異世界召喚されたのに、最初の試練が"笑ってはいけない"だった件 作:老眼はじまりました
スクリーンに表示された
『次の映像:秘蔵の過去映像』
という文字に、全員が緊張する。
更には、モーグリが説明する。
『今回は、作り物じゃなくて、実際にあった映像クポ!
みんな、楽しみにするクポ!』
「楽しみな要素が一つもないっ!」
「ワシは他人の映像なら楽しみじゃぞ。ふふふ」
「最低かっ!」
「もう、嫌な予感しかしないです……」
ルルア、マギルゥ、エステル、ロロナ達の会話を背にして、
『それじゃあ、映像を流すクポ!』
モーグリが続けた。
全員が息を吞む。
ピッ…とリモコンを操作して、映像が流れはじめる。
スクリーンに映っているのは……セラ・ファロンだった。
「えっ、わ、私!?」
自分の映像を見て、驚くセラ。
そこは、セラの部屋と思われる場所だった。
『ええと……確か……』
映像のセラは、どうやら衣服の整理中。
ガラッとタンスを開ける。
そして、そこから一着のかわいい服を取り出した。
セラが、懐かしそうに笑う。
『あっ、懐かしいな。
……これ、まだ着れるよね』
服を伸ばして、サイズを自分の体に合わせてみる。
「なんか、嫌な予感が……」
エステルが先を想像する。
案の定、映像のセラは、制服を合わせて着ようとする。
だが……微妙にきつい。
『あれっ?』
引っ張る。
ぐいっ!
さらに引っ張る。
ぐいぃっ!
「だ、ダメです、この流れは……!」
ロロナは、既に肩を震わせ始めていた。
そして、映像内セラが……。
『も、もうちょっと……!』
グイッ!!
次の瞬間……。
ビリィッ!!
部屋に響く、盛大な破裂音。
セーラー服、見事に裂ける。
映像内のセラが、完全に動きを停止する。
『…………』
数秒後、恐る恐る目をやり……。
『うわぁぁぁ!?』
顔を真っ赤にしたセラが絶叫していた。
「「「ぶっはぁぁ!」」」
多くの吹き出す声が聞こえる。
「き、綺麗に破れたぁ!!」
エステルが、腹を抱えて爆笑。
《エステル、アウト》
ドゴォン!
「ああぁっ……!」
「無理やり引っ張るからぁ!!」
ルルアが、顔を覆う。
《ルルア、アウト》
ドゴォン!
「いったあいぃーー!!」
「やっぱり……ぜ、絶対こうなると思いましたっ……!!」
ロロナはもう涙を流していた。
《ロロナ、アウト》
ドゴォン!
「あれえぇーー!!」
だが、それでも映像は止まらない。
映像内セラが顔を真っ赤にして大混乱。
『う、うわわわっ!?』
慌てて隠そうとする。
そしてなぜか……即座にスカートを脱ごうとする。
「いや、なんで脱ぐの!?」
「わかんない! パニックだったの!!」
エステルの言葉に、現実のセラも真っ赤になる。
映像内セラが、焦りすぎて。
ぐいっ!!
次の瞬間。
ビリィッ!!
『なんでぇぇぇぇぇ!?』
またしても、大絶叫していた。
「何をやっておるんじゃぁ!! ポンコツかっ!!」
マギルゥが腹を抱えて笑う。
「なんかパニック映画みたいなリアクションになってる! くくっ…!」
ヨシュアは笑いを堪えきれない。
「セラ……何をやってるんだ……」
ライトニングが呆れて顔を覆いながらも、少し笑っていた。
《全員、アウト》
「「ですよねー」」
セラ以外が、謎の人型によって、次々と尻キックを食らう。
ドゴォン! ドゴォン! ドゴォン!――
「きゃあぁ!!」
「っっ!!」
「ぶへらあぁー!!」
「いったーいぃ!」
一同が次々と尻キックに沈んでいく中、セラは床に崩れ落ちていた。
「思い出したくなかったぁぁぁ……!」
そんな中、
「……もしかして」
「?」
エステルが、尻キックの痛みでお尻を押さえながら、ぽつりと呟く。
「セラさんって実はポンコツ……?」
「言わないでぇぇー!!」
大絶叫。
「否定しきれないのが辛い」
「お姉ちゃんは黙っててぇー!」
そんな中、モーグリが、
『それじゃあ、次の映像を流すクポ!』
「「だから、少しは休ませてぇ!」」
ピッとリモコンを操作して、映像が流れる。
映っているのは……ベルベット、マギルゥ。
そして、仲間と思われる数々のメンバー。
「ベルベットさん達だ!」
「旅の途中かな?」
映像では、荒野の中でみんな疲れている。
「みんなしんどそうです……」
「長旅だったのかしら?」
そんな中……
マギルゥだけは、めちゃくちゃ元気。
いつもの調子で、絶え間なく延々と喋り続けている。
『ベルベットちゃ〜ん♪』
『そんな怖い顔してると老けるぞ〜?』
『ほれほれ、笑顔笑顔♪』
『むっつり顔選手権なら優勝じゃな!』
『今のギャグどうじゃ!?』
ベルベットは無言。
……だが、明らかにイライラゲージが溜まっている。
「うわ、これキツい……」
エステル、吹き出しそう。
「マギルゥさん、絡み方がウザいぃ!」
ルルアが笑いそうになる。
「やめなさいよ、こういうの流すの……」
ベルベット本人が顔を覆う。
映像内では、マギルゥがさらに続けていた。
『ベルベットちゃん、最近色気足りてなくな〜い?』
『もっとこう、女らしさをじゃな』
『例えば胸を強調して……』
ベルベットのこめかみがピクピクと動く。
……完全にキレる寸前。
だが、その時。
『グワオオォーー!!』
魔物襲来。
『ぬっ、来よったな!』
そのまま戦闘が開始する。
マギルゥが素早く前衛へ移動。
ベルベットは状況を見ながら、後方援護へ回る。
「はぁぁ!」
左手から、炎熱弾を放つ準備。
そして、魔物めがけてターゲットを狙う。
「……」
……だが、そのターゲットを、何故かおもむろにマギルゥに移す。
ベルベットが静かに無表情のまま……
ぼそっと呟いた。
『……一発だけなら、誤射だったって言えば誤魔化せるわよね』
「「「ぶっはぁぁ!!」」」
全員が一斉に吹き出していた。
「絶対だめぇぇー!! 流石に死んじゃうからぁ!」
《エステル、アウト》
ドゴォン!
「で、でも、気持ちはわかるわぁー!! ウザすぎるもの! ぶふっ…!」
《マーニャ、アウト》
ドゴォン!
「ぶはぁ!! ワシ、撃たれるところじゃったぁ!!」
《マギルゥ、アウト》
ドゴォン!
「「なんでぇっ!?」」
一同が一通り尻キックをくらった後、
「でも、ベルベットさん、むしろ良く耐えてたよぉ」
ルルアが涙目で感心する。
「うんうん! わたしなら絶対、もっと早くぶっ飛ばす!」
アリーナも力強く頷く。
「疲れてるときにマギルゥさんの絡み方は地獄です……」
ロロナが想像して真っ青になる。
「本当に毎日あんな感じなのよ……」
ベルベットが、深いため息をつく。
「誤射を検討する気持ちは理解できる」
ライトニングが真顔で言う。
「むしろベルベットさんの忍耐力を褒める映像だった気がする」
ヨシュア、冷静分析。
そんな一同の会話を浴びせられながら……
「みんな酷すぎるじゃろぉ!?」
マギルゥの絶叫が響いていた。