キヴォトスでひっそりと生きる少年   作:オーバジン

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防衛室長と店の店主

「今日も来たの?」

 

「なんですか、私がここに来てはダメなのですか。」

 

「いや、そういう訳で言ったわけじゃないんだけど。」

 

 コウの店のカウンター席にはピンクの髪でアホ毛が特徴的できれいな白い連邦生徒会の制服を着た、胡散臭い糸目の少女が座って食事をしている。

 

 その少女の名は不知火カヤ、連邦生徒会の防衛室長を務めている。コウとは幼馴染の少女である。仲はかなりいい方だろう。

 

「最近暇がないほど忙しいってずっと言ってるのによくここに来るでしょ?だから大丈夫なのかなって。」

 

「なんだそんなことですか、それなら問題ないですよ、私は超人ですから。」

 

「……あんまり関係ないと思うけど……?」

 

「関係大有りですよ、あのクソ忙しいなかここまで時間を作れるのは私が超人だからなのですから、それはそれとして頑張ったから労わってください。」

 

「エデン条約の記者会見などという面倒くさい事とか、連邦生徒会長お抱えの学校が閉鎖されそうになって大慌てだったんですから。」

 

「はいはい、いつもお疲れ様、カヤはキヴォトスのために頑張ってて偉いねぇ~。」

 

「……なんか子ども扱いしてませんか……私の方が年上のはずなのですが?」

 

「それでその閉鎖されそうだった学校はどうなったの?」

 

「私の助力もあり何とか持ちこたえたのですよ。」

 

「さすがカヤ。」「そうでしょう、そうでしょう!」

 

「わー、カヤさんカッコイイー。」

 

「……ならもう少し感情をこめていってくださいよ、めちゃくちゃ棒読みじゃないですか。」

 

 少し小言を言われているが気にしないでいいだろう。

 

「はぁ……まあいいです、それよりも、また一段と料理の腕を上げましたね。」

 

「そうかな?僕が目指しているは、母さんの料理だからね。」

 

「そうですか、でしたらあなたのお母様の味にかなり近づいてきていますよ。」

 

「それなら良かった、僕の目標だからね。」

 

 そこからコウとカヤは他愛もない会話をしていく。

 

「全く、最近は物騒で本当にかないませんよ……」「そんなになの?」

 

「えぇ、毎日毎日そこらじゅうで銃撃戦が起こってて耳がノイローゼになりそうですよ、それにそれを鎮圧した後の後始末とかもあるし、カイザーはずっと上から目線ですし……」

 

「もしかしておじさんの事?」

 

「いえ、理事のことではありませんね、どちらかと言えば彼は昔からの私とあなたにだけはなぜか甘いですからね」

 

「そうなの?」「まぁ、私たちが小さい頃から面倒を見てくれていますしね。」

 

「あれ?じゃぁ誰の事?」「プレジデントのことですよ。」

 

「あー、プレジデントさん……僕もちょっと苦手かなぁ……」

 

「あの人はいつもいつも……ハァ、まぁいいです、はむっ……うん……やはり美味しいですね。」

 

 カヤは難しい顔をしながら料理を頬張るが、不意にコウの方を見る。

 

「コウは……」「うん?」

 

「今のキヴォトスどう思いますか?」「今のキヴォトスをどう思うか?」

 

 カヤはそうコウに問いかける。

 

「今のキヴォトスはあの人がいなくなって秩序が乱れきっていて、犯罪が当たり前の世界になってしまった。」

 

「こんな混沌としたキヴォトスをコウはどう思いますか?」

 

「僕は……あんまりブラックマーケットの外に出ないから分かんないけど……」

 

「いろんな人の話を聞いた感じ、確かにちょっと危険なのかもしれないね。まぁ、僕はおじさんとカヤが無事なら何でもいいんだけどねー」

 

「!?」

 

「僕は二人の事を家族だと思ってるし、大好きだから。」

 

「……全くコウは……そういうことを、何ともないように……」

 

 カヤは少し顔を少し赤くして俯く。

 

「うん?そう言うことって、どういうこと?」

 

「いや……なんでもないです。」

 

「まぁでも、安全に暮らせることにこしたことは無いかな。」

 

「そうですか……そうですよね……」「うん、痛いのは嫌だからね。」

 

「誰も傷つかず、笑って暮らせるのが一番いいかな。」

 

「そうですか、なら防衛室長として頑張らないといけませんね。」

 

 そうしてカヤの食事が終わるまで雑談は続いたのだった。

 


 

「では、私はこれからまだ仕事がありますので、帰りますね。」

 

「そう、体に気を付けてね。あ、そうだ、ちょっと待って。」

 

「?」

 

 コウは帰ろうとするカヤを止めてキッチンに入っていく。

 

「はいこれ。」「これは?」

 

 戻ってきたコウの手には少し小さめの弁当箱を持っていた。

 

「これは?」

 

「今日の、カヤのお夜食だよ。これから仕事なんでしょ?だったらお腹がすくはずだから、元気補給のために食べて。疲れた体に効く料理を作っておいたから食べてね。」

 

「……ありがとうございます、では作業がひと段落したら食べますね。」

 

 そうしてカヤは帰っていった。

 


 

「……カヤ、大丈夫かな……前よりも少しやつれてるような気がするし……」

 

 コウは先ほど店を出た幼馴染の心配をしていた。エデン条約という良く分からないテロ事件の対応をし出したと聞いた時からかなりの仕事量があるらしく毎週来てくれるのだが前よりも少しやせている気がする。

 

「カヤとは昔からの付き合いだしどうにかしてあげたいけど……立場が違うし……どうにもできないのかな……」

 

「僕にできるのはこのぐらいしかないのかな……」

 

 コウは幼馴染とのこと考えながら明日の仕込みを始めるのだった。

 


 

「来たか……」「待たせてしまいましたかね?」

 

 カヤはとある部屋に入る。

 

「プレジデントさん、手筈のほどは?」

 

「……正直に言うと前のことから取引はしたくないのだが……?」

 

「しかし、この提案を受けることの方がリターンが高いから仕方ないのでしょう?そして、その計画の中心は私が握っていて、指示も何もかも私が出している。」

 

「チッ……」

 

「まぁまぁ、私とて一世一代の計画なので弱みはあまり握られたくないのですよ。」

 

「理事から紹介されたと思えば、ここまで頭のキレる子供だったとは……こちらの都合のいいように利用しようと思っていたのだが……予想が外れたか……」

 

「本人が目に前に居るのによく言いますね。」

 

「今さらどうこうしたとて貴様が主導権を握っているからどうにもできん素直に文句を言うだけにとどめておくことにした。」

 

「そうですか、今日はあくまで確認でしたので。では理事の方にもお邪魔しましょうかね。」

 

「勝手にしろ。」

 

 そうしてカヤは席を立って部屋を出ていく。

 

「……はぁ……理事よ、貴様が持ってきたものは、かなり厄介なものだな……」

 

 プレジデントは机の上の資料を見ながらそうぼやくのだった。

 


 

「どうも理事。」

 

「む?カヤか。そうか、プレジデントのところに言っていたのか。」

 

 カヤが理事の部屋に入ると、理事は書類を見ながら入ってきたカヤの方へ声を掛ける。

 

「コウに会ってきましたよ、また腕を上げていましたよ。コウのお母様の味の再現のクオリティーがさらに上がっていますね。」

 

「そうか、またあの味を食べることが出来るのは嬉しいが……まぁいい、何を話したんだ。」

 

「今のキヴォトスをどう思っているか、ですかね。」

 

「ふむ、その様子だとそのまま質問したんだろうな。」

 

「えぇ、そうですね。」「何と言っていた?」

 

「……コウは、誰も傷つかず、安全に暮らせるのが一番良いって言ってましたね。」

 

「そうか、予想はしていたがやはりそう言うか……ならやはりこの計画は成功させねばな。」

 

「そうですねキヴォトスで争いをなくすために。」

 

「コウが怪我無く安全に暮らせるように。」

 

 そうして、二人は話を進めていくのだった。

先生は?

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