約一ヶ月ぶり、エタっていたわけではないです!
あとちょっと主人公の容姿はいつか書きたいですね
「アンタがオヤジの言ってた人間か」
オヤジって誰ですか⋯⋯。そしてどんな話されたんですか⋯⋯。と、こちらを向いて話しかけてくるツッパリ姿の兎に聞きたい心を抑えつつ、一応俺じゃないかもしれないと周りを見回す。うん、見事に誰も居ないわ。そもそもこの兎何?ヴォーパルバニーなの?あいつら喋るの?
「え〜〜〜〜〜〜っとぉ⋯⋯」
「何だそのムダに長い溜めはァ」
「いやちょっと情報が整理できてなくて、ごめんね」
「別にいいが⋯⋯整理できたらついて来てくれねェか」
あれかなぁ。とりあえずヴォーパルバニー?が喋ることに対しては無理矢理納得しなきゃいけない感じかなぁ。下手なこと言ったら襲いかかってくるのかもしれないし。ついてこいってことは少なくとも何かしらは説明されるだろう。見た感じツッパリ兎もそこまで好戦的じゃないようだし。というか今思ったけどモンスターが街に沸いていいのか?というかこの兎モンスター判定なのか?⋯⋯やめよう。今考えても仕方ないわ。
「じゃあ君は俺を何処に連れてってくれるのさ」
「あァ⋯⋯、「兎の国」だな」
そう言った瞬間、俺の眼の前にウインドウが開かれる。挙動がバグったかと思って書かれた文字を読めばおそらく何かしらのクエスト名。
『ユニークシナリオ「兎の国からの招待」を開始しますか?』
「うぇぁっ⋯⋯!?」
ユニークシナリオ。シャンフロ特有のアンチの多い要素でもあり、神ゲーたる所以でもある要素。出現条件、受諾条件共に不明、しかしその恩恵は果てしなく大きい。
シャンフロは「世界の開拓」が大きなメインのストーリーであるが、それとは別に無数のサイドクエストがある。その中でもユニークシナリオは何処でいつどのように誰がフラグとなるのか全く明らかになっていない未知のシナリオらしい。
しかしユニークシナリオをクリアする事で獲得できる装備、スキル、魔法……そう言ったものはどれも一級品の性能を誇る。そんなシナリオをこんな序盤に引いたってことは⋯⋯。いいのかなぁこれ受けちゃって。
「まぁ受けない理由はないよなぁ⋯⋯?」
死んだ挙句装備欄が二つ呪われたことに対してユニークシナリオなら十分にお釣りが来るだろう。時間的にまだ夜は明けないし戦闘がないならデスペナルティがあってもいい。それに湖沼の鉄棍を除いた残りの武器も十分耐久値は残ってる。それならいけそうかな。
「よし、やるだけやるか⋯⋯!」
そして、「はい」を押そうとした指が止まる。よく見てみればウインドウには推奨レベルというものが記載されており、そのレベル、なんと80。ちょっと待て。俺、今32だぞ?トリプルスコアとまではいかなくてもダブルスコアじゃねぇか。でもその分報酬美味しいんだろうなぁ⋯⋯。強いやついるんだろうなぁ⋯⋯。ま、いいか。
「それじゃ、行くか」
「行くかって⋯⋯フィールドに出るの?申し訳ないけど今デスペナルティ食らっててさぁ⋯⋯」
「まァついてきな」
「お、おう⋯⋯」
「今、ラビッツじゃあアンタともう一人の人間の話題で持ち切りでなァ。あの黒狼に弱き身でありながら果敢に挑む勇気と⋯⋯あの一撃一撃を的確に捌いて手玉に取るかのような技量。まさにとんでもねェヴォーパル魂だったぜ」
「でもなぁ、足持ってかれたし勝ててないんだよなぁ」
「まず相手がおかしいんだろ。おやつ程度にドラゴンを喰い殺す夜の帝王にそれ同等レベルのもう一体、神代の加護がなきゃ今頃俺とは喋れてねェよ。それほどのやつとアンタは殺し合ったんだ」
よく喋るなぁこのヴォーパルバニー⋯⋯ヴォーパルバニーはなんか成長したら喋りだすとかなんかな⋯⋯?システムよくわかんないけどそういうのありそうか?もしくはNPCとしてのヴォーパルバニーとモンスターとしてのヴォーパルバニーがいるとか⋯⋯たぶんそうなんだろうな。戦ってみたいなぁ。どれだけの強さかは分からないけど戦ってみたいんだよなぁ⋯⋯。
「アンタ戦闘狂かァ?ものすごい殺気というか殺意というかそんなんがひしひしと刺さってくるぞ」
おっといけない。幕末じゃないから路上PvPも辻斬りもできないんだった。殺気は出さないようにしないと⋯⋯。幕末はもう皆ものすごいほどに殺意滾らせて殺りあってたから殺気なんか全然気にしなくてよかったけどシャンフロじゃだめだな。しっかり抑えておかないと⋯⋯というかこの後幕末行こうかな。発散すれば殺気も落ち着くでしょ、多分。思ったよりも幕末に染まってたんだな俺。ちょっとショックだわ。あそこまで狂ってるつもりはなかったのになぁ。
「ごめんね、完全に無意識だったわ」
「いや、大丈夫だ。職業柄そういうのには慣れてるからなァ」
「職業柄?申し訳ないけどモンスターに職業なんてあるのか?」
「あァ、まあそうなるか⋯⋯。ま、すぐ分かるだろ」
「目的地も分からないのにすぐ分かるとは⋯⋯?」
「ま、それは追々な。それよりもなんでアンタが俺と会ったのか、とか聞きたくないのか?」
「あーー⋯⋯、ごめん、ちょっとその前に色々ありすぎて頭から抜けてたわそれ」
確かにこんなレアモンスターに遭遇するなんて確率で言えばほぼ会ってないような確率だろうけど、ちょっとその前に
やっぱり強敵と連戦でハイになるとだめだね。そんなもんだろって済ませようとして考えることを放棄しちゃうわ。
⋯⋯いやでもさっきの会話の内容的にもタイミング的に言えば多分このヴォーパルバニーに会う原因はさっきのユニークモンスター2連戦だよな?もし条件が確率だとして俺が余程の豪運を発動したって理由でないならそれしかないよなぁ。それとも本当に確率でこの傷が確率を跳ね上げるトリガーになったとか⋯⋯?いやでもこの傷の原因はユニークどもか。うん。
「多分リュカオーンとかオルケストラってやつ関連なんでしょ?」
「まァ、な。その証が刻まれてるってことは少なくともオルケストラってやつから個人として認められてるんだ。だから⋯⋯オヤジが是非ともアンタに会いたいってなァ。そこで俺がアンタを迎えに来たってわけだ」
「なるほどねー⋯⋯ちなみに俺そこそこヴォーパルバニー倒してるけど仇討ちとかはしないの?」
「別にお互いに殺しにかかってくるわけだァ、どっちが死のうが自己責任ってもんよ」
ヴォーパルバニーはそういうところ結構ドライなんだな⋯⋯。とヴォーパルバニーの価値観に驚愕しつつ俺と兎はとある路地の奥の奥、仇討ちにはもってこいな誰も助けに来ないような場所までたどり着く。仇討ちはしないと言ったけど嘘だったんかい⋯⋯と一応棍出しておくが、兎はそんな俺に目もくれず何かを確かめるように壁を叩く。
「よし⋯⋯【
「えぇ⋯⋯なにそれ」
兎が魔法の名前かを唱えると、さっきまで兎が叩いていた普通の壁はなにやら先の靄がかった扉へと変化した。
「さて、俺等の国⋯⋯『ラビッツ』に行くぞ、札の人」
「札の人かぁ⋯⋯まぁ今はそれでいいか。それじゃあ君の名前は?」
「俺はイーヴェルってんだ。よろしくなァ札の人」
「イーヴェルお前札の人って呼ぶの気に入ってない?」
「さァな⋯⋯ほらさっさと行くぞ、オヤジも無限に待ってくれるわけじゃねェんだ」
「了解〜」
扉をくぐり抜ければ、そこは兎の国であった。
⋯⋯ガチで国だ。なんかデカい城もあるし和風な感じだけどちゃんと国だ。忙しなく駆ける兎、武器を持って訓練する兎、にんじんを食べている兎、上裸の青い鳥の被り物を被ったうさ⋯⋯ぎ⋯⋯じゃ、な、いな⋯⋯?
「へ⋯⋯」
「へ?」
「変質者いるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
「あー⋯⋯、鳥の人か。あれはやっぱり人間の中では普通じゃァねェんだな⋯⋯」
これが、俺がラビッツで放った最初の一言になったことを、俺は後に延々と後悔することになるのである⋯⋯。
やっとここまで来た⋯⋯。ようやっとサンラクと会えましたね
評価と感想ください(切実)
次こそは一ヶ月以内に出したいです⋯⋯!