地獄の氷叢さん家   作:M.T.

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心操くんの名誉挽回の巻。
面白いと思っていただけましたら、高評価・お気に入り・感想等よろしくお願いします( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
作者は単純ですので、高評価・お気に入り・感想をいただけましたらモチベーションになります。


第20話 氷叢さんと轟くんと焼きそばとチアと

『1時間程の昼休憩挟んでから午後の部だぜ! じゃあな!!! オイイレイザーヘッド、飯行こうぜ…!』

『寝る』

『ヒュー』

 

 マイクのスイッチを切り忘れたのか、プレゼント・マイクと相澤の男子高校生のような会話がスタジアム中に響き渡る。

 

「ありがとうございます、氷叢さん! おかげでいい宣伝になりました!」

「あ、はい……」

 

 発目は、第二種目で一緒に戦った六花に礼を言うと、そのままサポートアイテムの宣伝に向かう。

 六花も昼食を食べに食堂に行こうとした、その時だった。

 

「氷叢、ちょっといいか」

「……ん、なんですかショートさん」

「大事な話がある」

 

 轟が六花を呼び止めたので、六花は空腹を我慢して轟についていく。

 

 

 

 〜少年少女移動中〜

 

 

 

「あの…話って...何...? 早くしないと食堂すごい混みそうだし…」

 

 スタジアムの裏口で、緑谷が轟に向かって話しかける。

 六花が轟に呼び出され、ついていった裏口には、緑谷もいた。

 緑谷が話しかけるも、轟は緑谷に冷たく鋭い目を向けるだけで、何も話さない。

 そんな轟の態度に六花が困惑し始めると、轟がようやく口を開く。

 

「なぁ……緑谷、お前……オールマイトの隠し子か何かか?」

「…………!?」

 

 轟の唐突な発言に、六花は目を丸くして轟と緑谷の顔を交互に見る。

 確かに緑谷の“個性”はオールマイトに似ており、言動の節々にオールマイトへのリスペクトが見られるが、それ以外にオールマイトに似ている要素が無い。

 何故そのような発想になったのか、六花には皆目見当もつかなかった。

 

「……あの、ショートさん。なんでデクさんがオールマイトの隠し子だって……」

「今は緑谷に聞いてんだ。どうなんだ?」

 

 六花が話に割り込んで轟に話しかけると、轟は六花の話を遮り、緑谷に尋ねる。

 

「違うよ、それは……って言ってももし本当にそれ………隠し子だったら違うって言うに決まってるから納得しないと思うけど、とにかくそんなんじゃなくて……そもそもその…逆に聞くけど…何で僕なんかにそんな……」

「………『そんなんじゃなくて』って言い方は、少なくとも何かしら言えない繋がりがある、ってことだな。俺の親父はエンデヴァー。知ってるだろ」

 

 轟が言うと、緑谷が僅かに目を見開く。

 フレイムヒーロー《エンデヴァー》。

 オールマイトに次ぐ地位を築き、事件解決数ではオールマイト以上の数字を誇る、実力派No.2ヒーローだ。

 

「万年No.2のヒーローだ。お前がNo.1ヒーローの何かを持ってるなら俺は……尚更勝たなきゃいけねぇ」

「「?」」

「親父は極めて上昇志向の強い奴だ。ヒーローとして破竹の勢いで名を馳せたが…それだけに生ける伝説オールマイトが目障りで仕方なかったらしい。自分ではオールマイトを超えられねぇ親父は、次の策に出た」

「何の話だよ轟くん…僕に…何を言いたいんだ…」

 

 いつまでももったいぶった話をしている轟に緑谷が尋ねると、轟は忌々しそうな顔をして言った。

 

「“個性”婚。知ってるよな?」

「「………!」」

「“超常”が起きてから、第二〜第三世代間で問題になったやつ…自身の“個性”をより強化して継がせる為だけに配偶者を選び……結婚を強いる。倫理観の欠落した前時代的発想。実績と金だけはある男だ…親父は母の親族を丸め込み、母の“個性”を手に入れた。俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで自身の欲求を満たそうってこった。鬱陶しい…! そんな屑の道具にはならねぇ。記憶の中の母はいつも泣いている…『お前の左側が醜い』と母は俺に煮え湯を浴びせた。ざっと話したが、緑谷、氷叢。俺がお前らに突っ掛かんのは、見返すためだ。クソ親父の“個性”なんざなくたって……いや… 使わず一番になることで、奴を完全否定する」

 

 轟は、憎しみのこもった目を向けて言い放つ。

 エンデヴァーの完全否定、それだけが今の轟を突き動かす行動原理だった。

 想像もつかないような壮絶な家庭環境を聞かされ、緑谷は言葉を失っていた。

 

「言えねえなら別にいい。お前がオールマイトのなんだろうと、俺は右だけでお前の上に行く。それと氷叢」

「ん」

「クソ親父を見返すためにも、お前にも右だけで勝つ。時間取らせたな」

 

 そう言って、轟は立ち去ろうとする。

 するとその時、緑谷が口を開いた。

 

「僕は…ずうっと助けられてきた。さっきだってそうだ…僕は、誰かに救けられてここにいる。オールマイト…彼のようになりたい…そのためには1番になるくらい強くなきゃいけない。君に比べたら些細な動機かもしれない…でも、僕だって負けらんない。僕を救けてくれた人達に応えるためにも…! さっき受けた宣戦布告、改めて僕からも…僕も君に勝つ!」

 

 緑谷は、ハッキリと轟に宣戦布告した。

 すると今度は、六花が口を開く。

 

「あのぉ……話聞いててちょっと思ったんですけど、ショートさんは何がしたいんですか? ヒーローになりたいのか、それともクソ親父を完全否定したいのか、どっちなんですか?」

 

 六花は、轟の事情に土足で踏み込むような質問をした。

 

「両方だ。俺は、クソ親父の力を使わずにNo.1ヒーローになって、奴を完全否定──」

「ムリですよ」

 

 轟が六花の質問に答えようとすると、六花が食い気味に否定する。

 最後まで言い終わらないうちに否定する六花に対して、轟が苛立ちを露わにする。

 

「……何だと?」

「えっと……私はよく知らないんですけど、エンなんとかって有名なヒーローなんでしょ? 右側の力だけでヒーローになったって、有名な人の子どもだって事実は消えないです。ってゆうかそんなことしてたら、そこら辺の(ヴィラン)にすぐ殺されます。ヒーローになりたいんだったら、左側の力も割り切って使ってくしかないです。あ、クソ親父を完全否定したいなら簡単ですよ。ヒーローになんかならなきゃいいんです。いっそのこと、(ヴィラン)になってクソ親父の名前に傷でもつけるのはどうですか?」

「ちょっと、氷叢さん……!」

「お前、何が言いたい……?」

 

 六花は、無表情のまま轟に対して淡々と正論を突きつける。

 六花のあまりにも歯に衣着せぬ物言いに、緑谷が止めに入ろうとするが、轟が怒気のこもった声で六花に尋ねる。

 すると六花は、轟に単刀直入に尋ねる。

 

「もう一度ききます。ショートさん、本当は何がしたいんですか?」

「っ……!」

 

 六花がそう言うと、轟が僅かに目を見開く。

 六花は、憎しみに囚われて本質を見失っている轟の心を射抜くかのように、鋭い眼差しを向ける。

 だがその時、六花の腹の虫が鳴る。

 

「……はぁ、喋ってたらおなかすきました。あ、私もショートさんに勝ちますから、そのつもりで」

 

 そう言って六花は、昼食を食べに食堂へ向かう。

 

 

 

 〜少女移動中〜

 

 

 

「お蕎麦……!」

 

 轟との話を終えて食堂で蕎麦を注文した六花は、綺麗に盛り付けられた盛り蕎麦に目を輝かせる。

 いつものようにネギと七味唐辛子をかけて食べようとした、その時だった。

 

「ねぇ、ちょっと」

 

 普通科の女子が、六花に話しかける。

 ウェーブのかかった黒髪ロングの女子、アッシュブロンドのポニーテールの女子、明るい茶髪のおさげの女子の三人だ。

 

「……ん、なんですか」

「あんた、さっきの騎馬戦、どういうつもり?」

「どういうつもり、とは……?」

「あんたが余計なことしたせいで、心操くんが負けたんだけど」

「あ、そうですか……」

 

 時間がないので、六花は普通科の女子達を無視して蕎麦を食べようとする。

 だがその時、黒髪ロングの女子A子が、六花の食べていた蕎麦をテーブルから払い落とす。

 

「お蕎麦……」

 

 いきなり蕎麦を床にぶち撒けられて六花が目を丸くしていると、A子が六花の胸ぐらを掴んで怒鳴りつけてくる。

 

「ふざけんな!! 心操は、今回の体育祭に賭けてたんだ!! “個性”が入試と相性悪かったけど、体育祭で結果出して、ヒーロー科に編入しようとしてたんだよ!! あんたにその努力と執念がわかんのかよ!!」

「なんで心操じゃなくて、お前みたいなサボってる奴がヒーロー科にいるんだよ!! ずっと舐め腐った態度取りやがって!! 遊んでる暇があんなら、その席あいつに譲れよ!!」

「あんたのせいで、心操くんがチャンスを逃したんだよ? ねぇ、それわかってんの?」

 

 A子に続けて、ポニーテールの女子B美が怒鳴り、おさげの女子C菜が六花を責める。

 いきなり責められて六花が唖然としていると、A子が六花の頬を平手打ちした。

 平手打ちした拍子に六花の頭の髪飾りが落ち、雪の結晶の飾りが粉々に砕ける。

 

「絶対許さないから」

 

 六花が髪飾りを拾おうとすると、A子が六花の髪を掴んで正面から睨みつけながら言い放つ。

 するとその時だった。

 

「ねぇ、何してんの?」

 

 誰かが、女子達の後ろから話しかける。

 女子達の後ろには、ビニール袋を片手に持った心操が立っていた。

 

「あっ……し、心操くんっ……ち、違うのこれは!」

「何してんのかって聞いてんだけど」

「「「っ……!!」」」

 

 心操に声をかけられた女子達が慌てて言い訳しようとすると、心操は語気を強めて彼女達を問い詰める。

 心操に問い詰められた女子達は、何も反論できなくなって押し黙る。

 女子達が去っていった後、心操は、割れた食器や蕎麦を片付けるのを手伝いながら話しかける。

 

「大丈夫か?」

「あ……ありがとうございます……」

「あいつらが何か言ってたみたいだけど、気にしなくていいよ。勝手に言ってるだけだから」

 

 そう言って心操は、割れた食器を拾ってビニール袋に詰めた。

 片付け終わった後、心操が六花にパックの焼きそばを差し出す。

 

「食えよ」

「え……?」

「外の屋台で買ってきた。あんた、午後の種目に出るんだろ。何か腹に入れとかないともたないぞ」

「え、でもこれ、あなたの分なんじゃ……?」

「俺はいいんだよ。次の種目は、もう見るだけになっちまったからな」

 

 心操は、首の後ろを左手で押さえながらそう言った。

 すると六花は、おずおずと焼きそばを受け取る。

 

「……いただきます」

 

 その後六花は、心操と一緒に人通りの少ない非常階段の踊り場に移動し、階段に座って焼きそばを食べた。

 

 

「はぐっ……はぐっ……」

 

 腹が減っていた六花は、無我夢中で焼きそばを頬張った。

 あっという間に焼きそばを平らげた六花は、腹を摩りながら心操に礼を言う。

 

「……けぷっ、ありがとうございます。そういえばあなた、お名前はなんていうんですか?」

「……心操人使だ」

「そうですか。シンソーさんはいい人ですね」

 

 六花の発言に対して、心操は内心単純だと呆れ返る。

 どうやら彼女の中では、『ご飯をくれる人=善い人』という判断基準らしい。

 そんな彼女を見て、心操は自分の話をする事にした。

 素直な六花なら、求めていないお世辞やおべんちゃらは言わないだろうと思ったからだ。

 

「なぁ」

「?」

「もし騎馬戦の時、俺があんたとチーム組みたいって言ってたら、俺が()()()()()()()、チームに入れてくれたか?」

「そりゃあ、まあ……どうしても組んでくれる人がほしかったので……チーム組みたい人がいたら、誰とでも組んでました」

「……そうかい」

 

 心操の質問に六花が素直に答えると、心操が頷く。

 すると六花は、首を傾げながら心操に尋ねた。

 

「あの、シンソーさんの“個性”ってなんですか?」

「俺の“個性”は『洗脳』。俺の問いかけに答えた相手を操ることができる。こんな“個性”だから、スタートラインで躓いちまった。(ヴィラン)向きだとか、散々言われてきたよ。……でもさ、こんな“個性”でも夢見ちゃうんだよ。お誂え向きの“個性”に恵まれてるあんたには、わかんないだろうけど……」

 

 心操は、俯きながら自分の“個性”を話した。

 彼は今まで、自分の“個性”が原因で、同級生や周りの大人から心無い言葉を言われ続けてきた。

 それでも諦められずに、ヒーローになる為に努力し続けてきたが、入試では“個性”が全く通用せず、生身の体だけでは思うように敵P(ヴィランポイント)を稼げずに試験は不合格となってしまった。

 どうせ『努力が足りなかったのが悪い』などと()()()()を言われて終わりだろうと半ば諦めつつも、心操は抱えている思いを六花に打ち明けた。

 

「……もったいない」

「えっ?」

 

 六花は、心操の肩を掴んで、ガクガクと揺すりながら訴えかける。

 

「もったいないです……! なんで騎馬戦の時に言ってくれなかったんですか……そんなすごい“個性”持ってるって知ってたら、チーム組んでたのに……!」

 

 六花が言うと、心操は僅かに目を見開く。

 今まで“個性”を悪く言われ続けてきた彼にとって、六花の発言はまさにコペルニクス的転回だった。

 心操は、その場から立ち上がると、拳を握りしめながら口を開く。

 

「今回は駄目だったとしても…絶対諦めない。ヒーロー科入って、資格取得して、利用出来るものは全部利用して…今よりずっと強くなって…絶対お前らより立派にヒーローやってやる」

「はい……!」

 

 六花が、心操の言葉に答えながら頷く。

 その瞬間、『洗脳』のスイッチが入り、六花の目から光が消えた。

 それを見た心操は、フッと笑いながら六花の洗脳を解く。

 

「フツー構えるんだけどな、俺と話す人は…そんなんじゃすぐ足を掬われるぞ? せめて…みっともない負け方はしないでくれ」

 

 心操は、そう言って不敵な笑みをこぼしながら去っていく。

 すると六花は、その場から立ち上がって心操に話しかける。

 

「あの……! シンソーさんのやきそばのおかげで私、元気出ました。私、シンソーさんの分までがんばって、絶対優勝します……!」

 

 六花が両手で握り拳を作りながら話しかけると、心操は六花に背を向けたまま、左手を振って去っていく。

 心操との話を終えて、六花もスタジアムに戻ろうとした、その時だった。

 

 

「あっ! やっと見つけましたわ、氷叢さん! こんなところにいらしたんですのね!」

「……モモさん? どうしたんですか?」

「早速これに着替えてください!」

 

 息を切らしながら走ってきた八百万が、六花に何かを手渡してきた。

 八百万が渡してきたのは、ちょうど六花の体のサイズに合わせて造られたチアガールのコスチュームだった。

 状況がわかっていない六花は、きょとんとした表情を浮かべる。

 

「…………何故?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

『最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ! あくまで体育祭! ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ! 本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛りあげ……ん? アリャ?』

『なーにやってんだ……?』

『どーしたA組!!?』

 

 昼休み明け。

 何故かチアガールの格好をしたA組女子達がいた。

 女子達は、八百万の“個性”で創造したであろうチアコスに着替えていた。

 六花も、セミロングの髪を編み込みポニーテールにして、他の女子と同じオレンジ色のチアコスを身につけている。

 

「峰田さん、上鳴さん!! 騙しましたわね!?」

 

 八百万が、峰田と上鳴に怒鳴った。

 八百万は、『相澤からの伝言』と言われて二人に騙され、まんまと二人の計画の片棒を担がされてしまったのだ。

 

「何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうの私…」

「アホだろアイツら…」

「これ、短くないです?」

 

 落ち込んで項垂れる八百万の肩に麗日が手を置き、耳郎が呆れながらポンポンを地面に叩きつける。

 六花は、スカートの裾を持ち上げながら、チアコスの丈の短さに不満を漏らしている。

 

「まぁ、本戦まで時間空くし張り詰めててもシンドいしさ…いいんじゃない!!? やったろ!!」

「透ちゃん好きね」

 

 唯一葉隠だけは、チアコスにノリノリだった。

 すっかり気合が入っており、ポンポンをブンブンと振り回している。

 

「それはそうと、上鳴ちゃんと峰田ちゃんにはお仕置きが必要だと思うの」

「そうだね梅雨ちゃん。六花、悪いけどこのアホ2人冷凍して」

「あ、はい」

「「ヒィッ!!」」

 

 蛙吹と耳郎が言い、六花が掌から冷気を放つと、上鳴と峰田が身を寄せ合って震え上がる。

 ヒーローの力は、暴力を振るう為ではなく、弱い者を守る為にある。

 だが、悪を許さないのもヒーローなのだ。

 況してや、ヒーロー科でありながら人を騙す悪の芽は摘むべきである。

 もしくは、因果応報ともいう。

 

 

『さァさァ皆楽しく競えよレクリエーション! それが終われば最終種目、進出5チーム総勢16名からなるトーナメント形式!! 一対一のガチバトルだ!!』

「トーナメントか…! 毎年テレビで見てた舞台に立つんだあ…!」

「去年トーナメントだったっけ?」

「形式は違ったりするけど、例年サシで競ってるよ」

 

 切島が興奮気味に言い、芦戸の疑問に瀬呂が答える。

 そんな中、ミッドナイトがくじ引き用の箱を持って姿を現した。

 

「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります! レクに関しては進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人も居るしね。んじゃ1位チームから順にくじを引いて頂戴!」

 

 ミッドナイトがくじを前に出すと、六花から順にくじを引いていく。

 16人全員がくじを引き終わり、組み合わせが決定した。

 

「というわけで、組はこうなりました!!」

 

 

 Aブロック

 

 第1試合 緑谷vs芦戸

 第2試合 轟vs瀬呂

 第3試合 尾白vs氷叢

 第4試合 飯田vs発目

 

 

 Bブロック

 

 第5試合 塩崎vs上鳴

 第6試合 常闇vs八百万

 第7試合 鉄哲vs切島

 第8試合 麗日vs爆豪

 

 

「終わった……」

 

 トーナメント表を見て一人、絶望している男がいた。

 優秀なのに普通さが拭えない事でお馴染みの、尾白猿夫だ。

 よりにもよって1回戦の相手は、『A組最強は誰か』論争で真っ先に名前の上がる女、氷叢六花だ。

 1回戦で奇跡的に六花に勝てたとしても、2回戦以降には優勝候補の飯田と轟が控えている。

 どう考えても勝ち目のない組み合わせに絶望していると、対戦相手の六花が話しかけてくる。

 

「あの……オジロさん……よろしくお願いしますね」

「うん……」

 

 六花が話しかけると、尾白が自信なさげに頷く。

 組み合わせが発表された後は、全クラス合同のレクリエーションが行われた。

 最終種目に参加する生徒達は、それぞれコンディションを整えたり、レクリエーションに参加したりして過ごした。

 

 

「ふっ……ふれー、ふれー、ふぁいとぉ……」

 

 六花は、A組女子達のセンターに立って、おぼつかない口調とは裏腹に、芦戸や葉隠にも負けないキレッキレのダンスを披露していた。

 上質なシルクのような白銀の髪に、ダイヤモンドを連想させる透き通ったアイスブルーの瞳、白磁のような肌、3年生で一番の美少女の波動ねじれにも劣らない顔立ち、他の女子達に負けないボリュームのバスト、細くくびれうっすら縦に割れたウエスト、安産型で上向きのヒップ、すらりとした手脚。

 その全てが、観客達を魅了していた。

 

「峰田ぁ……!」

「ああ、オイラはこの日の為にヒーローを目指してきたんだ…!」

 

 女子達(主に六花と蛙吹と耳郎)に制裁を喰らって顔面を葡萄のようにボコボコにされた上鳴と峰田が、女子達のチアダンスを見て身を寄せ合いながら感動の涙を流す。

 六花がダンスの合間にウインクをすると、観客達が次々とバタバタ倒れていく。

 

「グハッ」

「コフーッコフーッ」

「カワイイヨリッカチャンカワイイ」

「ガンプク」

「コウジンノイタリ」

「ワガショウガイニイッペンノクイナシ」

「誰か倒れたぞ!! 担架持ってこい!!」

「おいこれ出血量やばくねーか!?」

「なんて幸せそうな顔で倒れてんだ…!」

 

 倒れた者達は、鼻や口から大量出血していたり、目が潰れていたり、異様なまでに体温や心拍数が上昇していたりと、体の至る所に異変が現れていた。

 だが倒れている者達は、全員これ以上ない程に恍惚とした表情を浮かべていた。

 かろうじて無事だった者達が歓声を送ったり、六花の姿を映そうとカメラを構えたり、経営科がここぞとばかりに六花をはじめとする女子達をプロデュースする経営戦略を立てたりと、会場は大盛り上がりだった。

 この時の六花の写真や動画がSNSにアップされ、『氷の妖精』『千年に一度の美少女』などと大バズりしたのがきっかけで全国に六花のファンが爆発的に増え、後にオールマイトに比肩する人気を博する事になるのだが、それはまた別の話。

 

 

 

 

 




オリ主ちゃんのチアコス絵です。
戦闘訓練の時の感想にあった六花ちゃんの胸部装甲ですが、なんかヤオモモが持っていたメモにこんな数字が書かれていました。【88・58・90】


【挿絵表示】



髪飾りが壊れたおかげで雪代さんに“個性”バレせずに済んだ心操くん。
そういう意味では、心操親衛隊の女子達はファインプレーでした。
そしてシリアスの後に唐突にぶち込まれるチアw

なんか二次創作とかで「鍛えてないのが悪い〜」とか言ってる人をよく見かけますが、そもそも心操くんって、最初からヒーロー科の入試に落ちる事前提で、編入狙いで普通科を併願してるんですよね。
プロになれば仕事選んだりとかチームアップとか当たり前なので、自分の領域外のフィールドでまともにやり合うとかいう頭の悪い努力をするくらいだったら、自分に有利なフィールドにリソースを割く方がよほど建設的です。
まあ心操くんに関しては、入試云々の前に現時点で身体能力がたりてないのは事実なんですけど。
心操くんを努力不足だと責める人が多くて辟易している中、かなり昔にそこを掘り下げてくれた小説を見つけて、結構嬉しかった思い出。

ちなみに本作の心操くんは、顔が良くて性格もストイックなので、普通科に親衛隊的なリアコ女子がいるという設定です。
心操親衛隊の女子の名前ですが、それぞれ
安藤瑛子(あんどう えいこ):A子(黒髪ロング)、C組所属。
別木美衣美(べっき びいみ):B美(ポニテ)、D組所属。
瀬川椎菜(せがわ しいな):C菜(おさげ)、E組所属。
です。
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