異世界召喚されたのに、最初の試練が"笑ってはいけない"だった件   作:老眼はじまりました

4 / 16
同一世界からの召喚②

《次の召喚を実行します》

 

「いやもう、“召喚”が軽いんだって!」

「分かる」

 

 突っこむエステルに、ライトニングが珍しく同意した

 

 キィィィン…ヴゥゥン。

 魔法陣が起動。

 バチバチバチッ!!

 空間に金の火花が走る。

 

《マジギギカ・ミルディン・ド・ディン・ノルルン・ドゥの召喚に成功しました》

 

「長っ!」

 思わずエステルが突っ込む。

 

「おおっとぉ!? これはこれはぁ! また妙ちくりんな場所に来たもんじゃのう!」

 

 派手な声と共に、派手なポーズで現れたのは……

 

「じゃじゃーん! あらゆる世界を股にかけ、魔王をも笑う大魔法使い、華麗に参上~!」

 

 ……。

 沈黙。

 ベルベットが即座に顔をしかめた。

 

「……最悪」

「おやぁ? ベルベットではないかぁ!」

 

 マギルゥはにやにや笑いながら近付く。

 

「なんじゃなんじゃ? 今度は異世界観光ツアーかな? お土産あるぅ?」

「ない。帰れ」

「うぅ……つれないのう」

 

 エステルが小声でロロナに聞く。

 

「知り合い?」

「た、多分すごく騒がしいタイプです……」

 

「多分じゃない」

 ベルベットが断言した。 

 

 ロロナが名前を思い出すように、

 

「ええと……マジギギカ・ミルディナス・フォン・ドワーフ…」

 

「ちっがーうう!! 誰がドワーフ族じゃ!」

 

ゴホンと咳ばらいをして、

 

「マジギギカ・ミルディン・ド・ディン・ノルルン・ドゥ…略して、マギルゥじゃ!」

 

 エステルが「マギルゥ?」と聞き返すと、すかさず、

 

「ちっがーう! 隣の柿は、よく客食う柿だ、のアクセントで、マギルウじゃ」

「柿こわっ!!」

 

 マギルゥは周囲を見回し、ぱちぱち瞬きをする。

 

「ほほーう? いろんな輩がおるのぅ。こりゃまた面白い」

 

 そしてロロナとルルアを見て。

 

「おお、親子丼」

 

「違いますからぁ!!」

 ロロナが即ツッコミ。

 

「いや親子ではあるよ?」

 ルルアが素で言う。

 

「そういう意味じゃないのー!」

 エステルが吹き出した。

 

「?」

 アリーナは意味が分かっていない。

 

「親子丼っていうのはねぇ…」

 説明しようとするマーニャに、ライトニングが「説明しなくていい」と即座に遮った。

 

 そんな盛り上がり(?)を見せる一同を無視して……

 

《次の召喚を実行します》

 

「「「またぁ!?」」」

 

 大勢が突っ込む中、相変わらずの、キィィィン…ヴゥゥン。

 いつものように魔法陣が起動。

 今度は優しい光が弓のように飛んでいく。

 その先から、淡い桃色の光が広がった。

 

《セラ・ファロンの召喚に成功しました》

 

 声が響く中、そこから現れたセラ・ファロンと呼ばれた女性は、着地するより先に不安そうに辺りを見回す。

 優しい顔立ち。

 柔らかな雰囲気。

 そして、どこかライトニングによく似た面影。

 

「ここ……どこ……?」

 

 ライトニングの目が、わずかに見開かれる。

 

「……セラ」

「えっ? お姉ちゃん!?」

 

 セラの表情がぱっと明るくなる。

 次の瞬間には、駆け寄っていた。

 

「よかった……! 急に光って……どうなるかと思って……!」

「無事ならいい」

 

 声は相変わらず淡々としている。

 だが、周囲全員が察した。

 

(めちゃくちゃ安心してる)

 

「今ちょっと表情柔らかくなったよね」

「はい。嬉しそうでした」

 

 エステルが小声でロロナに囁く。

 

「……家族か」

 ベルベットは腕を組む。

 

「こういう再会は嫌いじゃないわ」

 マーニャはふっと笑った。

 

 そんな言葉を置き去りにして、また光が集まり始める。

 

《次の召喚を実行します》

 

「いや待って!? ペースおかしくない!?」

「わっはっは! まるで召喚ガチャじゃのう!」

 

 エステルが頭を抱え、マギルゥが愉快そうに笑う。

 

「ハズレが混ざってるわね」

「失礼な。ワシはURじゃぞ?」

 

 そんなやり取りをよそに、今度は静かな青白い光が現れる。

 そこから、一人の少年が滑るように着地した。

 

《ヨシュア・ブライトの召喚に成功しました》

 

 黒髪。

 整った顔立ち。

 静かな目。

 着地した瞬間、ヨシュアは即座に周囲を観察する。

 そして……

 

「……エステル?」

「ヨシュア!!」

 

 エステルの顔がぱぁっと明るくなる。

 

「うわー! 知り合い率高い!」

 ルルアが感心する。

 

 ヨシュアは軽くため息をついた。

 

「……また君は面倒事に巻き込まれてるね」

「いや、今回は私悪くないからっ!」

 

 ライトニングがヨシュアを見る。

 

(この少年……)

 

 一見穏やか。だが隙がない。

 ベルベットも同じことを感じ取っていた。

 

(…この子も只者じゃないわね)

 

《以上、全ての召喚に成功しました》

 

「えっ? 全て?」

「これで終わったってことなのかしら?」

 

 声だけが響く異様な光景の中で、ルルアがふと首を傾げた。

 

「……あれ?」

「ルルアちゃん、どうしたの?」

 

 ロロナが聞き返す。

 ルルアは指を折りながら数え始めた。

 

「えぇと……ライトニングさんとセラさんは同じ世界。エステルさんとヨシュアさんもそうだよね?」

 

 頷く。

 

「ベルベットさんとマギルゥさん。アリーナさんとマーニャさん。わたしとお母さんも同じ世界」

 

「……確かに」

 

 マーニャが目を細める。

 そしてルルアは、核心を口にした。

 

「全員、同じ世界から二人来た?」

 

 その場が静まる。

 ライトニングが即座に周囲を見回した。

 

「偶然じゃないな」

 

 ベルベットも頷く。

 

「意図的に選ばれてる」

 

 ヨシュアが静かに分析する。

 

「しかも、ただ同じ世界ってだけじゃない」

 

 エステルを見る。

 

「僕とエステルみたいに、強い繋がりがある組み合わせ」

 

 ライトニングとセラ。

 ベルベットとマギルゥ。

 アリーナとマーニャ。

 ロロナとルルア。

 エステルとヨシュア。

 

 どれも、関係性が深い。

 マギルゥがにやりと笑う。

 

「ほほーう? つまり、ぼっち禁止空間というわけじゃな?」

「な、何のために?」

 

 セラが不安そうに呟く。

 

「支え合うため……とか?」

 

 ルルアのその言葉に、わずかな沈黙。

 ベルベットがぼそりと呟く。

 

「……試されてるのかもね」

 

 マーニャが目を細める。

 

「絆……とかですか?」

「うわ、急にテーマ性出てきた!」

「みんなで強い敵を倒そうよっ!」

「……普通にありそうで突っ込めない」

 

 ロロナ、エステル、アリーナの会話をよそに、機械声が淡々と告げる。

 

《それでは只今より、第一の試練を開始します》

 

 その声とともに、10人に緊張が走った。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。