しかもUA数がバチグソに増えてて目玉飛び出ました。
ランキングパワーすげぇ……
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蛙吹 side
蛙吹梅雨よ。
今年の春から雄英生よ。
まず、家族を紹介しておくわ。
父の
みんなでケロケロ家族よ。
両親が出張の多いお仕事だったから、兄弟のお世話はほとんど私がしてたわ。
大変だけど素敵な生活。
……でもね。
――蛙吹さんって、即行帰っちゃうよね。
――あの子、何考えてるかわかんないな。
――表情全然変わんないしね。カエルだからかな?
ヒーローになる為のお勉強も重なって時間が取れず、なかなかお友達が出来なかったわ。
そんな中、一人の子が私に付き纏い始めたの。
それが
この子もいつも一人だったわ。
睨んだ相手を三秒間弛緩させる“個性”を突然使ってきたり、私を見て舌舐めずり始めたり、怖かったわ。
けれど…私、なんとなくわかったのよ。
だから勇気を出して、言ってみたわ。
「お友達に…なりましょうか」
そしたら、あの子は私に向かって叫んだわ。
「バカなカエル! 私は陰険で捻くれ者よ! 何が友達よ! 友達は選びなさいよ!! こんな私を友達なんて…なんて…」
そして羽生子ちゃんは、泣きながら私に抱きついてきたの。
「ケロ…」
「梅雨ちゃんって呼んでもいいかしら……?」
「ええ、梅雨ちゃんと呼んで」
不器用な子だったのよ。
高校は別々になっちゃったけど、羽生子ちゃんはずっとお友達。
勇学園に進学した羽生子ちゃんが、向こうでお友達ができたとラインで教えてくれた時は、嬉しかったわ。
私も
◇◇◇
プロヒーローへの職場体験が終了し、雄英に戻った私達は、いつもの日常を送る筈。
と思っていたのだけれど……
「いきなりだが、本日のヒーロー実習に勇学園ヒーロー科の生徒4名が特別に参加することになった」
「「「のっけから新キャラキターーー!!!」」」
相澤先生が勇学園から来た子達を紹介すると、皆が一斉に盛り上がったわ。
「メガネ女子だぜー!!」
「峰田くん興奮しすぎ…」
峰田ちゃんが涙を流しながら歓喜していると、緑谷ちゃんが引き攣った笑みを浮かべた。
峰田ちゃん、相変わらずね。
「彼女彼女、ライン教えて! どわっ!!」
「他校にバカを晒すな」
上鳴ちゃんが眼鏡の女の子とラインを交換しようとすると、響香ちゃんが上鳴ちゃんの耳にプラグを差し込んで制裁。
情けない顔を晒す上鳴ちゃんを見て、切島ちゃんと瀬呂ちゃんが大笑いしていたわ。
そんな感じで教室が賑やかになると、相澤先生が“個性”を発動してA組全員を睨みつけたものだから、皆すぐにおとなしくなった。
「……自己紹介を」
「は…はい。実習に参加させて頂く勇学園ヒーロー科赤外可視子です」
「「「おお!」」」
「同じく多弾打弾です。よろしくお願いします」
「「「おお…」」」
「藤見」
「「「お、おお……」」」
眼鏡をかけた可視子ちゃん、汗っかきの多弾ちゃん、爆豪ちゃんに似た雰囲気の藤見ちゃんの順番に自己紹介したわ。
……ケロ?
三人だけ……?
「ん? もう一人いるはずだが」
相澤先生が言うと、可視子ちゃんの後ろから見覚えのある蛇顔が覗く。
あっ、あの子は……!
「ケロッ」
「あっ」
「ケロッ!」
「ああっ! 梅雨ちゃん!」
「羽生子ちゃん!」
私はすぐに、羽生子ちゃんと抱き合ったわ。
こんなところでまた羽生子ちゃんに会えるなんて、すごく嬉しい。
「梅雨ちゃんの友達?」
「カンドウノサイカイ……?」
「何だろう、すごくハラハラするぞ。ネーチャー的に」
抱き合う私達を見て、お茶子ちゃんと六花ちゃんがきょとんとして、緑谷ちゃんが何故か青ざめた。
すると藤見ちゃんが、羽生子ちゃんに向かって叫ぶ。
「万偶数! 雄英の奴なんかと仲良くしてんじゃねえ」
「おい今何つった!? 二流以下のクソ学生が!!」
藤見ちゃんの発言に反応した爆豪ちゃんがキレると、緑谷ちゃんと六花ちゃんが慌てて注意をしたわ。
「マズいよかっちゃん」
「バクゴーさんうるさいです」
「黙ってろクソナードに氷女!!」
「そういうお前も黙れ」
「くっ…!」
爆豪ちゃんが二人に対して理不尽にキレると、相澤先生が爆豪ちゃんを注意した。
爆豪ちゃんでも、相澤先生には頭が上がらないのね。
なんて考えていると、チャイムが鳴った。
「時間だ。全員コスチュームに着替えてグラウンド・Ωに集合。飯田、勇学園の生徒達を案内してやれ」
「承知しました!」
相澤先生が指示を出すと、飯田ちゃんが承諾する。
爆豪ちゃんと藤見ちゃんは……すっかり喧嘩ムードね。
◇◇◇
「あーやっぱり! 二人は同じ中学出身だったんやね!」
「ええ。とっても仲の良いお友達だったの」
その後女子更衣室で、私達は情報交換をしたわ。
「シャー…」
「そ、そうなんだ」
「危険な感じは拭えないけど…」
羽生子ちゃんが舌舐めずりをすると、三奈ちゃんとお茶子ちゃんが怖がる。
私も最初は怖かったけど、羽生子ちゃんなりのコミュニケーションだってわかってからは可愛く思えたわ。
一方で、百ちゃんは可視子ちゃんと話していたわ。
「赤外さんはクラス委員長をしてらっしゃるのね」
「はい。でも…色々大変なんです。1人問題児がいて…」
「それは…こちらも同じですわ」
……爆豪ちゃんと藤見ちゃんの事ね。
◆◆◆
緑谷 side
「不良上がりみたいな奴がトップにいるとは雄英も地に落ちたもんだ」
「んだとこの陰気野郎が」
「気に入らねえんだよ、雄英に入ったってだけでお前みたいなのが世間に認められてちやほやされてんのが」
男子更衣室で、藤見くんとかっちゃんがいがみ合っている。
その様子を見て、僕はもちろん、他の皆もドン引きして言葉を失っていた。
「止めろよ、緑谷…」
「無理だよ」
峰田くんに止めるよう言われたけど、あれがかっちゃんのニュートラルだ。
「喧嘩売ってんなら言い値で買ってやんよ」
「この実習で俺達の方が優れてるってこと証明してやる」
「かかって来いや!!」
「いい加減にしないか爆豪くん!!」
かっちゃんと藤見くんが言い合いをしていると、飯田くんが注意をした。
すると多弾くんも、慌てて僕達に謝る。
「ごめんなさい! 藤見くんは口が悪いけど決して悪い人ではないんです」
「こちらこそすまない。もっとも…こちらは『悪い人間じゃない』…と言えないのが何とも」
「ああ!?」
飯田くんが言うと、かっちゃんがキレる。
大丈夫かな、この実習…
◆◆◆
No side
その後、コスチュームに着替えたA組と勇学園の4人はグラウンド・Ωに集まった。
「よし、全員集まったな。今日のヒーロー実習を担当するのは俺ともう1人…」
相澤がもう一人の教師を紹介しようとした、その時だった。
「私が!!!」
オールマイトの声と共に、ドンっと地面が揺れ、土煙が舞い上がる。
そして紺色のスーツを着たオールマイトが、土煙を両腕でかき分けて登場する。
オールマイトが空から降ってきて、生徒達の目の前に現れたのだ。
「スペシャルゲストのような感じで来た!!!」
すると勇学園の生徒達は、生のオールマイトに感動する。
「オ…オールマイト…!」
「本物…!」
「すごい迫力!」
「雄英が羨ましい!」
悪態をついていた藤見も、オールマイトを見て目を輝かせていた。
それを見た緑谷は、藤見の純粋無垢な笑顔に釣られて微笑む。
「さて、今日の実習だが…全員参加でサバイバル訓練に挑戦してもらう!」
「サバイバル訓練?」
「バトルロイヤルみたいなもんか?」
オールマイトが言うと、切島と上鳴が首を傾げる。
するとオールマイトが空中にプロジェクターを表示しながら説明した。
「状況を説明しよう! 生徒達は4人1組、全6チームに分かれ、こちらが指定した任意ポイントから訓練を始めてもらう。訓練の目的はただ一つ。生き残ること。他チームと連携しようが戦おうが構わない。とにかく、最後まで生き残ったチームの勝利となる!」
オールマイトがルールを説明すると、相澤が確保テープを取り出しながら言った。
「他チームとの戦闘に突入した際…この確保テープを相手に巻き付けたら戦闘不能状態にすることができる。雄英生ならお馴染みのアイテムだ」
「それではチーム分けを発表するぞ!!」
Aチーム:芦戸三奈、蛙吹梅雨、麗日お茶子、緑谷出久
Bチーム:切島鋭児郎、障子目蔵、爆豪勝己、八百万百
Cチーム:尾白猿夫、口田甲司、轟焦凍、葉隠透
Dチーム:飯田天哉、砂藤力道、瀬呂範太、常闇踏陰
Eチーム:上鳴電気、耳郎響香、氷叢六花、峰田実
Fチーム:赤外可視子、多弾打弾、藤見露召呂、万偶数羽生子
「全チーム指定したポイントで待機。5分後に合図無しで訓練を開始する」
「皆生き残れよ!!」
「「「「はい!!」」」」
オールマイトが言うと、六花達は一斉に返事をした。
その後、生徒達は指定されたポイントに向かった。
「頑張ろうねデクくん!」
「うん!」
「負けないわよ梅雨ちゃん!」
「私も全力を尽くすわ!」
「吠え面かかせてやるよ」
「やってみろや」
そんな会話をしながら、それぞれ指定されたポイントに向かう。
「最後まで生き残ろうね、六花」
「はい……っ」
「「うひょ〜〜〜!!」」
耳郎と六花が会話しながら指定されたポイントへ向かう中、上鳴と峰田は、着物に包まれて強調された六花の尻や、今にも捲れそうな着物の裾を見て興奮していた。
だが、六花の尻を凝視している事はバレバレだ。
「「どわぁ!!」」
耳郎は、ノールックで二人の耳にプラグを刺し、(ついでに自分は無視された事に対する私怨も込めて)心音を二人の耳に流し込んだ。
その後、六花達は指定のポイントに辿り着き、そこで待機した。
六花達の待機場所は、岩山の山頂だ。
スマホで時間を確認していた耳郎が、他の三人に話しかける。
「……そろそろ5分経つよ」
「なぁ、どうする?」
「ん〜……なにもしなくていいんじゃないですかね」
「うぇ? なんで?」
「だってこれ、他のチームを倒せっていうルールでしたっけ……?」
「……そっか、生き残りさえすれば、別に戦わなくてもいいんだ。だったらここでじっとしてた方が得策か……」
「なーんか、つまんねぇなぁ」
「オイラはその方がいいけどよぉ……」
ルールでは戦闘は強制されていないので、六花達のチームは他のチームと接触せずに成り行きを見守る事にした。
上鳴がつまらなさそうに胡座をかく一方で、戦う必要がないと聞いて峰田は安心していた。
六花は、雪でかまくらを作り、その中にちゃぶ台と座布団を作ると、座布団に座って懐から水筒を取り出す。
「皆さん……お茶、飲みます……? ギョクロですけど……」
「飲む〜!」
「緊張感無さすぎじゃない……?」
さっきまでつまらなさそうにしていた上鳴が六花の緩い空気に飲まれてすぐに緊張を解くと、耳郎が顔を引き攣らせてツッコミを入れる。
氷でできているというのに、ちゃぶ台や座布団は全く冷たくない。
座布団に至っては、ふわふわと雪のように柔らかい。
どうやら温度や硬さの調節も自由自在なようだ。
「おい氷叢ぁ、茶ぁ出すんなら茶菓子用意しろよ……最近暑いからフルーツがいいなぁ……例えばたわわに実ったメロンとか、丸くて柔らかい桃とか、プリっとした剥きたてのクr」
峰田のハァハァと息を荒くしながらの発言を遮り、耳郎の『イヤホンジャック』による衝撃波が炸裂する。
衝撃波が直撃した峰田は、六花の作ったかまくらの壁に激突し、上半身が壁にめり込み下半身をピクピク痙攣させる。
耳郎も座布団に腰を下ろした事で、訓練にそぐわないほのぼのとした空気が峰田以外の三人を包み込む。
◆◆◆
相澤 side
俺は、オールマイトさんと一緒に高台の上から生徒達の様子を眺めていたわけだが…
やはりというべきか、どのチームも動かないな。
そりゃあまあ、こういうルールなら、他のチームと接触するメリットが無いからな。
「既に訓練を開始して5分経ちます」
「やはりどのチームも動かないか……相澤くん、わざわざ勇学園の生徒達が来てくれているのにこんな地味な訓練で良かったのか?」
「ウチも勇学園の生徒達も、憧れのヒーロー科に入って血気盛んな時期。こういう時だからこそ、戦いを避け自分を律して行動することを学ばせる必要があるんですよ」
「確かに一理あるが…」
終盤までただじっと待っていればいいだけの楽なゲームと思うかもしれないが、それは違う。
いかに自分や仲間を律して行動できるか、いかに他のチームに見つからないよう身を潜める戦略を立てられるかを試される訓練だ。
制限時間が伝えられていない状況で、身を隠して待機するというのは、それだけで精神をすり減らす。
どこまで隠れたままでいられるかな…
なんて考えていると、爆発音が聴こえてきた。
この音…爆豪か。
「そうでない生徒もいるようだ」
暴れ回る爆豪を見て、オールマイトさんは楽しそうに笑った。
ったく、この人は……
◆◆◆
No side
「うわあ!!?」
突然、耳郎が叫びながら跳ね上がる。
そんな耳郎に対し、上鳴がすっかり寛ぎながら話しかける。
「んあ〜……どーした耳郎ぉ〜?」
「あんたは寛ぎすぎ! ってか爆豪やばいよ……! あいつ1人でDチームを全滅させたっぽい……」
「ブ〜ッ!!?」
「デンキさんきたないです」
耳郎の報告に、上鳴がお茶を吹き出すと、六花が上鳴の吹いたお茶を拭きながらツッコミを入れる。
「で、今勇学園の4人に接近してる」
「マジかよぉ!?」
耳郎の報告に、今度は壁の中に埋まっていた峰田がズボッと壁の穴から顔を出して驚く。
硬い雪の壁に叩きつけられ頭がめり込んだ峰田は、『もぎもぎ』を使いすぎたわけでもないのに頭皮から大量の血を流していた。
◆◆◆
万偶数 side
私達Fチームは、可視子ちゃんに索敵をしてもらって、他のチームの状況を把握しているわけだけど……
「チームに合流したわ。距離100m。移動開始」
「すごいわね…あの爆豪とかいう人」
「ケッ」
今の所、爆豪くんの独壇場ね。
すごいわね…流石、体育祭準優勝だわ。
「っ! こっちに向かってる」
「よし打弾! ダダーンといけ!」
「正直戦いは苦手なんだけど…」
「距離80m」
「ヒッ!」
可視子ちゃんが言うと、多弾くんが肩を跳ね上がらせる。
すると追い詰められた多弾くんは、開き直って笑い始めた。
「ハッ…ハハハッ…そうさチームの為さ!! 全員焦土にしてやんよ!!」
完全にはっちゃけた多弾くんは、コスチュームから大量のフラッシュバンを発射した。
多弾くん、普段は荒事苦手なのに、追い詰められた途端見境なくなるからなぁ…
多弾くんのフラッシュバンがBチームの人達を捉え、激しい光と音を立てて炸裂した。
私達は、すぐにフラッシュバンが炸裂した場所へと駆けつけ、Bチームの人達を探したわ。
「おかしいわね。生体反応が見当たらないわ」
「まさか、逃げられちゃったんじゃ…」
「いくらフラッシュバンとはいえ…これだけ広範囲に撃ったんだからそんなことは…」
「この辺りで気絶してる筈なんだけど」
そうよね。
あの一瞬で逃げるなんて、そんな事できるわけ……
「ハッ、本物のミサイル撃ち込んでやりゃ良かったな」
藤見くん、その発言はヒーローとしてどうかと思うわ。
「おいコラ!」
「っ!?」
声がした方を振り向くと、木の表面が剥がれる。
そして剥がれた表面の裏側から、Bチームの人達が姿を現した。
あれは…保護シート…!?
嘘でしょ、あの一瞬で…!?
「いちいちムカつく野郎だな」
「あの一瞬で…!?」
「ぐ…」
「覚悟は出来てんだろうな?」
爆豪くんは、私達に向かって特攻を仕掛けてきた。
ここは私の出番!
「私に任せて!」
私は、爆豪くんを睨みつけて“個性”を発動したわ。
私が睨むと、爆豪くん以外の三人が地面に伏した。
よしっ、今のうちに…!
「この隙に攻撃を!」
「見て!!」
爆豪くんは、両腕と両脚をだらんと垂らしながら宙に浮いていた。
あの一瞬で空中に…まさか……!
「……!? 弛緩する前に跳躍!?」
「たった3秒程度かよ。小っちゃい“個性”だなおい!!」
私の“個性”が解けた爆豪くんは、再び特攻を仕掛けてきた。
「バカにすんな…!」
「ブッ潰す!!」
「舐めんな!!」
爆豪くんが爆破を放ちながら拳を振りかぶると、藤見くんも応戦しようとした。
藤見くん…っ!?
「藤見ダメよ!!」
可視子ちゃんは止めようとしたけど、藤見くんは聞かずに“個性”を発動した。
藤見くんの体からは、大量のピンク色の煙が放たれる。
くっ、遅かった……!
「こ、これは…!?」
「藤見のバカーーーッ!!」
可視子ちゃんの声が、森に響く。
ホントに…何してるのよ藤見くん!
◆◆◆
相澤 side
俺が高台の上から訓練の様子を眺めていると、何やら森からピンク色の煙が発生しているのに気がつく。
おそらく藤見の“個性”だ。
これはかなりマズい事になったな…
「あのガス…勇学園の生徒の資料を読みましたが、かなり厄介な“個性”ですよ。訓練は中止にした方が…」
「いや、この状態こそまさにサバイバルと言える。大丈夫! いざとなったら私が止めに行くさ!」
「ハア…頼みますよホント」
オールマイトさんは、自信満々に言った。
ったく…この人は、この期に及んで悠長な事を…
◆◆◆
No side
「うぇっ、何これ!?」
宙に浮く雪の絨毯に乗っている上鳴が、下の森を見下ろしながら叫ぶ。
六花達は、いち早く異変を察知し、かまくらから脱出して上空に避難していたのだ。
下の森は、ピンク色の霧のようなものが漂っていた。
「ピンクのガス!?」
「エロくない?」
六花達がピンク色の霧を警戒する中、峰田だけは場違いな発言をしていた。
そんな中、耳郎が岩山を指差す。
「見て、あれ!」
耳郎が指した先では、AチームとCチームが合流していた。
「あいつら、生き残ってたのかよ!」
「ピンクのガスから逃げてきたのかな……六花、あそこまで行ける?」
「あ、はい……」
六花は、耳郎、上鳴、峰田の三人を浮かせたまま、緑谷達のもとへ飛んでいく。
しばらく上空から観察していると、そこへ誰かが来る。
爆豪達Bチームと、飯田達Dチームのようだ。
だが……
「「「ゾンビだあああああああ!!!」」」
緑谷達は、爆豪達の顔を見るなり血相を変えて逃げ出した。
爆豪達は、ゾンビになっていた。
爆豪達だけではなく、勇学園の生徒達もゾンビになっている。
ただ一人を除いて。
「ハハハハ! どうだ俺の“個性”は!?」
騒ぎの中心には、藤見がいる。
「雄英なんぞ大したこと……おわぁっ!?」
「きゃあっ!?」
六花は、ゾンビになっていない生徒達を吹雪で巻き上げた。
「六花ちゃん……!」
「助かった、氷叢」
「ケロ、羽生子ちゃん……」
六花は、緑谷達8人を雪で作った絨毯の上に乗せた。
そして、右手は藤見のコスチュームを掴んでいる。
「おいっ、離せ!! 俺に触るんじゃねえ!!」
「……これ、あなたの“個性”ですか」
「だったら何だって言うんだよ? まさか、解除方法を教えろとか言わねえよな?」
「わかってるならはやくおしえてください」
「ハッ、誰が雄英なんかに教えるかよ! さっさと離しやがれ!!」
藤見は、自分が置かれている状況も判断できずに強がりを言う。
すると六花は、右手を雪に変えて崩し、藤見を下に落とした。
その下には、ゾンビになった爆豪達が群がっている。
「オーーーノォーーーーー!!」
ゾンビの群れの中へと落とされた藤見が泣き喚く。
ゾンビ爆豪が藤見に飛びついて噛みつこうとした、その時。
間一髪のところで六花が空中で右手首から先を実体化し、藤見のコスチュームを掴んで持ち上げる。
その直後、藤見を噛み損ねた爆豪の歯が、ガチッと音を立てた。
「かっちゃん、ゾンビになってもしつこい……!」
「あいつの慌てっぷりを見るに、噛まれたら感染するのか……?」
緑谷は、下でガチガチ歯を鳴らしているゾンビ爆豪を見てドン引きし、轟は藤見の狼狽えっぷりを見て冷静に状況を分析していた。
右手を持ち上げて再び手首に繋げた六花は、藤見を見下ろしながら口を開く。
「……またはなされたいですか?」
「わかった、わかった話す!! 俺の“個性”は『ゾンビウイルス』!! ゾンビウイルスを撒き散らして感染させる“個性”だ!! 感染したらどんな攻撃も効かなくなる代わりに、知能が低下して凶暴化する!! ゾンビに噛まれた奴も、ゾンビに感染する!! 効果は、ガスが消えてから5分経ったら解ける!! 俺が知ってるのはこれだけだ!!」
六花が脅すと、藤見が泣きながら“個性”の詳細を話した。
だがここで六花は、藤見が爆豪に噛まれそうになって狼狽えていた事を思い出し、怪訝な顔をする。
“個性”を使った本人なら、ウイルスに耐性があるものとばかり思っていたからだ。
「……あれ、あなたの“個性”なんですよね? だったらなんでそんなに慌ててたんです?」
「俺もゾンビに噛まれたら感染するんだよ!!」
「……はぁ、めんどくさい“個性”ですね」
「うるせぇ!!」
六花がため息をつくと、藤見が吠える。
すると今度は耳郎が藤見に話しかける。
「っていうかさ……あんた、なんで“個性”使ったの? 爆豪どころか味方も巻き込まれてんじゃん」
「そ、それは……あの野郎に煽られて、ムカついてつい……」
「「「「…………」」」」
詰め寄られた藤見が話すと、六花達が呆れ顔を浮かべる。
「で、でもさ! 時間が経てば戻るって言ってたし!」という緑谷のフォローも、虚しく空振りした。
結局、それ以上被害が拡大する事はなく、藤見が言った時間通りに爆豪達が元に戻った。
騒ぎが無事収束すると、相澤が当初の予定通りに終了の合図を出し、合同訓練が終了した。
助けに行く気満々だったオールマイトは、「私の出番……」などと言っていたが。
◆◆◆
蛙吹 side
「皆さん、本当にすみませんでした」
授業の後、私達は校門で羽生子ちゃん達をお見送りしたわ。
藤見ちゃんのやらかしを、委員長の可視子ちゃんが代わりに謝る。
すると百ちゃんと飯田ちゃんも頭を下げた。
「とんでもありませんわ」
「こちらこそ申し訳ありませんでした! さあ、爆豪くんも謝れ!」
「藤見も謝って!」
「「…………」」
「「謝れ(って)!!」」
「「ケッ!」」
飯田ちゃんと可視子ちゃんは爆豪ちゃんと藤見ちゃんに謝るように言ったけど、二人は不貞腐れて意地でも謝ろうとしなかった。
爆豪ちゃんと藤見ちゃん、やっぱり最後まで水と油だったわね。
なんて思いつつ、私は羽生子ちゃんに話しかけた。
「羽生子ちゃん、今日は会えて嬉しかったわ」
「私もよ、梅雨ちゃん」
「ゾンビになったり…」
「色々大変だったけど…」
「でも、楽しかったわ!」
「一緒にいられて嬉しかった!」
「羽生子ちゃん、立派なプロヒーローを目指してお互いに頑張りましょう」
「ええ、絶対に!」
私と羽生子ちゃんは、お別れの前に抱きしめ合った。
プロへの道はまだ遠いけれど、私も雄英で皆と一緒にヒーローを目指して頑張るわ。
数年後、羽生子ちゃんは私のサイドキックとして、一緒にヒーロー活動をする事になるのだけれど、それはまだ先のお話。
六花ちゃんは消えた青山くんの代わりに耳郎ちゃんのチームに入りました。
爆豪のチームに喧嘩売ったりしてないので、耳郎ちゃんのチームは最後まで生き残ってます。
Dチームに女子がいないので飯田くんか常闇くんと入れ替えてDチームに入れようかとも迷ったのですが、パワーバランス重視でEチームに入れました。
何気にメッチャバランスいいチームだったのに真っ先に脱落したDチームェ……