レイドボスのお気に入り、神ゲーに行く   作:伊夜 灯

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なんでこんなプロローグが長いのか。


続々prologue

 

「「天誅!!」」

 

先制攻撃はユラでもうめつきでもなかった。真上からの花火(フラバン)真横からの団子の串(むっちりタングステン)、そして後ろからの斬撃(当千とサンラク)。うめつきはその攻撃が全てレイドボス狙い(・・・・・・・・・)なのを確認し、巻き込まれないよう転がって離脱する。

 

「あっぶないなぁ⋯⋯!?」

 

次の瞬間錆光が振るわれて、花火と串は斬られ、二人の斬撃は弾かれる。あれ捌き切るのは予想してたけどやっぱ化物だなぁ⋯⋯。

 

「サンラク、当千、ここは協力しよう」

 

「まぁそうしないと勝てないだろうね」

 

「俺達が組んでも勝てるかは怪しいけどなぁ!」

 

うめつき、当千、サンラクの三人が組んでも勝てるか怪しい、それほどにレイドボスは強い。さらに幕末はチーミングこそ可能だがあくまで個人戦なのでいつ裏切られてもおかしくない、というのがさらに難易度を上げる原因とも言える。うめつき、当千はまだしもサンラクは裏切り不意打ち何でもありなプレイヤーなので残り二人のサンラクへの信用度は低い。

 

「じゃ、壁やるんであとは臨機応変にお願いします」

 

「しっかり止めてくれよ?」

 

「勝てるかはうめつきにかかってるからねぇ?」

 

「なんでわざわざプレッシャーかけんのよ⋯⋯」

 

多角的に動くよりも正面からのほうが裏目には出ないだろうと真正面からユラさんに向かって突っ込む。そのまま頭をかち割ろうとする錆光を薄千で弾く。ユラさんに対しては大振りで距離を取るよりも近接で小突き続けたほうがいいという統計がが出ている(俺調べ)ので、接近戦で肘と手を狙ってうまくアクションできないようにしてやる。サンラクと当千が攻撃が仕掛けられない?知らん、自分で頑張ってくれ。

 

「やりづらいなぁ、!」

 

「んなこと言って首狙いはアカン!?」

 

「よっしゃ腕いただきぃ!」

 

「うめつき頑張って避けてね!」

 

知ってた。多角的にあらゆる場所からユラさんへと伸びる斬撃。それはユラさんに超至近距離で戦利あっている俺にも当たる可能性がある斬撃であり、俺はユラさんの攻撃を捌きながらコイツラの攻撃も避けないといけない。ちなみにこの戦術は付け焼き刃ではなく何十回もこの戦法を取っているため俺はほぼ完璧に避けることができる。まぁユラさんにあんまり当たることはないんだけど。

 

「サンラクもっと狙って振れよ!」

 

「くっそ耐えてもらってる身だから言い返せねぇ⋯⋯!」

 

「皆、レイドボスはうめつきが抑えてるからじゃんじゃん特攻しちゃってー」

 

「当千それどさくさで俺死ぬやつ!」

 

こころなしかユラさんより俺に特攻してくる割合が多い!お前らユラさんやれなそうだからって俺を殺しに来るなよ!延々と錆光が振れない状態が気に入らなかったのか、錆光をしまい後ろへ跳ぶユラさん。いや、それはマズイ!

 

咄嗟にバックステップでで距離を取ればさっきまで俺の頭があった場所を通過して天に飛んでいく二発の弾丸。流石に二丁拳銃は接近戦じゃあ防げないかなぁ。どう攻めるかと考えながら眉間に向けて放たれる弾丸を薄千で弾く。

 

「ごめんこれは弾丸斬るくらいしかできん!」

 

「大人数で特攻すれば一撃くらい入るからむしろボーナスなんじゃね?」

 

「まずそこまで近づく前に撃ち抜かれるって話じゃない?」

 

三人全員銃なんか持っているはずがないので攻めづらいことこの上ない。ちなみにこのパターンも数十回目。まぁこういうときは他の遠距離攻撃もちに頑張ってもらうしかないよね、ということで。

 

「フラバン!摩天郎!まかせた!」

 

その言葉よりも先にレイドボスに向けて放たれる矢と花火。しかし花火は届く前に撃ち抜かれ、矢は回避される。爆発に合わせてサンラク、当千が突っ込むものの避けられたあとの銃撃を避けるのに精一杯、本当に攻め手がない。

 

もはや特攻もあり、か?いや、それやって何もできずに負けたこともあるしなぁ。下手に突っ込むわけにもいかないよな……だからって一人だけ離れてみてるだけってのも嫌だ。

 

「天誅!」

 

「んーどうするかな」

 

「お前せめてこっち向いて斬れよぉ!?」

 

考えながら襲ってくるプレイヤーを片手間で倒す。ふと意識を思考から戻せば地面には大量のプレイヤーの遺体。誰だこんなひどいことをしたのは⋯⋯。待てよ?これならユラに仕掛けられるのでは⋯⋯?

 

「これはいけるんじゃないですかぁ⋯⋯?」

 

一方うめつきの前方、レイドボスと戦うサンラクたち。高機動のサンラクと当千が動き回ってレイドボスの銃撃を回避し、そこを魔天郎が弓矢で狙う。ちなみにフラバンとむっちりタングステンはもうレイドボスの銃撃で倒されている。

 

「さすがにヘルプ欲しいかなー」

 

「うめつき突っ込ませるわけにもいかねぇし、どうすりゃいい⋯⋯?」

 

「そろそろ終わりかな」

 

二人を撃ち抜かんと、リボルバーの引き金が引かれる瞬間、レイドボスの目が見開かれる。何だと後ろをみれば、豪速でこちらに吹っ飛んでくるプレイヤーの死体(恐らく肉盾)。そして飛んでくる死体に隠れるようにして突っ込んでくるうめつき。

 

「嘘だろ!?オイ!」

 

「面白いことやるねー」

 

「⋯⋯そこか、ばーん」

 

「あっぶななんでわかんの!?」

 

銃弾が正確に死体を貫きうめつきの頭へと向かう。それをしゃがんで回避し、大鎌がレイドボスの手に向けて振るわれる。鈍い音で手に命中するが、その手は銃を離さない。うめつきの目が驚愕に見開かれ、鎌を捨て縋るように銃口へと手を伸ばす。

 

「まだ、やれる!サンラク、当千任せた!」

 

「おいおいかっこよすぎだろ⋯⋯!」

 

「よっしゃここで決める!」

 

うめつきがレイドボスの両手を抑え、足を踏みつけて一瞬でも抑えようと力を込める。そのままサンラクと当千、魔天郎が各々レイドボスを殺らんと仕掛ける。その攻撃は敵でもであるうめつきを狙ってはおらず、まだ利用価値があるということを暗に示している。それは、四人ともこの程度でレイドボスは倒せないだろうと確信している、ということである。

 

「積極的だね」

 

「そりゃそうしないと止められないので」

 

「その首いただきィ!」

 

「今度こそ、天誅!」

 

二人の刀がレイドボスに届く瞬間、うめつきはレイドボスが銃の代わりに虚空から新しい刀を取り出すのが見えた。その刀が手に収まり、振るわれるのを少しでも妨害しようとしたが、もう遅い。抵抗虚しくその刀、『斬星竿』は振るわれ、俺の左手を斬り払った。

 

「くっそ左手とられたぁ⋯⋯」

 

「ようやく『斬星竿』か」

 

「ここ倒せば勝ちだけど、うめつきが左手とられたのがねぇ」

 

一応鎌は片手でも振れるけれどより大降りになる分左手を取られるのはほんとに辛い。窯を右手で持ち、ユラさんの動きを見ていると、斬り落とした俺の左手を懐に入れたんだが。え、怖⋯⋯なんでそんな満足そうな顔してるの。そしてなんで当千とサンラクは仕方ないよなぁみたいな顔してるの、怖いんだけど⋯⋯。

 

「どうしたの?いくよ?」

 

「いやぁなんで俺の手を懐に入れたのか聞きたいんだけど」

 

「聞いてる場合か、それを?」

 

「いやなんでお前らは当たり前みたいな感じだしてんの」

 

それを聞こうと目をユラさんから離した瞬間、首を落とさんと距離を一気に詰めて斬星竿が振るわれる。『斬星竿』は空気抵抗を受けない能力を持つ長刀であり、恐ろしい速度で首へ刃が近づく。後ろに逃げようが前に逃げようが長いリーチで避けきれないことは確定。あと数秒で生首になる未来。

 

「何回やったと思ってんのさ」

 

何十回も負ければこういう攻撃の対応にも慣れるもので、大鎌を滑り込ませてガードする。そのまま峰をレイドボスに向けて振り抜く。それとタイミングを少しずらして当千、サンラク、魔天郎が仕掛ける。

 

「やっぱうめつきいると攻撃に集中できていいね〜」

 

「盾役として最強ぅ!」

 

その分俺のキルスコア稼げねぇしお前らからの攻撃も防がないといけないんだよなぁ⋯⋯。こいつら俺が他の奴らと違って絶対に裏切らないと確信した動きするから困る。まぁ誠に不本意ながら俺だけじゃレイドボスに粘っても勝てないから仕方ないんだが。

 

「というか左手なんでしまったんだよユラさぁん⋯⋯」

 

「欲しかったから」

 

「は、ぁ?」

 

欲しかった?人の手を?いやまぁ幕末プレイヤーなら有り得なくもないか。ユラさんは手フェチということは記憶しておこう、うん。にしても体が痛い。手がないから本来両手で防御するところを無理に体で置き換えなきゃいけないから、大鎌を当てた箇所が痛い。

 

そしていくら防いで捌いて弾いても攻撃が終わらない。マズイ、攻撃に参加したいのに攻撃できる隙が見えねぇ。でもどうにかして一撃入れたい。一撃入ればユラさんも絶対余裕なくなるはずなのよ。

 

振り下ろし、違う。斬り上げ、違う。薙ぎ払い、もっと違う。ユラさんも俺が盾役なのわかってるから露骨に引き剥がしに来てるな。大振りで防いでも後退するような感じで攻撃してきてる。ここからどうにかして崩すしかないよな。

 

薙ぎ払い、振り下ろし、斬り上げ、突き、袈裟斬り⋯⋯ここだ。袈裟斬りを受けるのではなく流す。体を沈み込ませ、大鎌で体の上を通るように剣筋を逸らす。そうすればユラさんは振り切らないままで完全に無防備になる!

 

「天、誅!」

 

「やれうめつき!」

 

「やってやれぇぇ!」

 

大鎌が振り下ろされ、今までのお返しとばかりにレイドボスへと襲いかかる。うめつきの全身全霊、全力。持てる力をフルに使って振るわれた大鎌は頂点(レイドボス)を真っ二つに引き裂く。

 

「危な、かった」

 

「嘘だろオイ⋯⋯」

 

ことはなかった。直前で刃の軌道がズレ、腕を抉るだけに留まる。逆にうめつきの体が上下真っ二つになって崩れ落ちる。支えを失って地面へ落ちていくうめつきが最後に見たのは振り下ろしたはずの刃がいつの間にか斬り上げられていた光景。

 

「燕返しは反則だろ」

 

「遺言それでいいのかお前」

 

「盾役死にますすいませんでしたぁ!」

 

不満と謝罪の言葉を残して、うめつきは通算数十何敗目を喫したのを悔しく思いながら、死んだ。ちなみにこのまま残りの三人もレイドボスに斬られたことを聞いてうめつきは笑っていた。

 




ようやく本編に入れます。うめつきくん生き延びすぎなんですよねぇ

お気に入り、高評価、感想何卒よろしくお願いします。頂けるとやる気が上がって更新頻度が上がる…はず、うん
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