初星学園は今日も平和である。   作:草鞋の人

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今日もどこかおかしい①

『初星学園』

 

それは、日本有数のアイドル養成校である。誰もがトップアイドルを目指して、日々レッスンに励んでいる。

 

 

そんな彼女たちの日常を、少し覗いてみよう。

 

 

 

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「おはようございます、咲希さん」

「ええ。おはよう、プロデューサー」

 

彼女は花海咲希。入学時主席のアイドルである。そしてプロデューサーの方は黒瀬といって、プロデューサー科の一年生である。

どうやら今は朝のミーティングの時間のようだ。

 

「さて、こんなものでしょうか。咲希さん、それではまた放課後に」

「ええ」

 

咲希は軽く礼すると、荷物を持って教室へ向かった。一方黒瀬は、事務所としてあてがわれている教室に鍵を閉め、講義室へと向かう。

彼はプロデューサー科に通う大学生であるので、当然授業もあるのだ。

 

 

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「お。はよーっす黒瀬」

「おはよう真島…っと才原さんは……いつも通りですね」

「ははは…このぐったりした姿が見えてねえのか?目ぇ腐ってんじゃあねえの?!」

「最近はずっとこんな感じだもなぁ…そんなに大変なん?元Syng upの月村さんのプロデュース」

聞きたい?

「「遠慮しておきます」」

そんなぁ…、と掻き消えそうな声をあげる才原を横目に、黒瀬と真島は席に座る。

講義ではあさり先生による様々な教えが繰り広げられた。情報収集方法や、書類の書き方など。

 

そんなこんなで講義を終え、黒瀬と真島は学食へ向かう。

 

「そういや前から気になってたんだけどさぁ」

真島は生姜焼きを口に運びながら、黒瀬に話しかける。

「お前一ヶ月くらい前から水とは別にその水筒飲んでるよな。何が入ってるん?」

「何って…………………

 

 

 

 

  SSDですが?

お前頭大丈夫か?

SSDとは、花海姉妹がレッスンの合間や食事中に飲んでいる栄養ドリンクである。とても味が悪く、とてもじゃないが常習的に飲むものではない。

「お前、ついに精神が…」

「なわけないだろ。そもそも俺の精神が限界なら、プロデューサー科の人は全員イカれてることになるぞ」

黒瀬は呆れ顔で味噌汁を啜る。ちなみに彼はプロデューサー科の中では比較的まともな方である。

 

 

 

「それはそうと、真島は調子どうなんだ?」

「ふっふっふ…そう聞かれるのを待ってたぜ」

 

真島は待っていたかのようにスマホの写真を見せる。そこには金髪おさげのアイドル…藤田ことねの写真である。

 

「これビジュアルレッスンの時に撮ったやつなんだけどさぁ…ほんっと可愛いんだよ。まず仕草だろ?次に顔だろ?あとダンスと(中略)どうだ?可愛かろう?」

「あ、あぁ。」

黒瀬はまさか30分も語られるとは思わなかったようだ。だが彼もその気になればそれくらい語れるので、やはりプロデューサーはやばい人の集まりなのかもしれない。

 

 

 

「…そういえば才原さんいないな。いつものとこか?」

「おう。いつも通り、浅葱先輩のとこで慰めてもらってるみたいだな。」

「先輩に迷惑かけてないといいけど…」

「それは今更じゃね?」

 

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「よしよし、頑張ったね。」ナデナデ

 

「うぅぅ、浅葱センパァァイ!」ムギュゥ

 

才原は、まるで子供のように甘えている。月村手鞠…というか元Syng upメンバーのプロデュースは激務である。故に、こうなってしまうのは必然である。ただし、ここが2年生の教室でなければの話だが

 

「この光景に慣れちまった自分がいるよ。これって俺がおかしいんかなぁ」

「心配する必要はねえぜ大隈。残念なことにこれが日常だ」

 

「なんか嫌ですねこんな日常。でも彼女の抱擁力はホンモノです。大隈さんもやってもらっては?」

 

「まぁ俺もそれなりに大変だが…こんなかで1番大変なのは、白銀だろう」

大隈はオールバックで筋肉質な男を指差す。

 

「あぁ…確かに篠澤は…大変どころじゃないな。何考えてっか分かんねえし、割と唐突にライブやるとか言うし」

白銀は死んだ目で答える。

 

「それを言うなら私…といっても上からの圧力ですが」

「なんだっけ?一年で担当をトップアイドルにしろだっけ?」

「はい。言っちゃ悪いですけど、倉本さんにそれを求めるのは酷なんですよ」

「白銀も花巻も可哀想に」

 

「おや。大隈さんも大変なのでは?」

「いや、佑芽さんは別に普通だぞ?ただちょっとタックルが強いだけで」

「そのタックルでアバラにヒビが入ったの忘れたんですか?」

「可愛いからいいんだよ。必要経費って奴だ」

 

 

「それはそうと、浅葱先輩」

「ん?どうしたの?」

「佐々岡先輩はどうしたんです?姿が見えませんが」

「ああ。彼なら、ほらあそこ」

 

浅葱は窓を開けて、グラウンドの方を指差す。するとそこにはベンチの上で気持ちよさそうに眠っている佐々岡の姿が映し出された。隣には、彼の担当アイドルである秦谷美鈴も見える。

 

「あの人相変わらずのサボリですね。ちょっと羨ましい」

「ふふ。あれでも出席日数計算計算してるみたいよ」

 

はえー、と感心する才原。感謝を伝え、足早に事務所としてあてがわれた教室に帰って行った。

 

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「ところで浅葱ちゃん。なんであんなにあやすのが上手いんだ?」

「たまに麻央ちゃんにやってるからかしらね」

「ええ…それ合意の上でやってんの?」

「あら。大隈くんも人のこと言えないんじゃない?」

「あれは…ほら。スキンシップだから」

「どうだかねぇ」フフッ

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(さて、麻央ちゃんを迎えに行かないと)

放課後、浅葱は少し小走りで麻央のいる教室に向かった。すると、教室の前に一人の男が立っていた。

 

「赤羽くん?こんなところで何してるの?」

「!? なんだ浅葱先輩ですか。いや…姫崎さんにレッスンの資料を渡し損ねてしまって、今届けようとしてるんですけど…」

赤羽はバツが悪そうに目線を教室へ送る。どうやら姫崎莉波と有村麻央が話し込んでいるようだ。浅葱は耳を傾けてみる。

『私には勿体無いくらい、凄いプロデューサーさんだよ』

「へぇ。担当アイドルに愛されてますね」

「か、揶揄わないでください//」

 

顔を真っ赤にする赤羽を愛らしいと思いつつ聞き耳を立てていると、とんでもない言葉が飛び出した。

『えっと…私がお姉さんになるの』

 

ここで唐突だが、姫崎莉波の魅力について語っておこう。彼女の魅力は《お姉さん力》である。それを見抜いた赤羽は、素の状態でお姉さん力を発揮できるようなレッスンをしている。

故に、この回答はなんら間違いでない。そう、間違いではないのだ。

「…………………赤羽くんさぁ。」ジトー

 

 

ただし、それを知らない人からすればこのレッスンはただの特殊プレイである。

 

 

「違うんですよ!話聞いてください!」

浅葱は聞く耳持たずで距離を取る。申し訳ないが、これは赤羽が悪い。




というわけではじまりました。

プロデューサー紹介(信号機編)

・黒瀬海斗→担当アイドルは花海咲希。SSDを常用する異常者。だが学園ではまともな方。


・真島一→担当アイドルは藤田ことね。結構貧乏なこと以外は概ね原作通り。たまにバイト先がことねとかぶるらしい。

・才原雪音→担当アイドルは月村手鞠。一年の紅一点だが、そういう目で見られたことは一度もない。それくらいにはぐったりしている。胃薬をよく買っている。
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