ホラー世界の狂言回しになったので、怪異どもをボコして回ることにした   作:いつもより多く回っております

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13 デスゲームはありまぁす!

「俺の世界とこの世界の違いはほとんどないって言ったけどさ、怪異が関わってると結構違ってくるんだよ。全体から見れば誤差みたいなもんだけど」

「はえー、どんなのがあるんです?」

 

 俺の言葉に、複数人でシェアする前提のナポリタンを一人で平らげながら(三皿目)、興味深そうに牧駒ミウ(口にケチャップが付いている・二十歳)は問い返した。

 俺も自分が頼んだピザに手をつけつつ、話を進める。

 

「まず真っ先に挙げられるのがデスゲームだな」

「あ、いいですよね。最近好きなんですよ。サルマさんみたいな主人公がゲームをめちゃくちゃにしてくやつ」

「ああうん。……それにも言えることなんだけど、この世界のデスゲームって現実のデスゲームの影響をウケるんだよな」

「現実のデスゲーム」

 

 それだけポツリとこぼしてから、牧駒ミウはナポリタンに口をつけ、ごくんと飲み込んでからオーバーリアクションする。

 

「現実のデスゲーム!?!?!?!?」

「ああ、現実のデスゲーム」

「あるんですか、現実に!?」

「ある。というか考えてみてほしいんだが、怪異って人の悪意だろ?」

「ですね」

「悪意の集合体みたいなもんじゃないか、デスゲーム」

「ああー……」

 

 結果として、デスゲームを発生させる怪異というのが誕生するわけだ。

 興味深いのは、このデスゲーム怪異が昔から存在すること。

 昔っていうのは昭和の時代とか、そういうレベルの昔じゃないぞ。

 

「古くから神隠しって呼ばれる現象が存在するだろ? アレの中にもデスゲーム怪異が人を攫ったっていう案件も混じってるんだ」

「え、神隠しの中にもですか!? 食うに困って口減らしとか、そういうんじゃないんですか」

「そうやって山に捨てられた人間を、いらないなら貰ってもいいんですよね? って貰っていくのが神隠しってわけ」

「最悪な○円食堂ですね……」

 

 伏せ字が伏せ字になってないぞ。

 とにかくそうやって怪異は人を集めて殺し合わせてたわけだ。

 この頃のデスゲームは、どっちかというとデスゲームっていうよりコロッセオの方が雰囲気として近いかもな。

 

「とはいえ、そんな時代も長くは続かない。昨今はそうそうリアルにデスゲームを開催できなくなってしまったんだ」

「ええと……土地ですか」

「ああ、土地。後、口減らしで捨てられる子どもとかもそうそういないからなぁ。ホームレスならいなくなっても怪しまれないんだろうけど、だからといってホームレスだけ集めてもゲームとして怪異は面白くないと判断するんだ」

 

 昔のデスゲームは、人のいない山奥でひっそり開催されていた。

 しかしそれも、今の時代人のいない山奥なんてものが早々無く、リアルでのデスゲーム開催はめっきり減ってしまっている。

 ただ、その代わりに別の方法で、怪異たちはデスゲームを開催していた。

 

「んで、その代替として怪異は()()()()デスゲームを開こうと考えた」

「夢の中……集合無意識的な感じですか?」

「まぁイメージとしては、そう。この夢の中で開催するデスゲームは、怪異にとってかなり革命的だったんだ」

 

 まず人を殺さなくていいから、いくらでもゲームを開催できる。

 人間が目を覚ますと夢を忘れる性質をもっているのも大きかっただろう。

 怪異達は毎夜の如くデスゲームを開催し、人々を殺し続けた。

 

「――で、そんな怪異たちの行動によって、人々の脳裏になんとなーくデスゲームっていう概念が形成されていくんだよ。それをとある作品が形にしたことで――昨今のデスゲームブームは花開いたわけだ」

「な、なるほどぉ」

 

 結果的にデスゲームの礎になった作品は同じでも、そこに至るまでの過程には違いがある、という話。

 ちなみに創作としてのデスゲームが流行ったことを怪異は憤っているか……といったらそうでもない。

 何故なら、いきなり何もない空間に閉じ込めても「これってもしかしてデスゲーム!?」と人々が理解してくれるようになったから。

 それまでは何もない空間に閉じ込めて、デスゲームについて説明しても理解してくれなくて大変だったのだとか。

 

「んで、怪異たちの起こすデスゲームにも色々と流行り廃りってものはあるわけでな」

「あ、もしかして十年前はネットゲームに閉じ込められるデスゲームとか流行ってました?」

「正解。んで、今は――」

「力でデスゲームをねじ伏せるブーム……ですか」

 

 そこで、話のオチが大体読めたのか、鋭い視線を牧駒ミウが向けてくる。

 鋭いっていうか……猫みたいな視線っていうか……

 

「サルマさん……やってるでしょ!」

「そりゃあ、怪異が人を苦しめてるんだから、やれそうなら……やるだろ」

「やれそうなら……じゃないんですよ! またそうやって怪異を虐めて……!」

「虐めてない。むしろ夢の中で起きたデスゲームの記憶が忘れられなくて、精神を病んでしまう人を減らしてるんだぞ、俺は!」

「それは……仕方ないですけど……」

 

 まぁとはいえ、そうやってデスゲーム怪異をボコして回ってると、時折面白いデスゲームに行き着く時もあるのだ。

 

「じゃあここらで、一つ実際に起きたデスゲームの話をしようか。コレは俺の知り合いが巻き込まれたデスゲームの話なんだが……」

「それ、最終的にオチはサプライズサルマさんじゃないですか?」

「いや、今回は違うんだって。とりあえず話を聞いてくれ」

「むぅ、仕方ないですね」

 

 言いながら、新しくテーブルに並べられたナポリタンをカリ○ストロよろしくクルクルして巻き上げる牧駒ミウ。

 そんな牧駒ミウに、俺はとつとつと話を始めるのだった。

 

 

 ◇

 

 

 ――一人の少女が目を覚ますと、そこは何もない白い部屋の中だった。

 少女はそれを見てポツリとこぼす。

 

 ああ、またこの部屋か――

 

 少女はデスゲームにかつて何度か参加したことがある。

 そしてその記憶も、はっきり覚えているのだ。

 今回もまた、あの地獄のような夜を越えなくてはならない。

 その事実を少女は突きつけられていた。

 しかしそれに意識を巡らせるよりも早く――

 

「どこなんだよここはよぉ!」

 

 一人の男が、壁を叩きながら叫んでいた。

 ああ、始まったのだ。

 このデスゲームは、基本的に人の記憶に残らない夢の中の話。

 大抵の参加者はたとえ仮に過去のデスゲームに参加したことがあったとしても、忘れているためほとんどが初見である。

 だからこそ、これは自然な反応だ。

 

 ――今回、参加者は四名。

 男が二人に、女が自分を含めて二人。

 少女はため息を付く。

 男は苦手だ。

 特にこういう場面だと、何をするかわかったもんじゃない。

 最悪、ゲームそのものが下衆な内容である可能性もあり、その場合は即座に舌を切って自殺すると少女は心に決めていた。

 何よりよろしくないのは――参加者の中に、こういう時頼りになりそうなもじゃ髪の胡散臭いイケメンが存在しないこと。

 

『今宵は、お集まり頂きまことにありがとうございます』

 

 不意に、そんな声が聞こえてくる。

 性別を感じさせない機械音声。

 人の不安を掻き立てるような、そんな声音だ。

 

『皆様には、わたくしが用意したげえむをプレイしていただきたく思います』

「ゲーム……?」

「な、なぁこれってもしかして……デスゲームなんじゃないか?」

 

 周囲の人々が、だんだんと現状を理解したのか顔色を青ざめさせる。

 混沌とした空気だ。

 デスゲームが始まる時は、いつだってこういう空気が場を支配するもの。

 主催者たる機械音声の男――性別はわからないし、そもそも怪異に性別が存在するのかも不明だが、とりあえず男としておく――はそんな空気を感じ取ってくつくつと笑う。

 まったくもって、楽しそうで何よりだ。

 

『では、今回開催するゲームの内容を発表させていただきます。今回開催するゲームは――』

 

 さて、今回はどのようなゲームが――――

 

 

『絶対に笑ってはいけないデスゲーム丑三つ時。笑ったらハリセンでお尻を叩かせていただきます――――』

 

 

 少女は、そしてこの話を聞いていた牧駒ミウは思った。

 

 そ、そう来たかぁ――――




というわけでお次がデスゲーム編です。
デスゲーム……?

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