レイドボスのお気に入り、神ゲーに行く   作:伊夜 灯

11 / 13
あの娘が来ます。そう、あの娘が。


蜻蛉と月は迷って出会う

「ぅあっついわぁ⋯⋯」

 

現在真夏の午前10時頃。汗だくになりながら100mやハードル走のタイムを取ってます。タオルで汗を拭った瞬間汗が吹き出してくるような暑さの中でよく皆走れるなぁ⋯⋯と思いながらトラックを駆け抜けるタイムを淡々と測っていく。

 

「23番、タイム12秒85、24番、タイム12秒67です」

 

「よーし次!気合い入れて走れよー!練習だからって気を抜くなよー!」

 

「はーい!」

 

「良い返事だ隠岐ぃ!」

 

「暑いです先生⋯⋯」

 

「頑張れ記録員」

 

「ひっどいなぁお前ら!?」

 

陸上部員め、自分たちは慣れてるからって余裕かましやがって⋯⋯。そしてさっきの隠岐って子ほんとに元気だな。ずっと動いてるじゃん。速いし。こちとら半袖短パンで汗だく、動きたくないよもう。しかしそんな自身の都合とは関係ないとばかりに槍投げだのリレーだの棒高跳びだのの記録をしてくれと東西奔走。果てには準備まで手伝われる始末。今度大会運営やらない?あ、検討しておきますね⋯⋯。

 

そんなこんなでようやくお昼。ボランティアにはお弁当が用意されているとのことでありがたくいただいてどこで食べようかな、と競技場の内部をウロウロと歩き回る。意外と競技場って広いし、トレーニング室とかもあるんだ⋯⋯。今度来ようかな。選手控室やボランティアの集まるところから大きくはなれた廊下でそんなことを考えていると、何故かゼッケンを付けた人がいる。歩き回った俺はともかく、なんで選手がここに⋯⋯?

 

「すいません、大丈夫ですか?」

 

「うわぁ!?あ、さっきのボランティアの人ですよね?」

 

「あー……はい、隠岐さんでしたっけ、なんでこんなところに?」

 

「あー⋯⋯お恥ずかしながら迷ってしまって。控室までお願いしてもいいですか?」

 

「わかりました。じゃあ一緒に行きましょう」

 

迷う?おかしいな、ここに来るってことは迷うとかそういうレベルじゃない気がする。多分意図的に全部間違えないと(・・・・・・・・・・・・)無理じゃないか?後ろをちらりと見れば某レトロゲーの仲間みたいに後ろをピッタリとついてくる隠岐さん。多分これはなぁ⋯⋯。

 

「ごめん、少し自販機に寄っていい?」

 

「全然大丈夫ですよ!今日暑いですもんね」

 

自販機に寄ってスポーツ飲料を2本買う。そして1本を後ろの隠岐さんに渡す。隠岐さんは大丈夫ですとばかりに拒否するが、半ば押し付けるようにして渡す。

 

「自覚ないかもだけど多分熱中症気味だから」

 

「え、そうなんですか!?」

 

「多分そうじゃなかったらあそこまで奥には行かないんじゃないかな。あとちょっと歩き方がふらついてるし」

 

「そこまでわかるんですか!?お医者志望とかなんですか……!?」

 

「あ、いやそういうわけじゃないんだけど……。とにかくしっかり休んで午後頑張りなよ」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

控室近くまで戻るとさすがに道が分かったようで少しふらつきながらも歩いていく。まぁ多分休めば午後からは走れるはず。というか眩しかったなー。あれが中学生か。⋯⋯昼飯は、諦めよう。もうボランティアの人は集まってくださいって聞こえてきたし。

 

 

 

「次!隠岐と鈴木!」

 

「隠岐さんと鈴木さんですね⋯⋯」

 

午後も変わらず記録と準備。午前中の俺の仕事ぶりを評価したのか気に入ったのか、隠岐さんの中学の先生と一緒に行動している。この先生自分の学校の部員に限らず他の学校の部員も気にかけて優しい。しかし俺にはしっかり仕事を渡してきます。手伝ってくれるのでまぁいいけどね。

 

「隠岐14.55、鈴木15.25」

 

「はい、⋯⋯できました。次行けます」

 

しかし延々と単純作業だな。ミスをしないことに気をつければ全然余裕。頼むからこのまま終わってほしい⋯⋯。なんて都合の良いことはなく、ハードルだったり棒高跳びの用具だったりを準備して片付けてと結局地獄でした。

 

「よし、練習終わり!片付けはしておいたから着替えてバスに乗っておくように!」

 

「「はい!ありがとうございました!」」

 

「梅野さんもありがとうございました。今度は大会の時にお願いしたいですね」

 

「そうですね、学校通して頂ければまたよろしくお願いします」

 

「梅野さん、ありがとうございました!」

 

「隠岐さん、今度は早めに休むようにね」

 

「はい!じゃあまた!」

 

夕焼けの競技場で一人遠く走って行くバスを見つめる。流れでOKしたけどこれもしかしてこれ大会のたびに呼び出されるやつか……。ダメだ。俺この断れない性格どうにかした方がいい気がする。明確な疲労となぜか感じる妙な満足感を胸に、汗だくで疲労困憊の梅野月佐はとぼとぼと家へと帰っていくのだった。

 

 

 

「いやー良かったね、まさか競技場で練習できるなんて」

 

「すごくいい経験だったわ〜」

 

「監督は監督であのボランティアのお兄さん気に入ってたし」

 

中学校へ戻るバスの中、部員たちが各々好きに話し合っている中、静かなのは2人。監督と、もう1人。彼女にしては珍しく窓の外を眺め、空を見ている。見慣れない景色から見慣れた景色が移り変わっていく中で今日のことを思い返しているのであろう彼女は無意識のうちにこう呟いた。

 

「かっこよかったなぁ……」

 

 

 




梅野が隠岐さんの学校の手伝いとしてたまたま選ばれただけで他の学校も普通に来てます。ただ監督と部員が一生懸命で話す暇がなかっただけですね。
…、ラブコメか?、これシャンフロ小説だよな?書いてて不安になりました。如何せんこの子が恋愛ってイメージがなさすぎて難しい。
感想、評価待ってます!次回はゲームだろう!では!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。