験を行っている。最初のような過激なものでは無いが、あれしてこれしてと俺の身体は全身全てがシドによって改造されることになった。これでは人造人間と変わりないのでは無いだろうか。
俺へのアプローチを自分の身体にフィードバックしてシド自身も肉体改造の最適化を行っているようで、前世という繋がりがなければ最も縁を持ちたくない程嫌な奴としてシドは俺の中で確立してしまっていた。これはもう好意的には見れんぞ。
「ほらほら、
「……分かった。この子のためだからな。協力しよう」
背に腹はかえられない。悪魔付きと呼ばれる存在はこの後教会によって処分される事になる。助かる命があるのだから、それを見捨てるなんて俺には出来ない。
俺は魔力の再現性という探求の中で、波紋に類似した使い方をマスターした。シドが肉体改造を施してからというもの、俺の全身は魔力で満ち満ちていた。それを他者に流す事で、まるで波紋法の様に他者の生命エネルギーの活性化が可能になった。魔力が波紋の代用として、俺のイメージの中で当てはまったのだ。魔力で傷を癒す事が可能。即ち、魔力とは人体にとって生命エネルギーと同等。この世界での波紋の代わりになるのは必然であった。
二人同時に魔力を悪魔付きに流す。シドが蠢く魔力を整え、俺がその魔力を押え付ける為の肉体を構築する。構築すると言っても、魔力が元の身体に戻ろうとしているので、その流れに沿って身体を作るだけ。難しい話ではない。
徐々に身体が再構築されていく。肉塊だった体が、青白い光に包まれながら腕に、足に、身体に戻っていく。
そうして、再構築できた身体は
「……わーお。戻っちゃった。……どうしよう?」
「……とりあえず、秘密基地にでも連れてくか」
ウチの領地で見つけた小さな小屋を、俺達は秘密基地として間借りしている。かなり中は荒れてたので長年放置されていたんだろう場所だったので、一度綺麗に掃除してから使用している。
エルフの少女を小屋に寝かせ、行き当たりばったりでやってしまった悪魔付きの治療について俺達は話し合った。
「……さて。ぶっちゃけ今日やってみて分かったんだけど、悪魔付きって要は魔力暴走しただけなんだよねって」
「と言うと?」
「体から溢れる魔力が多過ぎて、魔力を抑える役割をしてる身体が保たれなくなった。だから、魔力暴走によって肉体が変化してるってこと」
「……シドに散々やられた肉体改造的なってことだな」
「まだ根に持ってるの?いいじゃん強くなったんだからさ〜」
まあ否定はしないが。おかげで波紋もどきの事を魔力で出来るようにはなったけど。
けれど、感覚としては悪魔付きの状態は俺達が自分の身体に施した肉体改造と似たり寄ったりな感じだ。ただ単に、魔力で肉体を変えられたか変えられなかったかの違いなのだから。
「それを外付けとはいえ、魔力を流し直すことで整える事が出来るようになったのか。魔力の再現性の高さを感じるよ」
「でもその魔力の影響でこうなってるわけだからさ、問題は魔力の扱い方だよね」
「実際悪魔付きが今回の様に俺達の手で戻せるかどうかっては分からない。再現性も肝心だが、制御においてもしっかり着目しておかなければならないな」
「……やっぱり下地の肉体を強化すべきなんじゃないかな?」
「それはそうだが……。積極的にやりたいと思うのは多分シドだけだ」
「え〜?ジョジョだって肉体改造ノリノリだったじゃん」
「あんなに弄り回されるとは思わなかったよっ!他人の体なんだからもうちょっと加減ってモノをしてくれよ!」
「そ、そんな怒んないでよぉ〜」
本当にあれは辛かったんだからな。思わず失禁してしまうぐらいの痛みだったんだぞ。一生引き摺ってやる。
俺たちが悪魔付きについて話している最中、件のエルフの少女が身悶えた。多分意識を取り戻したのだろう。
「……お。彼女目を覚ましそうだぞ」
「……あ、やっばい。どうしよう……」
「?どうしよって、何も変なことする必要なんて」
「いや、丁度いいから僕の事情にも付き合ってもらおうかな」
「事情?一体なんの話を」
「いいから、合わせて合わせて」
シドはそう言うとスライムをマントに変え、窓辺に足を組んで座り込んだ。俺は唖然とその場に立ちつくす。何がしたいんだシドは。
「……ここ、は?えっ?」
「……えーと、やぁ」
金色の長い髪の間から覗く青い瞳。その瞳が俺の姿をバッチリ写した。エルフだから綺麗所ばかりだとは思っていたが、本当に綺麗な少女である。
俺は一瞬見とれてしまい、思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
「……ふふふっ、目が覚めたようだな。英雄の末裔よ」
「……英雄の、末裔?」
英雄の末裔?なんだそれは。そんなの知らないし聞いた事無いぞ。
エルフの少女はその言葉に首を傾げ、俺も内心何を言っているんだと困惑している。
しかし、シドは言葉を続ける。
「君の身体を蝕んでいた呪いは解かれた。君はこれで、自由の身となった」
「……っ、悪魔付きになったはずの私の身体が、元に戻って……っ」
エルフの少女の目尻から、涙が滲み出ていた。涙を浮かべるほど、現実に対して情緒を動かされているのだろう。俺は少女にハンカチを取り出して手渡しする。
少女は少し戸惑いながらも、ハンカチで涙を拭うのだった。
「……呪いってどういう事かしら?私の身体は、確かに悪魔付きに犯されたはず……」
「その悪魔付きこそが呪いなのだ。しかし、同時に君達悪魔付きとなる者達は、総じて
「……っ、え、英雄の子孫っ!?どういう事なのっ!?」
本当にどういうことなの?シド、俺に説明してくれ。君が喋り出すから俺は何も口出し出来ないんだが?
驚愕するエルフの少女の隣で、俺も驚愕する。だってさっきまでそんな事言ってなかったじゃあないか。悪魔付きは魔力暴走だって結論付いてたでしょ。……いや、その魔力暴走の原因が呪いだとすれば辻褄は合うのか?英雄の子孫かどうかは置いておくとしても、その呪いとやらの影響で魔力暴走が起きて悪魔付きと化すのなら、シドの言う事に信憑性はある。それが本当の話かどうかは置いておくが。
「ふふふっ、驚く事も無理は無い。太古の昔、『魔神ディアボロス』と戦った英雄達3人の物語を。聞いたことはあるだろう?……あれは、実際に起こった出来事なのだ」
「な、なんですって!?」
な、なんだってぇ!?ど、どういう事だシドぉ!?
「魔神の死に際、奴は英雄達に呪いをかけた。末代まで呪われる解けることの無い強大な呪いをね。その結果、その呪いは現代でも英雄の子孫達の身体を突如として蝕む悪魔付きへと身体を変えてしまうのだ」
「……そ、そんな。そんな事が……っ」
マジかマジかっ。シド、そんなに自信満々に言うってことは、本当にその話は事実なんだな?そう思っていいんだよな?そういう事なんだよな?それは本当に真実なんだな!シド!!
俺とエルフの少女は、シドの発言に疑問は思い浮かべなかった。寧ろ、自信満々に話す彼の言葉に、自然と納得してしまっている自分がいる。
「本来であれば、悪魔付きとはその英雄達の子孫であるとして讃えられるべきなのだ。しかし、闇の力を手にしたい
「……奴ら、っ黒幕がいるのねっ。一体誰なのっ!?」
「……今は、まだ話す事は出来ない。
「っ」
おいおいっ、シドくんよぉ!?どうしてそこで停めちまうんだァよォ!!そこは名前まで言うべきとこなんじゃあないのか!?俺は気になって夜も眠れないぞっ!!
「構わないわっ!!私は悪魔付きとなって人生を終えたの。これからの私の行動を決めるのは私の意思ただ一つっ。私は今からその強大な名前をこの耳にしようとも、恐れる事も後退りする事もないっ!!」
「……もっと慎重に考えるべきではあると思うが?唯の復讐心だけで動くとなれば、痛いしっぺ返しだけでは済まない」
「私の心はそれだけでは無いっ。確かに復讐したい気持ちはある。けれど、私は貴方の言う通りであるのならば英雄の子孫なのでしょう?ならば、私はこの偉大な先祖の誇りを守りたい。今でもこの世界の何処かで苦しんでいる同じ境遇の子達を助けたいっ。そして私達はその呪いを打ち砕くっ!!だからお願いしますっ、裏に潜む奴らについて教えて欲しいのっ!!」
立ち上がった彼女は、まさに勇猛な戦士のようであった。病み上がりとは思えない力強く意思のある真っ直ぐな言葉。
俺は、そんな彼女の姿に俺の憧れる彼らの姿が重なって見えた。あの気高き、黄金の精神を持つ彼らの姿を。逆境に抗い、自分が正しいと思った信念を貫く、ボロボロになりながらも下を向かない大きな彼らの背中を。
彼女の言葉には、言葉だけでは形容出来ない……
「……ならば教えよう。奴らの名は、魔神ディアボロスを崇拝することから名付けられた組織、
「……ディアボロス、教団……っ」
「奴らは魔神ディアボロスの復活を目論んでいる。故に、奴らは決して表舞台に現れることは無い。君が抱くその決意は認めよう。しかし、奴らのしっぽを掴むには覚悟だけでは足りないのだ」
「……っ」
「長い間裏に潜伏している奴らにとって、隠蔽工作などお手の物だと思っていい。表に出た痕跡は消し、裏の世界においてもしっぽ切りのように被害を最小限に抑えてくる。そんな奴らを相手に、君はどうする?何が出来る?何を成し遂げられる?」
「……わ、私は……っ」
「覚悟だけでは進めない。意思が強くとも真実は掴めない。そんな強大な相手に、君は一体どう進むのだ。英雄の子孫よ!!」
先程までの気高い姿勢が也を潜めた。当然だ。強大過ぎる相手に、一人では太刀打ち出来ない。力も無い、知恵も足りない。そんな自分に一体何が出来るのだろうと、彼女は現実を突き付けられているのだ。例え英雄の子孫だからとしても、英雄達は魔神ディアボロスを相手に3人で戦った。それでも封印がやっとである。少なくとも御伽噺で読まれていた内容は倒したではなく封印だった。3人でも封印が限界だったのだ。一人だけで何が出来るのか。
いや、それでも。俺は彼女の姿に心動かされた。シドの話が本当であるのならば、黄金の精神を目指す俺にとって、それは決して見逃す事が出来ない。
何より、泣いている女の子を前にして見て見ぬ振りなど、男が廃るだろう!!
「━━━━━大丈夫だ。安心してくれ」
俺は彼女の前に膝を着いた。彼女の顔を見上げ、震える両手を優しく包み込む。波紋の代用である魔力を流して、荒ぶる心を優しく解していく。魔力でこの様にメンタルケアなども出来るのはとても便利で助かったと、今ほど感謝したことはない。
「俺がいる。力になる。君のその決意が本物であるなら、俺は君に全力で協力しよう」
「……本当?」
「ああ。君のさっきの言葉。それが嘘偽りの無い言葉だと言うのなら、俺はここで君をしっかりと背中を押し出してやれる。そしてその隣を共に歩んでいける。例え今君の決意が夢のような途方もないものだとしても、俺は君のその気高い精神に敬意を表し、俺はその黄金のような夢に賭けよう」
「……いいの?会ってばかりの私に、協力してくれるなんて」
「時間は関係無いさ。俺がしたいと思ったからする。それに嘘偽りは無い。何より、俺は君の掲げるその気高い魂が何を成し得るか見てみたいんだ。一緒に、ディアボロス教団と戦おう」
「……ええ、ええっ。勿論よっ、私からもお願いするわ!!お願いしますっ、私と共に、戦ってください!!」
「……ふふふっ、我が右腕に美味しいところを奪われてしまったが、そういう事だ英雄の子孫よ」
「……まさか、私を試したの?」
「少なくとも俺はな。……しかし、我が右腕は本気で君の力になろうとしているようだぞ」
「……ありがとう。貴方の事はまだ分からないけど、とても心強いわ」
「そう言って貰えて光栄だ。俺に、君の行く末を見させてくれ」
というか、右腕右腕って、もしかして俺の事言ってるのかシドは。なんだよ右腕って。俺はお前の部下になったつもりは無いぞ。
「……では、ようこそ我ら
「……
「そうだ。そして、我が名はシャドウ。闇に潜み、闇を狩る者」
「……シャドウ」
どうした偽名使ってシドくん。というか組織って。初耳なんだけど。もしかして俺も入ってるよねそれ。右腕とか言ってたわけだし。
「……貴方の名前は?」
「……え、俺?」
なんかこっちに来たぞ!?えっ、ど、どうすればいいっ!?偽名?偽名を言うのかこれ!?ジョジョじゃあダメなのか!?
「……お、俺の名は……ス、
「……スター。そう、スターと言うのね。宜しくスター」
「……あ、ああ。こちらこそ宜しく……」
あっぶねェ、思わず関連性のある
「それで、君の名前だが。名は?」
「……私は一度死んだ身よ。元の名前なんて、もう名乗れない」
「ではどうする。我らが名を授けようか。それとも、自らで決めるか?」
「……そうね。……ねぇ、スター?私の名前、貴方に決めていただけないかしら?」
「……俺?俺でいいのか?」
「ええ。貴方がいいの」
「……わかった。名付けてやる」
くっ、こういう事はマジで苦手だ。優柔不断な性格が見え隠れしちまう。
いや、捻るべきでは無い。もっとシンプルに。俺が星、ならば1番輝きが強い意味を持つアレだ。
「……
「……アルファ、アルファ。ふふっ、アルファ……」
おっ、これは気に入ってくれてるか?
「……ねぇスター。私の名前、呼んでちょうだい?」
「え?アルファ?」
「……ふふっ、ありがとう。素敵な名前だわ」
どうやら気に入ってくれているようだ。シドも、何やら頷いている。俺の瞬発的な思い付きも、意外と馬鹿にならないようだ。いや、脳をこの前弄られたから思考が上がってるのか?
まあどちらにしろ、エルフの少女。アルファと打倒ディアボロス教団の険しい道を歩むことになった。ファンタジー世界故に、こういう魔王だの魔のモンスターだのといった復活イベントフラグみたいなのはあるもんだな。
所詮ゲームのシナリオとか言ってもうバカに出来ないな。
「一先ず君は休むといい、アルファ。横になれる部屋に案内しよう。少し外すぞ」
「構わない。英雄の子孫、アルファよ。英気を養うといい」
「ありがとう、シャドウ。必ず、真実を解き明かして見せるわ」
俺はアルファを小屋の端にある小さな部屋に案内した。
簡易的なベッドがあり、何時でも仮眠出来るようにと普段から準備していたものである。
まさか、こんな形で役に立つとは思わなかったが。
「……ねぇ、スター」
「……?どうかしたかい、アルファ」
「……ありがとう、初対面の私を支えてくれて。悪魔付きから私を元に戻してくれて。感謝してもしきれないわ。本当に、ありがとう」
「……御礼は早いぞ、アルファ。君の目的は今始まったばかりだ。そんな調子じゃ、この先辛い出来事に心が着いてこないよ?」
潜伏して世界に蔓延っているディアボロス教団の事だ。間違い無く目を逸らしたい現実も出てくるかもしれない。嫌だと投げ出したくなるかもしれない。
彼女の事はまだ分かってないが、心構えがまだ足りないのは分かった。辛い事を押し付けるようだが、彼女にとっては必要となる鞭だろう。
「……そうね。そうよね。気を引き締めなきゃね」
「……だけど、たまには気を抜く必要もある。ずっと気を張ってちゃ体が持たないからね」
「……ふふ、私の事からかってるのかしら?」
「事実を言ったまでだよ。気を引き締めることは大事だ。この先何があるか分からないからこそ、念入りな準備は必要不可欠。しかし、だからといって自分を追い込み続ける事は愚行の極み。オンとオフを切り替えて、長い時間がかかるだろうけど、折角貰った第二の人生しっかり生きていこうぜ?」
「……うん。ありがとう。……ねぇ、一つ我儘を言ってもいいかしら?」
「なんだい?」
「少し眠るから、眠りにつくまで手を握って貰えないかしら?」
「お安い御用さ」
簡易ベッドに寝転んだアルファは、俺の手を握りながらすぐに眠りについた。寝顔も然ることながら、彼女はとても美しく見えた。
まだ幼さが残るはずの彼女が、これから突き進んでいく道は修羅の道。支えると言った以上、俺も気を引き締めなければならない。今のままではきっと、俺の力は不十分過ぎる。対策しなくては。
俺はシドに先程の話を詳しく聞こうと、シドの元に戻った。
「シド、さっきの話なんだけど……」
「……ああ。ジョジョ、良かったよ君の
「ディアボロス教団について詳しく……は?演技?」
「そう。演技。いやー迫真的な光景だったよ。君前世は劇団員とかだった?」
「……いや、普通の会社員だが……って違うっ。そうじゃない!!今シド、君はなんと言った!?」
「……どうしたの、ジョジョ。演技のこと?」
「そうっ、それだよ!!演技ってどういう事だよ!?」
「その通りだけど?さっきの僕が始めた演技、いいタイミングでフォローしてくれたね。僕ら、役者とか向いてるんじゃない?」
なんだか、話が食い違っている気がする。シドは何を話しているのだろうか。
そして、俺は驚愕する。シドが話した事は全て嘘偽り。英雄の子孫だの、魔神ディアボロスだの、ディアボロス教団だの。あの時即興で思いついた設定らしい。
俺は空いた口が塞がらなかった。つまりアレか?俺は架空の設定にノリノリで騙されてたのか?……ものすんごい恥ずかしいんだが!?
「……マジか、全部嘘なのかよ……」
「アルファも演技凄かったね。寝たきりなのによく即興で乗ってくれたよ」
「……ちょっとまて。俺は兎も角として、アルファは凄い信じ込んでいたぞ!?あの子はどうするんだよ!?」
「……あ〜、まあそのうち飽きるでしょ。子供がおままごと飽きるみたいにさ」
シドはそう呆気らかんと言うが、アルファのあの感じかなり本気で信じてるぞ。俺もお前に言われるまでは信じ込んでたんだし、ちょっと流石に無責任のような気がするのは俺だけか?
「そもそもなんでそんな設定なんか思いつきで喋るんだよ!?そんなの嘘でしたなんて後で分かったら酷い目にあうぞ!?」
「……あーれ?言ってなかったっけ?僕のやりたい事」
「やりたい事?」
「僕は陰の実力者を目指してるんだ。目立たず、決して注目を浴びない。しかし、陰ながら暗躍し圧倒的な力を持つ強者。僕はそんな存在に憧れてるんだ」
「……な、なんだその悪役がやりそうな手口は」
「はぁ!?失礼だなジョジョ!!僕の壮大な計画にケチつけようってのか!?」
うがーっと怒るシド。陰の実力者って、あんまり定義とかよく分からないけど、やってる事は悪役地味てる気がするのは俺だけか?なんかやりたい事は何となくわかるけど、それが本当にその存在なのかって言われるとイメージつかないぞ?
まあそんなこんなで、俺はアルファに罪悪感を抱きながら、一先ず俺はアルファにリハビリと称して生活の手伝いを試みた。その甲斐あってか、一週間程で動き回れるぐらいには元気になったアルファ。ちょっと熱視線が凄いが、まあ今は気にする必要は無いだろう。
元気になったアルファは、早速ディアボロス教団について詳しく調査すると言い出して俺達の前から立ち去った。本当は本当のことを言うべきなのだろうが、折角生きる理由を見つけた彼女に対して、それはあまりにも酷な宣告だと思ってしまい、最後まで言うことは出来なかった。
まあ見つからなかったら、というか見つかるはずもないので、暫くしたら戻ってくるだろうと思ってから早1ヶ月。突然アルファがやってきて俺にこういうのだった。
「━━━━━ディアボロス教団の痕跡を近くで見つけたわ!!」
ええ……、どう言う事なの……?
結局あるのかないのかどっちなんだい!!