朝日が昇りこじんまりとした部屋に光が差す中、太田智久はゆっくりと起きた。
「ピピピピピピピッ、ピピピピピピツ」
「ん、、、あぁー、もう朝かー、いやー、今日も眠いな。さすがに六時間の睡眠は高校生にはまずかったか。まぁ、今度から気をつけるか」
そう言い智久は、まだ、眠気が覚めない目をこすりゆっくりとベットから出て洗顔をしおうと洗面所に向かった。
太田智久は平凡な高校1年生である。
朝に起きて、洗顔をし、朝食を食べ制服に着替え学校に行く。
そんなありふれた高校生だ。
そんな太田智久が住んでいるには、駅近にある。普通の一軒家だ。
.........駅近の一軒家が普通かどうかは分からないが。かなり恵まれていると言っても過言ではない。
徒歩で家から5分歩けば駅に着き、そしてそこから数歩歩けば大手コンビニセンターに着くというのだ。
…………その分値も張るのだが、なかなかいいところに住んでいた。
「えーっと、今日の朝ごはんは食パン一個か。まあー、妥当っちゃ妥当だな」
「生活補助金も今月は尽きたし、こりゃ節約だな」
太田智久は今顔を洗って来たばかりなのか、髪のけの部分に少しだけ水気がついていた。
むしろ水気がつき寝癖がついてなお彼の容姿は前よりも輝いていた。
太田智久は今現在、多様性という言葉が広がっているこの時代において学生をやっていながら、髪も染めることもなく、伸ばさない。肌も焼かなければ飾り物もしない。なかなか珍しい学生である。
背は百七十に届くかいかない程度。
........可愛いかカッコいいかの基準で言えばその顔は同世代の男と比べばやはり可愛いいと言うのが出るのだろう。
高校生になってもなおその生活習慣の乱れが強調されている癖のある髪の毛をくしゃくしゃにして、太田智久は、棚の中から食パンを取り出しかぶりつく。
「じゃ、早くパンを食べないとな。母さん、父さん。ちょっと僕早く学校行くから、そこんとこよろし、、、、、、、はぁ、
まったく何を言ってるんだが、母さんも父さんも五年前に僕が殺したようなもんだろう。もういるわけない」
食パンをかぶりつきながら太田智久は今日の用事を頭のなかで整理する。
それが物忘れが酷い自分にとっての最善であり金が行き詰まっている結果としての方法だからだ。
ーーえっとー、今日は午前中に授業が三限あって、午後に二限あるから結構大変だな
まあ、しゃーないかと思い、残りのパンを胃袋に収めるべく太田智久は口をせっせとせっせと動かした。
「あ、、、、、、時間もう八時か、、、、、、、、、、ヤッベ、こんな呑気にパンを食べてる場合じゃないはやく学校に行かないと遅刻する‼️」
ーーそもそも、なんでそんなことに気づかないのやら、はぁー、全く体内時計も機能してないし。
「ひとまず、今は早く学校に走って行かないとな」
そこから約二分後、玄関には制服に身を包み、今にも玄関を開け外に飛び出そうとしている男子高校生があった。
「えっと、リュックはちゃんと持っている。水筒も入っている、弁当はあっちの自動販売機で買えばいいか。あっ、、、、まずい体育着洗うの忘れてたな。、、、、、、、、まあいっか」
自分の体育着の袋を開け何気なくにおいを嗅ごうとした瞬間、太田智久はあまりの異臭に思わず顔を顰めたと同時に自分の体臭にも絶望した。
それもそのはずだろう。二日間洗濯にださなっかたとはいえ、その物体から漂ってくる匂いはほとんど太田智久という体から発しているからだ。
ーーまじでどうしよう、今日体育あるっているのに。このままじゃ女子から南極のボストークの基地よりも寒い目で見られるかもしれない
「うーん、まあ、体育は休むか。多少休んだって成績に少し影響出るけど、こういうことも「普通の高校生」の範囲内にも入るでしょう。にしてもめちゃくちゃ臭いな。ひょっとしたらアンリマユよりも異質なんじゃないんだろうか。まぁー、見たことはあるけど、会ったことはないから分からないけど」
そこでふっと、自嘲気味な笑みが智久の唇から溢れる。
「まぁ、そんな機会ないけどな。もう僕に全能の力はない。いや、、、、ない方が良かった。はぁー、全くどうやら僕は彼女達みたいに、あの「渦」と向き合うことはできないな」
智久はそこで一つ息を吐き出すと、リビングの奥、写真の中で微笑む両親へと視線を向けた。
「じゃあ、父さん、母さん、行ってきます。夕飯の頃には戻ってくると思う。いやっ、やっぱ友人と一緒に食べて帰ってくるよ」
もうこの世にはいない二人に向け、言葉を投げかけて、彼はドアを開けた。
もうすぐで登校時間が迫るなか、智久は、走る。そんな彼の背中は、朝の眩しい光の中でどこか遠い寂しさを纏っていた。
ーーーこれから始まる。醜く、血煙の戦いなど知らずに。