「今日はこのぐらいでいいかな、確か予約をしている人が来るはずだからその準備をしないと……。」
コウは手早く準備をしていく。
「何を提供しようかな……電話の感じでは丁寧な人だったし和食より洋食の方が良いかな?」
予約の電話の声の主は非常に丁寧で落ち着いた口調で面白い笑い方をする男性の声だった。それにその人の声のほかに木がこすれるような音や他の男性の声も聞こえてきた。
「喋り方的に獣人の方じゃなかったし、おじさんみたいなロボットの人なのかな?でも木がこすれる音がしたのは何でだろう?」
「でもお客さんだし、どんな人かは関係ないよね。」
そうして特に気にせずに料理を作っていくのだった。
ガラガラ……
「いらっしゃいま……せ?」
店の扉が開きそちらの方に向くと、コウは目を丸くして驚くことになる。
店に入ってきたのは酒屋の店主のような獣人でも理事のようなロボットでもなく、ましてや自分と同じ人間でもない、着ているスーツから肌まで真っ黒で人間でいうところの顔の部分には亀裂の入っている目の部分と口元は薄く白く光っている、人ではない何かと、燕尾服を着た頭部の二つある木の人形、そしてコートを着ておしゃれなハットをかぶった人が後ろを向いて映っている遺影のようなものを持った首のない人?がいた。
「予約していたゲマトリアです。」
まさかのこの人?達が予約をしていた方々らしい、あまりにも予想外な人?たちで驚いている。
「うん?どうかしましたか?」「あ、いえ……その……」
「黒服よ、彼は恐らくだが我々の見た目に驚いているのではないのだろうか?」「あの……すみません……」
「そうでしたか、別に気にしなくてもよろしいですよ?慣れていますので。」「そういうこったぁ!!」
「あ、ありがとうございます?」
木の人形さんに黒服と呼ばれたまっくろくろすけさんが気にしないと言ってくれる。自分でも失礼な態度を取っていたと自覚があるのでありがたい。
でも黒服さんの後の「そういうこったぁ!」の声は遺影を持った首のない人の方から聞こえてきた、口が無いのにどうやって喋ってるんだろう?
そう言えば木のお人形さんもそうだけどみんな口が無い、もしくは口が動いてないのにどうやって喋ってるんだろう?
「そこは気にしない方がいいですよ。」「あ、はい」
この人達、心読めるのかな?それぐらい心読まれてるんだけど。
「えぇと……予約されていたゲマトリア様ですね?」「えぇ合っています。」
「えっと、4名様とお伺いしていますがもう一人のお方はどちらにいらっしゃられますか?」
コウには3人しか見えていない、もう一人の姿が見えないのだ。
「いえ、すでに4人そろっていますよ。」「え?で、ではもう一人はどこに?」
「黒服、恐らくだが私たちの事を一人だと思っているのだろう。」「そういうこったぁ!!」
「え?」「なるほど、そういうことでしたか。」
遺影を持ってる首のない人から二人分の声が聞こえてくる。
「そうですね、そろそろ自己紹介をしておきましょうか。」
「私の事は黒服とでもお呼びください、しがない研究者ですかね。」
まっくろくろすけさんは黒服さんと言うらしい、見た目そのまんまの名前だね。
「私はマエストロという……芸術家だ。」
木のお人形さんの名前はマエストロさんらしいです、動くたびに木がこすれる音がしてちょっと怖いかも。
「この流れだと、次はわたくしの番でしょうかね、私の名前はゴルコンダと申します。」
「混乱しているでしょうから補足を、先ほどからあなたの意識が向いている遺影の方がわたくしでございます。」
「そういうこったぁ!!」
「そして、私を持っている首のない方はわたくしの身体を代行してくれているデカルコマニーです。」
「わたくしたちも……黒服と同じ研究者でしょうか。」
「そ、そうなのですね……えっと、全員揃っているので間違いないでしょうか?」「はい。」
み、皆さん個性的な方々ですね。
「それではお席に案内しますね、テーブル席とカウンター席どちらがよろしいでしょうか?」
「それではカウンター席でお願いします。」「了解しました、ではこちらへどうぞ。」
そうして4人?を席に案内する。
「ご注文はどうされますか?」
「そうですね……では店主さんのおススメでお願いできますでしょうか?」「では私もそれでお願いしよう。」
「わたくしたちもおまかせでお願いします。」「そういうこったぁ!」
「分かりました、お酒はどうなされますか?」「お酒を提供できるのですか?」
「はい、ビールからワイン芋焼酎まで、様々な種類のお酒を提供できます。」
「そうですか、なら私は焼酎で。」「私はワインで。」「わたくしとデカルコマニーはビールでお願いしますね。」
「分かりました、では少々お待ちください。」
そうしてコウは料理をしていく。
「そう言えば、店主さんは男性なのですね。」「えぇまぁそうですね。」
「よろしければお名前を教えていただいてもよろしいでしょうか?」「構いませんよ。」
「僕の名前は篝火コウと言います自己紹介の時に僕も名前を言えばよかったですね。」
「いえいえ、私たちが一方的に言っていただけですから。」「お気遣いありがとうございます。」
黒服とコウはお互い余裕のある会話をしていく、コウが大人びているのもあるからかスルスルと会話が進んでいく。
「そうなのか、君は編み物が得意なのか、後で作品を見せてもらってもいいか?」「えぇ、もちろんです。」
「ふむ、デカルコマニーに合わせて焼き鳥にしてみましたが中々いけますね。」「そういうこったぁ!」
「この焼酎と豚の角煮、角煮の濃厚で脂の乗っっていてよく合いますね。」
「そう言えば皆さん、どうやって食べてるんですか?」
コウは気になったことを聞く、先ほどから4人は口元に料理を運んでは消えていっている、一体どういう仕組みなのか気になっていたのだ。
「……本当なら我々は食事を取る必要はないのです。」「そうなんですか?」
「見ての通り私たちは生物としての常識は通用しない、私は木材だからな」「そうですね。」
「本来なら、食事をすることもできないはずなのだが……私たちにも分からないことが多い。」「そうなんですね。」
色々あるのだろう、確かに少し大変そうだ。
「コウさん、あなたは……少し言い方が悪くなりますが、今までどのように生きてきたのですか?」
「この殺伐とした世界で、ヘイローも無しにどうやって?」
「ふむ、それは私も気になるな……それにここは男には厳しい場所だ。」
「それにあなたには神秘も無い、そんな状態で一人で幼少のころから一人で生きていけるとは思わないのです。」
「そういうこったぁ!!」
(そうなのかな?確かにみんながみんな銃を持ってて確かに危ないけど……)
「僕は元から一人ではないですよ。」
「僕のお母さんは居ましたし、僕のことを自分の子供のように面倒を見てくれた人のおかげで今こうして一人で生きていけてますね。」
「母親?親がいたのですか?」「はい、3年前までは。」
「これは……失礼しました……」「いえ、大丈夫です、3年も経ってますから。」
「そうか」「……本人がそう言うなら気にしないでいいでしょう……」「そういうこったぁ……」
少し雰囲気が暗くなっちゃったな……話題を変えた方が良いかもしれないかな?
「そう言えば僕を実の息子のように面倒を見てくれてた人ですが、今カイザーの理事をしている人なんですよ。」
「……そうなのですか?」「あの理事が……?」
「母親が、亡くなってから、メンタルケアとか、商売の仕方とか、いない父親の代わりみたいに可愛がってくれました。」
「黒服……貴方から聞いていた話と大分違うようですが?」「そういうこったぁ……」
「私も驚いています、まさかあの理事が子育てをしていて、しかもその子がこんなにもいい子に育っているとは……」「黒服の話を聞いていると子供を食いものにしているような奴だという認識だったのだが……?」
黒服たちはコウの話を聞き、無い耳を疑う。、コウが語る理事との思い出を聞いてさらに困惑を深めていく。
黒服たちはそんな話を聞きながら料理とお酒を嗜んでいくのだった。
「ありがとうございました!またお越しください!」
黒服たちは食事を終えコウの店を出たところだ。
「ふむ……どうでしたか皆さん。」「正直なことを言うと、普通だったな。」
「そうですね、わたくしとデカルコマニーも同じような感想ですね。」「そういうこったぁ!」
「キヴォトスに人間の男性がいると知って研究対象にと思いましたが……」
黒服たちはもともとキヴォトスに一人しかいない男性、コウという少年に興味を持ちそれを見るために店を訪れたのだ。
「キヴォトス生まれながらヘイローが無く、そして男性。」「そしてヘイローが無いからもちろん神秘も無い。」
「何とも不思議な少年ですね。」「そういうこったぁ!!」
「彼を観察でもしていましょうか……」「彼の料理は絶品だった、それにあの編み物センスがいい。」
「上質なお酒もありますし、時々来るのもいいでしょうね。」「そういうこったぁ!!」
そうして黒服たちは戻って行くのだった。
良ければ感想とか書いていってください。
先生は?
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男!
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女!