結構間が空きました。初投稿です。
「「天誅!!」」
刀と大鎌が真っ向から打ち合う。互いに一歩も引かず、真正面から切ってやろうと獲物を持つ手に力を込める。少しずつその均衡が当千へと傾いていくが当千のその顔は浮かない。何故なら、刀身で受けている当千と違い、うめつきは大鎌の柄で受けている。つまり大鎌の刃は自由であり、それは
「大鎌に競り合いは仕掛けちゃいけないんじゃないんですか⋯⋯!」
「やっぱそうなるよねぇ、っと!」
傾いた競り合いの均衡を知るかとばかりに大鎌を振り下ろす。しかし当千は読めていたとばかりに刀を手放して回避する。ちなみに刀を手放した、と言っても大鎌が当たるタイミングだけ刀を離しただけであり、攻撃が通り過ぎたタイミングで回収したため刀は結果的には変わらず当千の手元にある。
「俺のことおかしいって言いますけどあんたらもあんたらですよほんとに」
「まぁランカーなんてみんなそんなもんって知ってるだろ?」
「まぁそうですね、正直あの人達とやるなら命何個あっても足りませんよ」
「お、やっぱそうだよね。じゃあこの手を使わせてもらう」
「この手⋯⋯?」
意味ありげに笑う当千を訝しげに見るうめつき。いつ当千が何をしてもいいようその一挙一投足を見ていたのだが。次に当千が取った行動は完全にうめつきの予想外なことだった。しかし、それは最もうめつきが嫌うものでもあった。
「皆ーーー!!うめつきが『薄千』出したぞぉぉぉーーー!!!」
「はっ、当千お前それは!?」
そう、当千が取った行動とはただ
「絶対ランカー寄ってくるだろこれ⋯⋯」
「まぁフラバンとメタルマシュマロあたりは来るだろうなぁ」
「レイドボスは?」
「100%来るだろ、君お気に入りだし」
噂をするなり上空から飛んできた花火を当千めがけて打ち返す。この殺意の乗った花火は間違いなくランカーのフラバンの花火。さっきのサンラクみたいな置き花火樽とは違った狙ったやつをしっかり仕留める用の攻撃だ。更にその隙をついて矢も飛んでくる。しっかりとバックステップで回避。ランカーを始め上位の幕末プレイヤーは隙をついた攻撃でもしっかりと死なない。それはうめつきでも例外ではない。しかしそのランカーの中に隙をつかないといけない遠距離武器使いがいるのだからいかに幕末ランカーが変態かがわかる。
「フラバン、摩天郎は来てるなぁ。あと来そうなのはレイドボス、メタルマシュマロ、征夷大将軍、十文字大福あたりか」
『針千本』むっちりタングステンは団子屋拠点だから来れない、『デュラハン』海蘊藻屑は
「ランカー天誅!」
「キルスコアよこせ!天誅!」
ランカーだけでなく流れ込んでくる上位の実力を持つ幕末プレイヤー。数こそ多いが下手に密集すると
当千もうめつきも寄ってたかるプレイヤーを容赦なく切り捨てながら互いに切り合っていく。花火と矢を避け、お互いにプレイヤーの死体を投げてフェイントを掛け、相手を斬るためだけに浸かるものすべてを使う。いつのまにか乱入してきた『唯一剣』メタルマシュマロと『吹雪狩』征夷大将軍を交えた四つ巴は激化してい「ねぇ」き⋯⋯
「ひさしぶり、だね?」
四人同時に、いや、その声が聞こえた全プレイヤーの視線が一点に集まる。歩いてきた絶対的強者、理不尽の権化。『レイドボス』ユラ。このゲームにおける頂点が今、ここにいる。対応一つですぐ首が落ちるようなこの場面でさえもうめつきや当千、プレイヤーの心は、はこの絶対的強者を討ち取りたいと言っている。
「ねぇ、聞いてる、の?」
「誰に言ってるんですかレイドボスさん⋯⋯」
「うめつき、ユラって、呼んでよ」
「いやー、さすがに無理かな「呼んで」ハイ」
いくら守りの上手いうめつきであっても更に上の強者の圧には逆らえない。逆らえないまま手を引かれ、いつの間にか団子屋まで連行されていた。これにはうめつきも困惑。団子屋を根城にしている『針千本』むっちりタングステンやタングステン狙いのプレイヤーも戦闘をやめて二人を見ている。
「あそこ組んだら勝てなくねぇか?」
「いやぁさすがにうめつきが組むわけ無いだろ」
「当千と共闘しまくってるからなぁ」
そんな外野の会話を聞きながら黙々と茶を啜るうめつきとユラ。笑顔で茶を飲むユラに対して何かが仕掛けられているのではと警戒しながら茶を啜るうめつきが対象的である。両者ともに獲物は閉まっているもののうめつきはすぐに獲物を取り出せるようにしている。
「ユラさん、何で俺等羊羹食べてるんですか」
「羊羹嫌い?」
「いや好きですけど⋯⋯目的が聞きたいんですよ」
「喋りたかった、じゃダメ?」
「それでいきなり天誅とかは勘弁してくださいね」
「やらないよ?斬り掛かってくるなら別だけど」
それを聞いてうめつきと別席に座るむっちりタングステンの体に力が入る。正直この二人は茶を飲むよりもレイドボスと戦りたいと思っている。うめつきにいたっては早くこの茶会を終わりにしてほしいとまで思っている。
まずい、ユラさんが何を考えてるのかわからん⋯⋯俺と毎回遭遇するたび茶会なんだよなぁ。話の意図も毎回毎回よくわかんないし。緊張して茶と団子の味がよくわからん⋯⋯もったいない。もうこれ斬り掛かっていいよな?お互い話すことなくて無言だし。
「⋯⋯『薄千』」
「え、お茶会は、おしまい?」
「すいませんね、話すより戦り合うほうがあってると思いまして」
「⋯⋯そう、残念」
悲しそうな顔でユラさんが拳銃と錆びきった刀を抜く。『錆光』と言って攻撃がクリティカル以外だと自壊するという博打武器。しかし幕末ランカー1位は伊達でなく人力で常にクリティカルを出せるというのだから驚きである。
「『錆光』スタートかぁ⋯⋯」
「行くよ?」
「いつでも」
「「天誅!!」」
レイドボスさんは男の子です。ですがうめつきに向ける感情は友愛とか言う生温いものではないです。それが何を意味するのかは想像におまかせします。