「姫崎さ〜ん。聞いてよ〜!手毬がさぁ…またやらかしてさぁ…」
「よ、よしよし」ナデナデ
莉波の事務所である教室にて、莉波は何故か才原を甘やかしていた。
少し離れたところでは、赤羽ともう一人がじっとその様子を眺めている。
(どうして…こんなことになっちゃったんだろう)
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時は数十分前に遡る。
「姫崎さん。今日もお姉さん力を鍛えます」
「うん。わかったよ」
「今回はちょっと趣向を変えて見ましょう。特別講師をお呼びしてます。どうぞ」
赤羽が扉を開くと、どこかふわふわした雰囲気を醸し出し、おさげををゆらゆら揺らした大人の女性だった。
「麻央のプロデューサーさん!?」
浅葱だった。浅葱は麻央を迎えによく教室に出向くので、莉波とも仲がいい。
「はい。今回行うことは、浅葱先輩に伝えていただきましょう。お願いします」
「うーん…これをレッスンと呼べるかどうかは甚だ疑問だけど、莉波ちゃんには、
私の日課を手伝ってもらおうかな。ちょっとドアの前に立ってくれる?」
「日課ですか?それってどういう…」
「今日は金曜日で、月村さんと麻央ちゃんは完全休養日なの。あと事務所に書き置きも残しといたから、そろそろ来るはず」
莉波は言葉の意味を聞こうとしたが、その時ドタドタと走ってくる音が聞こえてくる。
「浅葱センパァァイ!な゛ぐ゛さ゛め゛て゛く゛だ゛さ゛い゛!!!!!」
「ひゃあああああああ!!!」
「ということで、莉波ちゃんには、雪音ちゃんを思い切り甘やかしてもらいます!」
「頑張ってください姫崎さん。あなたならできます!」
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(それからずっとこんな感じだけど、正直これうまくやれてるのか分からない!プロデューサーくんも真顔だし、どうすればいいの〜?)
「よし。もう大丈夫かな。赤羽くん、一緒に雪音ちゃんを剥がしに行くよ」
「はい。…ほら才原さん。お時間ですよ」
才原は抵抗せず二人に引っ張られた。
「さて、才原さん。姫崎さんの膝枕はどうでした?」
「うーん…確かに癒されたけど、それ以上に申し訳なさが勝っちゃったな」
「そう…ですか」
莉波は少し俯く。どうやら落ち込んでいるようだ。
「姫崎さん、才原さんが申し訳ないと思うのは、ある意味当然です。年上の方に申し訳なさを感じさせないように
レッスンを重ねましょう。大丈夫。俺も出来る限りサポートします。」
「!プロデューサーくん。…わかった。みんなのお姉さんになれるよう、頑張るよ」
「その意気です!そもそも才原さんみたいな捻くれた人が癒されたと言っているんです。
確実にいい調子ですよ」
「おい」
「赤羽くん。私たちはもう帰るね。スケジュールをまとめないといけないから」
「あ、はい。本日はありがとうございました!」
「また何かあったら呼んでね」
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「……ちょっと距離が近かったですね、あの二人」
「そうねぇ。…妬いてる?」
「そんなわけないでしょう。あんな偽シスコン」
「いや赤羽くんの方に」
「それこそあり得ないですよ?!」
「ふふふ。はいはい」
(相変わらず、掴みどころがない人だな。普段何考えてんだろ)
「どうしたの?そんなにじっと見て。私のこと、好きなの?」
「そうですけど違いますよ。浅葱先輩っていつもそんな感じなのかなって思っただけです」
「!ええっと…いつもこんな感じってわけじゃないよ。一人の時とかは、結構だらけちゃうし」
「意外ですね。先輩はいつもしっかりしてるものかと」
「そのギャップがいいでしょ?」
「何言ってんだか」
二人は笑い合って、自らの事務所へ帰っていった。
「……不意打ちはずるいなぁ」ボソ
プロデューサー紹介(リー清、りなまお編)
①君島栄吉→担当アイドルは葛城リーリヤ。プロデューサー科一年。完璧に振る舞おうとするが、暴走して空回りしてしまう。冴島とは高校からの付き合い。自分の身の回りだけ鈍感。
②冴島恵介→担当アイドルは紫雲清夏。プロデューサー科一年。元高校球児だったが、高三の夏に肘を痛めて以降野球ができなくなってしまう。そんな自分と清夏を重ねており、口下手ながらも大事に思っている。自分の身の回りだけ鈍感。
③浅葱美琴→担当アイドルは有村麻央。優しい性格の持ち主だが、恋愛脳である。麻央とは一年の頃からプロデュースしていて、よく膝枕したりされたりしている。
④赤羽康太→担当アイドルは姫崎莉波。プロデューサー科一年。童顔イケメン。莉波は初恋のお姉さん。だからこそ、自分の気持ちは心の奥底へ仕舞っている。