異世界召喚されたのに、最初の試練が"笑ってはいけない"だった件 作:老眼はじまりました
試練の始まり①
《第一の試練を開始します》
「試練?」
ライトニングが眉をひそめる。
「絶対ろくでもない流れじゃなこれ」
マギルゥが嫌な顔をする。
そして、ハッキリとその声が続けた。
《第一の試練……》
一同が身構える。
突如、空間にブゥンと電子音が鳴り、スクリーンが現れる。
そして、そこに文字が浮かび上がった。
『笑ってはいけない』
……。
沈黙。
「……は?」
マーニャが瞬きする。
更に追加で文字が現れる。
『笑ったら尻キックの刑』
さらに沈黙。
「えっ……?」
ルルアがぽかんと口を開ける。
「いやいやいや!?」
ついにエステルが突っ込む。
「方向性がおかしい……」
ヨシュアが額を押さえる。
だが機械音声は真面目だった。
《それでは、只今よりルールを説明……》
声が話している途中で、アリーナが真っ先に吹き出した。
「ぷっ、あはははは!!」
「ちょっと、アリーナ?」
「だって、笑ったらお尻にキックって……あははは!!」
アリーナの笑い声に反応し、突如響く機械声。
《アリーナ、アウト》
「えっ?」
戸惑うアリーナ。
どこからともなく、顔無しの真っ黒な人型の生き物が、アリーナの背後にヒュンと現れる。
そして……。
ドゴォン!!!
「きゃあああぁぁっ!!?」
アリーナの尻を全力で蹴った。
謎の人型は、即座にフッと消える。
アリーナが尻を押さえながら、床に転がる。
「いったぁぁぃー!! な、なにっ今のぉ!?」
全員、戦慄。
「な、何だ今のは……」
ライトニングですら目を見開いた。
「後ろにいきなり現れたわよ……」
ベルベットが真顔になる。
「召喚術か!?」
マギルゥが震えながら言う。
《笑ったため、刑を執行しました》
「な、なにそれぇ……」
涙目でアリーナが抗議する。
《なお、女性でも容赦しません》
「してよ!?」
エステルが即座に突っ込む。
「ていうか、ほとんど女性なんですけどぉ……」
ロロナが弱弱しくつぶやく。
だが、次の瞬間……
「くっ……くふふっ!」
マギルゥが、肩を震わせ始めていた。
「……ちょっと」
ベルベットが即座に睨む。
「いやぁ! だってのぉ、突然尻キックって……ぶふぅっ!!」
《マギルゥ、アウト》
「ぬっ?」
ドゴォン!!!
「ぶべらぁぁぁっ!!?」
今度はマギルゥが黒い人型に尻を蹴られ、床まで吹き飛んだ。
そのままの勢いで、顔から床に突っ伏す。
「……っ」
ベルベットが思わず顔を逸らす。
肩が震えている。
ヨシュアが気付く。
(ベルベットさん、危ない……)
セラとエステルは必死に口を押さえていた。
ロロナはぷるぷる震えている。
「む、無理ですってこれぇ……!」
ルルアは既に爆笑していた。
「あはははははっ!! なんで!? なんでお尻たたきなのー!?」
《ルルア、アウト》
ドゴォン!!!
「いっひゃあぁー!!」
「ルルアちゃん!?」
ロロナが悲鳴を上げる。
ライトニングは真顔を維持している。
だが、セラが小声で言った。
「お姉ちゃん……ちょっと口元が……」
「……」
ヨシュアが静かに後ずさる。
(ライトニングさんも危ない……)
「こんなの絶対無理だってぇ!!」
エステルは既に涙目だった。