「って、来ましたよと。パソコン室。いやー、相変わらずデカいなー」
「確かにな..........所で隼人はいつもデジコン部で何をやっているんだ」
「そりゃ、、、、作品を作っているに決まっているだろう。じゃなきゃこの部活からは、強制退部。打ち首だ打ち首。それにこの部活の顧問はおっかないぜ」
「おっかない?」
「あっ、智久知らないのか?この学校の伝説、、、、、、、ここだけの話だが昔この部活の部長が作品を作り忘れてそれで顧問にパソコン室の前で正座させられたっていう伝説」
「、、、、聞いたことないな」
直球で答える智久に、隼人は肩をすくめた。
「そっか、まぁそういうこともあるか。とりあえず俺のパソコンスキルを見せてやろうと思ったんだが、、、、、、、
その前に俺のゼミのポスターの課題手伝ってくんねえか」
その前言葉を聞いた太田智久は呆れかけた。そもそもゼミ課題は、夏休み明けの第一週で提出するものだ。なのにこの男は、今だに提出すらしていなくさらに親友に手伝わせようとしている。
「、、、、、、、、、分かったよ。でっ、何のテーマを手伝えばいいんだ。近代それとも中世?」
隼人が所属しているのは、数あるゼミの中で唯一の歴史系『クラブヒストリア』だ。ちなみにこの成果物も大学推薦の評価対象になるらしい。
「チ、チ、チ、違うんだよなー智久くん! 最近のクラヒスは現代史も扱えるようになったのさ! 今じゃネットや書籍で資料がザクザク見つかるからな!」
隼人は、起動しようとしているパソコンから一旦手を離しこちらへ向くき手の人差し指をせわしなく左右に振る。
ちなみにその仕草さえ一番の親友である太田智久はうざったいと思ってしまった。
「ひとまず、俺は2016年の空白問題について調べようと思ううんだ」
「2016年問題?そんな問題あったけ?」
「あるさ!!もしかして智久知らないのか2015から2016年の間、いつの間にか星の位置が急に別方向に行ったり、気候変動など色々奇妙な事があったんだぜ。最近では、宇宙人がUFOを使って地球そのものを動かしたって話だぜ」
隼人は起動中のパソコンから手を放し、人差し指をちっちっと左右に振ってみせる。その鬱陶しい仕草に、智久は軽く目根っこを揉んだ。
「あっ、、、、そうか。まぁ、抑止力的にはそうなるよな。分かった頑張れよ。僕はちょっと予定があることを忘れていたから先にそれを済ませてから戻ってくるよ」
太田智久は川上隼人に聞こえないように呟くとテーマに何か思う所にあったのか自信のクラス指定バッグを背負い早々にパソコン室から立ち去ってしまった。
「へ?おーい。智久ちょっと待ってくれよ。俺のパソコンスキル見るんじゃなかったのかよー」
智久が立ち去ったパソコン室には少しばかりの部員と寂しそうな川上隼人の声が響いていた。
ーーーーーーーー
午後五時。ザクレス学校において、部活に入っていない生徒たちの最終下校時刻だ。
智久は校舎と校舎をつなぐ渡り廊下の影で、缶のカフェオレを啜っていた。眼鏡を外し、完全にサボりモードで壁に背を預けている。
「、、、、ふぅ~。やっぱ学校終わりのカフェオレは美味しいな」
口にこびりついたのを手で拭い、ふと空を見上げる。
「、、、はぁー、2016年問題か。まぁ、そうなるよな人理焼却なんてものを国連が説明できるとは到底思えないし、説明したとしても神秘に全くかかわらなかった人間にも混乱は広がる」
さも当たり前のように太田智久は、時計塔の魔術師も仰天するようなことを言ってしまう。もしそこに同級生の魔術師達がいれば我を忘れて襟首を掴むだろう。
「しかし、藤丸立香か。9年前に見たとは言え、魔術の知識も知らず、神秘との関わりもない。偶然魔術回路が発現した一般人。本当によく生き残れたな」
ちょっぴりとこびりついたカフォオレの缶を手で拭い、智久は、そろそろ隼人の調べものの時間も終わっと思い、カフェオレの缶を持ち、席を離れる。
「、、まぁ、それは置いといて抑止力も結構ガバガバだな。何で人理焼却や白紙化の記憶も藤丸立香に残してしまうのか。まぁ、そのおかげで新しい本のジャンルも生まれたからいいかもしれないが、、、、」
ぽつんと渡り廊下においてある本を見てため息をしてしまう。
誰かが置き忘れていたのかは知らないがタイトルからして今までの本のジャンルとは段違いの雰囲気を纏っていた。
太田智久は、机に置いてある本を手に取りタイトルを読んでみる。
「『機甲戦記イーリアス/オデュッセイア』っか、ちょっと面白そうだな」
今、川上隼人がいるパソコン室に戻ったとしても彼が部活を終えるまで時間があまり他にすべきことがなかった。
つまり、絶好の読書日和ということだ
「よっし、時間が余っているから。読んでみるか。客観的視点から見るよりも本人が描くような経験の物語が一番面白いからな」
そこらへんにあった席に太田智久は座り本を読み始めた。
もう、その頭のなかには、友人の宿題を手伝うという思考は残っていなかった。
ーーーーーーーーーーーーー
太田智久が本を読み始めてから大体2時間に差し掛かろうとしていた。青空の中心に輝いていた太陽もいつの間にか地平線に沈み空は赤く変色してる。
そんな中、肝心の太田智久は笑いを堪えようと椅子に座りながらも膝をガクガクと器用に震わせていた。
「くくくく、そうか。まぁそうなるよね。いやー、面白いな。まさかギリシャ神話の機械群のことを比喩表現なしに直接描くとは恐れ入った。あとは、あったあった新生アルゴノーツもちゃんと書いてある。本当に色んなことを経験してきたんだな。当事者じゃないとはいえ感慨深いな」
小説をペラペラとめくって読んでいくうちにいつの間にか最後のページに辿り着き太田智久はゆっくりとそのページを開き書かれている内容をみる。
「えーっと、他にも小説書いてんだな。『薔薇の皇帝と獣』『書き換えられた終末戦争』『女剣豪武蔵』『妖精國』っか。いいね、面白そう。僕も成長して収入を得たら買いますか」
渡り廊下に教員が渡らなかったことを幸運に思い太田智久は読んだ本を丁寧に机に置くが、しばらくの思案の後、本を学校指定のカバンに入れる。
「今からでも、落とし物ボックスに行くには確実に教員にバレるからな。明日落とし物ボックス、運が良ければ持ち主に渡しますか」
そう言い、学校指定のバックをもち、バックれたお詫びに自動販売機でカフェオレ缶を買おうとした――その瞬間。
――ぞわり、と背筋を凶悪な悪寒が駆け抜けた。
「っマズい‼︎」
直感に従い、智久は全力でその場を跳躍した。
直後、ドォンッ‼︎ と鼓膜を破らんばかりの爆音とともに、智久がコンマ一秒前まで立っていた場所の自動販売機が木っ端微塵に砕け散った。
煙を上げて刺さっていたのは、一本の巨大な朱槍。
「いったい。どこから‼︎」
朱槍が刺さった起点から方向を割り出し視線を巡らせると渡り廊下の眼下に広がる中庭に180cmをはるかに超える大男が立っていた。
その容貌は赤いそらと混ざり不気味に映し出されている。だが、より一層不気味の要素を引き出しているものがある。
「なんで顔が見えないんだ!!」
夕闇の赤と混ざり合い、不気味なシルエットを形作っている。そして異常なのは――顔が存在するはずの部位が、濃密な黒い靄に覆われて一切視認できないことだ。いくら顔がある部位に視線を固定しようとしてもだ。
だが先の行動や周りにある雰囲気で導き出される答えがある。
朱槍やその大男から放たれる気配、いや神秘といった方がいいかもしれない。その神秘がはるかに濃かった。それは現代の魔術師達が生み出せられないほど。
太田智久はその場で状況を整理しある答えを導き出す。
それは最高位の使い魔であり人理の代行者。死後、人々に祀り上げられ物。
アラヤの勢力として召喚され実態を得られる精霊に近しき存在。
「まさかっ、サーヴァントか!!」
最近、学業がまた忙しくなったためさらに投稿できるのが遅くなってしまうかもしれません。
できるだけ時間を作り書きたいと思っていますのでこの作品を温かく見てくれるとうれしいです