異世界召喚されたのに、最初の試練が"笑ってはいけない"だった件 作:老眼はじまりました
テスト①
《それでは、第二の試練を開始します》
その声と同時に、グォォンと空間が少し変化する。
長テーブルが消え、代わりに大量の机と椅子が並び始めた。
「えっ? 何これ?」
「またすごい仕掛けね……」
ルルアとマーニャをはじめ、全員が驚く。
「でも、この配置って……まさか……」
ヨシュアが嫌な顔になる。
その不安が的中するように、機械音声は淡々と告げた。
《第二の試練は……学力テストです》
……。
一同、しばらく沈黙。
「えっ」
アリーナが固まる。
「えっ」
セラも固まる。
「えっ」
ルルアも固まる。
「学力……?」
ベルベットが眉をひそめる。
「戦闘力……じゃないのよね?」
マーニャが困ったように言う。
「いや待って!? 学力って、あの勉強のやつ!?」
エステルが顔を引きつらせて叫ぶ。
「わっはっは! これはまた別方向に地獄じゃのう!」
マギルゥが大笑いする。
「笑いごとじゃないー!」
「地獄かどうかは、内容次第だな」
ライトニングは静かに腕を組む。
「でも、戦うよりは安心かも……?」
ロロナは、少し安心そうに言う。
それぞれがまだ不安そうにする中、モーグリが説明を始めた。
『今回の試練は、学力だクポ! こちらから出す問題の答えを、みんなで考えるクポ!』
「まんまね」
「口で答えるの?」
『回答ボードに書くクポ。各席に用意してあるクポ』
「ずいぶん本格的ね」
『ちなみに、今回もペナルティがあるクポ』
「「「ええぇーー!?」」」
全員、嫌な悲鳴。
「まさか、また痛いやつ!?」
「もう、お尻キックは嫌ですー!!」
「終わったと思ったのにーー!」
「ちなみに、内容は?」
ヨシュアが静かに確認する。
『それは、その時のお楽しみ……だクポ!』
「「「ためるなぁーー!!」」」
全員絶叫。
「どうせロクでもないことなんでしょ」
「……酷い嫌がらせだ」
ベルベットとライトニングが呆れる。
そんな中……
『それじゃあ、早速行くクポ! 準備はいいか?クポ!』
モーグリが、構わず先に進める。
「早いよー! まだ出来てないぃー!」
と言いながらも、みんな仕方なく席に座る。
モーグリがピッとリモコンを操作して、スクリーンが現れ、ルールが表示された。
【それでは、これから問題を出します。答えは、そこの回答ボードに書き込んでください】
【もちろん、相談やカンニングは禁止です】
「ええぇーー!?」
アリーナがブーイング。
「あなた、する気でいたの……?」
マーニャが呆れる。
そして――
【それでは……開始します】
その言葉に、一同気を引き締める。
そして、第二の試練が始まった。
ジャジャンと軽い効果音がして、音声と同時に問題が表示される。
【第一問 5+2=?】
「…………」
「…………」
「…………」
……。
沈黙。
「……え?」
ヨシュアが目を瞬かせる。
「あれ? 簡単?」
セラが首を傾げる。
「……引っかけか?」
ライトニングは少し警戒していた。
「やったぁー!! 分かったー!!」
アリーナが勢いよくボードに書きこむ。
「これは余裕〜!」
ルルアも元気いっぱい。
「流石にいける!! わたしたちを舐めるなー!!」
エステルが机を叩きながら書く。
他のメンバーも答えを書く。
そして、全員の答えが出揃った。
【7】
【7】
【7】
︙
全員分の答えが出る。
そして……
【全員正解です】
「「「当たり前ぇー!!」」」
一同爆発。
「むしろ間違えたら終わりよ!」
マーニャが全力で突っ込む。
「さすがに分かるからっ!」
エステルも続いて突っ込む。
「ふふーん♪ 余裕余裕!」
アリーナは満足そうに笑っていた。
「……ちょっと危なかった人がいた気がするけど……」
「気のせい気のせい!」
ヨシュアのつぶやきに、アリーナが目を逸らす。
「ルルアちゃん、よく分かったね」
「いや、わかるからっ! いくら私でも!」
ロロナが真剣に褒めていた。
そんな中――
『それじゃあ、次の問題だクポ!』
モーグリがリモコンを操作して、スクリーンの画面を切り替えた。
【まずは、次の文章をお読みください】
声と同時に問題が表示された後、ある文章が表示される。
【財布を落としたと思い、一日中探し回った。
家に帰ると、玄関に置いた靴の中から見つかった。
私はその場に座り込んで笑ってしまった。】
「うわぁ……これ、文系の定番問題?」
「人によっては、凄く難しいやつよね」
「やだぁ……いきなり難易度上がった……」
数名が嘆く中、問題が表示された。
【第二問 今のあなたの気持ちを答えなさい】
……。
……。
……。
理解するのに数秒の沈黙。
そして……
「えっ!? わ、私の気持ち!?」
「嘘っ!? 作者じゃないの!?」
「何それぇー!!」
みんな思わず吹き出す。
全員、とりあえず書く。
そして、全員の答えが出揃った。
ライトニング【とても、戸惑っている】
ロロナ【引っ掛け……でしょうか?】
セラ【財布が見つかって安心するとともに、意外な場所にあったことがおかしく、ほっとした気持ちって答えればいいのかな?】
ヨシュア【設問の意図が分かりません】
マーニャ【こんな問題はじめてよ】
アリーナ【こんな事よりも、早くみんなと闘いたい!】
︙
一斉に答えが表示される。
そして――
【全員正解です】
「「「当たり前だぁーーー!!」」」
またしても、一斉に突っ込みが入った。
「私の気持ちって、なんか書けば絶対正解でしょ!!」
「そこ、普通は『この時の作者の気持ちを答えなさい』じゃないの!?」
「あははははっ! よく分かんないけど、みんな怒ってて面白ーい!」
『みんな、息ピッタリだクポ!』
「「「お前のせいだろぉー!!」」」
またしても息ピッタリの突っ込みが入る中、
『続いて、次の問題だクポ!』
モーグリが、次の問題へと進んだ。
「だから、少しは休ませてよ」
そんな声を無視して――
次の問題が表示された。
【第三問 今、何問目?】
「「「早いわっ!!」」」
またしても総ツッコミ。
「それやるの、もっと後でしょ!」
「まだ記憶力を試される段階でもないからっ!」
「ていうか、第三問目って答え言ったじゃん!!」
次々とツッコミが入る。
「ヒントどころか、答え書いてるし……!」
エステルは笑いながらも一応書く。
そして、答えが出揃った。
【3問目】
【3問目】
【3問目】
︙
他の全員も同じ。
機械音声。
【全員正解!】
「「「当たり前ぇー!!」」」
一同、大爆笑。
「不安になるほど簡単だな……」
ライトニングが静かに呟く。
「……そのうち急に殺しに来そうで怖いわね」
ベルベットが不安そうに肩をすくめる。
「むしろ今は、こちらを油断させている段階かもしれませんね」
ヨシュアが不安を口にする。
今のところは、肩慣らしのような問題ばかり。
だが、ライトニング、ベルベット、ヨシュア……この三人だけは、まだ警戒を解いていなかった。