そしてトンボさんと絡ませたい
『「居合・抜刀」』
「うぁはっや⋯⋯!!」
一瞬にして距離を詰められ、一振り抜刀。ただ鞘から刀を抜く動作のはずが、ほぼ必殺のような速度と鋭さで行われる。だけどこれくらいなら避けるのは余裕。バックステップでギリギリを回避した。しっかり距離を取って相手の間合いの外かつこっちの間合い。思ったよりもステージが狭くて避けるの難しい⋯⋯。下手に下がると壁に棍が当たって何もできなくなるから後ろにも気をつけなきゃいけない。刀とかなら後ろは壁とかに背中当たるまで気をつけなくていいのにねぇ。
「
『「居合・抜刀」』
「二本目危ないなぁ!?」
薙ぎ払いを二本目の刀の抜刀で弾かれる。距離は取らせずに接近戦ですってか?本当にそれはきつい。間を置かずにノータイムでできるってことは戦闘には相当慣れてるな。この格好もガチで棍使いともしっかりやり合った事あるっぽいか。一応スキル使ってるんだからダメージ警戒して避けてくれよ、強気すぎる⋯⋯。
「せめて避けるとかしてくれない?」
『温い。これくらい避けられなくては今ごろもう死んでいる』
「実際今死んで忘れ去られてるでしょ」
『⋯⋯否定は、できんな。しかし主もこのままだと死ぬだろうよ』
「あんたに
『介錯役か、不足なし』
「絶対嫌だが!?ここで死ぬのはごめんだね」
ヤバいなぁ。会話ができるほどには余裕がある⋯⋯、と思いつつ実際は壁側に追い込まれすぎて棍が震えなくなって相手の剣筋を飛んだり跳ねたりしてギリギリ生きてる。一回でも剣筋読み違えたら多分真っ二つになるね。壁から抜けようにもジャンプ系のスキル持ってないせいでこの人飛び越せないから本当にどうしようこれ。
『主、相当しぶといな?』
「棍使いってみんなそんなもんでしょう⋯⋯!」
『む、しかし主のように棍を使わずにそこまでの動きはしないがな』
「そう言うなら壁から離れてくれるとありがたいですね〜」
『流石にそれはできぬ。主が有利になるわけだろう』
いや本当に慣れすぎだよこの人!壁も壊れないから延々と壁に縫い留められてる。こんな殺意のこもった壁ドン状態なんか願い下げだが、なんか打開策はないか⋯⋯?幕末だったら壁壊して離脱とかできるのにさぁ⋯⋯。しゃーなし、突っ込むしかないね。幕末仕込みの徒手空拳見せてあげるよ⋯⋯(ランカーにn敗)
「ぃよいしょぉ!」
『足癖の悪い武士だな主!?』
「足掻くのに足癖が良い悪いなんて関係ないでしょう!」
『うむ⋯⋯確かにそれでこそか』
「
『そういう抜け目のないところもだな⋯⋯』
足癖が悪い、抜け目がないという言葉は幕末プレイヤーに取っては褒め言葉。むしろあの世界で褒め言葉に当たらないのってなんだろう⋯⋯とそんな事を考えられるほどには余裕ができた。申し訳ないけどランカーより剣速が早くないからスキルなしだったら結構余裕で捌けるんだよねぇ。そのせいか少しずつ攻撃の主導権が俺に渡って来ている。スタミナが尽きたのか知らないけどスキルも使ってこないしこれは勝ったか?
『成る程、刀のみで勝てる相手ではないか』
「⋯⋯?」
『こういうことだ「裂き咬み」』
「うわあぶなっ!?」
いきなりスキル使って腕を切断しに来たんだけどこの人!?咄嗟に手を離して避けたが、これはまずいかな⋯⋯。前レイドボスにやられたみたいに腕一本持っていかれるだけでまともに戦えなくなって負けるからなぁ、絶対に切り落とされるとかは避けなきゃいけない。一応さっきまで片足なかったのは⋯⋯まぁ運が良かったとしか。
「腕狙いですかちょっとぉ!」
『足か腕はもらう!「神風」!』
切り落とされてたまるかと思い跳躍した瞬間、おかしい速さの刀二振りが俺の右足を切断する。なんかさっきも同じ事あったし運が良かったって振り返ったばっかりだろ!!お返しに振るった棍を腹に激突させながらの着地。おい負けかこれ。
『終いだな』
「折角生えてきた足斬りやがって⋯⋯」
『それは申し訳ないが、戦いとはそういうもの。理解しているだろう』
「まーねー。ほれやるんならはよやれよ」
『その前に一つ。主は、何故その武器を使う?』
「は?何だそれ⋯⋯」
『答えないなら首が落ちるぞ』
答えても首は落ちるだろうがよ!でもまぁ話を聞いてくれるならまだマシなのか⋯⋯。にしてもなんで使ってるか、かぁ。そんなん勝てなかったからだよな。刀とか槍を使っても
「これ使ってる時が一番戦えたからかなぁ」
『成程、な。勝ち負けはどうでもいいと?』
「勝ちたいとは思うけどさぁ、棍で勝てないでしょ」
『そうか。ならこれで本当に終いだ』
棍で勝てないことは否定してくれないんだ⋯⋯。そんな事を考えた俺の体に刃が突き刺さる。体を簡単に貫通して俺を串刺しにしたその刃は俺の体を切り裂き、同時に
『主⋯⋯本当、に、諦め、の悪い⋯⋯』
「これぐらいやれなきゃ勝てないんでねぇ」
崩れ落ちる相手と立ち上がる俺。何をしたか?ただ大鎌を自分の体で貫通させて突き刺しただけ。あとは刺したやつを横に振るって両断。もちろん俺の体も切ることになるけど、脇腹辺りに刺してたから致命傷ではない。一応回復ポーションを浴びるように飲んで体力を回復してから両断された侍に向き合う。
「こんな勝ち方は正々堂々じゃないか?」
『いや、お見事。元々忘れ去られて、いたのだ⋯⋯今さらどう負けようが、もう悔い⋯⋯は、ない』
「そっかぁ。⋯⋯なんか言い残すこととかある?」
『⋯⋯勝てると、いいな。其奴に』
「おう、頑張るわ」
そう返答して、侍の頭を貫く。貫かれて物言わぬ亡骸となった侍は空虚なメロディとなり、まるで最初から存在しなかったように虚空に溶けて消えた。それに合わせて眩しかったステージのスポットライトも消え、あたりは薄暗い光で照らされる。ちょっとまて、俺このままだとここでずっと待機になる?もしかして。
「あのー、どなたかいらっしゃいませんkッッ!!」
爆音、衝撃。体が吹き飛ばされたボールのように宙を舞って客席へと突っ込む。せっかく回復したHPも台無し。というかあれで終わりじゃないのか?こっからがボス戦?十分だろもう⋯⋯。とは思ってもどうにもならないのが現実。更に薄暗くなったステージの上。多分そこになにか
『忘れられし侍を弔った傭兵、その歩みはここで
「⋯⋯!?」
あの侍が現れたときのようにセリフ⋯⋯歌?が響く。歩みが落ちる?何だ?落とし穴とか?そして冥響ってなんだよ。多分関係してるのは鍛冶屋のおっちゃんのセリフ。でもそれを考えてる暇は絶対にない。そんなことを考えたら多分一発でやられる。考えてなくてもやられるというのはあるけど、正直言うなら関連性を考えるよりも生きれる可能性に賭けたい。
「避けられなくてもまぁ、データは欲しいしな」
片足はない、ポーションを飲む暇もおそらくない。その上攻撃のモーションも分からないしどういう攻撃なのかも、どんな攻撃があるのかも分からない。完全に詰みの状況。でもまぁ、せめてなんかやりたいよね。⋯⋯よし来い。
『魅入られた者の踊りは落ちて尚続く⋯⋯その奏でる音が冥響に届きうるまで』
「あー⋯⋯ヤバいなぁ、これ」
何かに全身を強く叩かれてHPが0へと変わる。何なんだよこの攻撃⋯⋯何もわからないで終わった。そしてこういう感じなのか、シャンフロのデスポーンは⋯⋯。ん?リスポーンか?どっちだこれ。
『「オルケストラの冥傷」が付与されました』
本当にすいません。長期休みももう終わってしまいました⋯⋯というかオリジナルの展開って相当難しい⋯⋯他の方々の技術に震えてます。
頑張ってウェザエモンまで行くぞー(今年受験である)