幻影人間の記録について   作:人子ルネ

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5話「看護記録」

▽記録者コメント

 現在、青と白の戦士はインターネット上で『仮面ライダー』や『リアルライダー』と呼称されている。

 これは既存の特撮作品に由来する表現であり、厳密な分類ではない。便宜上、本記録においても同呼称を使用する。

 

 仮面ライダーはシャドウピープル情報局『シャドウビジョン』以外にも、各種動画サイトなどで同様の存在を模した映像が多数投稿されている。

 ネットミームとして拡散しており、『窮地に瀕した時、画面がホワイトアウトし下半身のみが出現する。』という形の動画が多く作成された。

 二次創作物は基本的にこの枠組みで利用されているが、時折手の込んだフェイク映像を作るものも居り、現状、真偽の判別が困難になっている。

 

 また、文章についても同様であり、二次創作小説や偽の体験談などが出回っており、映像よりも文章の方が判別が困難である。

 情報の真偽判定が困難であるため、複数の証言および記録が照合可能な事案のみを記録対象とする。

 

 今回の記録で扱う文献はシャドウピープル情報局『シャドウビジョン』にて取り扱われた、病院内に仮面ライダーが出現した報告について整理する。

 シャドウビジョンは眉唾な情報が多く掲載されているが、シャドウピープルの最大手のサイトということもあり、体験談が多く集積される。

 そのため、精査という前提があれば、母数が多い分、有用性が認められる。

 まず、当該看護記録が記載された最初の記事についてまとめよう。

 

▼シャドウピープル情報局『シャドウビジョン』

 2021-12-15『視聴者体験談155 病院に迫る影!など』より

 

 毎度おなじみ、管理人の苦情ネギです!

 視聴者体験談ももう155回目!

 皆さんの体験談のおかげで、このサイトも国内でも有数のシャドウピープル情報ポータルになれました!

 『質のいい情報を、どこよりも早く掲載する。』

 このサイト理念を達成できているのは皆さんのおかげです

 

 今回も選りすぐりの体験談を、どのサイトよりも早くお届けします!

 

①看護師の目撃談〜病院に迫る影〜

 私の元に一通のメールが寄せられた。

 私のアドレスには毎日、数え切れないほどの体験談が寄せられる。私やスタッフで全ての体験談に目を通しては、「これは」と思ったものを記事にしている。

 これまで多くの体験談を見てきたが、眉唾な体験談や明らかに嘘とわかる体験談も混じっている。

 今回のメールもそんなメールだと思っていた。

 だが、私は文面と添付された写真を見た時に嘘ではないと直感した。”嘘”というのは往々にして細部に現れるものだが、このメールにはそれがなかった。

 これが、そのメールの本文である

 

『件名:①シャドウピープル体験談のコーナー

 P.N.匿名看護師

 はじめまして、YouTubeの動画をメインに見させていただいております。

 私は回復期病棟の看護師として働いており、勤め先の病院でシャドウピープルのようなものを目撃したため、メールさせていただきました。

 

 私は日勤と夜勤の両方で働いており、その日もいつも通り働いていました。日勤の日で、入浴業務が任されていたこともあり、大変な一日だったのを覚えています。

 私はその日は早番で16時に退勤するはずだったのですが、患者さんの対応に手間取ってしまい、もう17時を超えてしまっていました。

 もう外は真っ暗になっていたので急いで帰ろうとしていた時、一人の患者さんから声をかけられました。

 

 患者さんは酷く怯えており、話を聞くと「部屋に変な人がいるから見てくれ」ということでした。

 レビー小体型認知症の患者さんなので幻覚を見たんだろうと思い、気持ちを落ち着かせるために傾聴しながらお部屋に行くと、部屋の奥、床頭台と壁の隙間から覗き込む人影が映っていました。

 

 私もパニックになり、先輩に相談しに行くと、先輩からは「あの部屋は出るからね」と笑われてしまいました。

 その日からシャドウピープルは見ていませんが、過去にも同じような発言があったようで、看護記録に記載されていたものもありました。

 画像として添付します。』

 

 住宅街、ショッピングモール、公園、駐車場、これまでの体験談のほとんどが誰でも出入り出来るところに現れたものだった。

 だが、今回は違う。病院、それも回復期病棟という閉ざされた空間。それに看護記録という作為の混じらない公平な記録。

 添付された四枚の画像には個人情報も含まれていたため、全てをここに載せるわけにはいかないが。個人情報を塗りつぶした形で一枚ここに添付する。

 そうすれば読者諸君もこの話に嘘が混じっていないことは理解できるはずだ。

 

ここまで

 

*注釈*

 苦情ネギが該当記事で添付した画像は、明らかな個人情報は塗りつぶされていた。しかし、生年月日、患者番号などの情報は残っており、素人目線では気付けない個人情報漏洩のリスクもあり、画像は取り下げられた。

 ここでは苦情ネギが添付した画像を文字に起こして記載する。

 電子カルテに映し出された看護記録をそのままスマホで撮影したような画像であり、そこには看護記録としてSOAPの形式で患者の過ごし方が書かれている。

 SOAPとは、主観情報(Subjective)、客観情報(Objective)、評価(Assessment)、計画(Plan)と言う四段階にわけて状況を記載する方式である。

 画像のカルテ上には以下のように記載されている。

 

S こわいよぉ、なんかいるんだよぉ

O 23時頃、Nsコールでの呼び出しあり。訪室時、怯えている様子であり、壁面を指差し続けているが、該当箇所に異常は認められない。

A 先日から、夜間せん妄症状続いている。長期臥床により認知機能の低下が見られているため、日中の離床拡大必要か。

P 日中離床時間の拡大のため、臥床時間の管理を継続。経過観察。

 

*注釈終了*

 

 この画像を見てわかる通り、この体験談は紛うことなき真実である。それも、これと類似した看護記録が他にも三件存在する。これを嘘と断定出来るほど私は愚かではない。

 すぐに彼女とコンタクトを取り、通話を通して今回の件の詳細について聞き込みを開始した。

 以下に通話内容の一部を記載する。

 

通話内容原文

苦情ネギ(以下、苦):この度は体験談を寄せていただきありがとうございます。本当に興味深い話で、今回は詳細について尋ねさせていただこうと思い、通話という形ですがいくつか質問させていただけたらと思います。

匿名看護師(以下、看):よろしくお願いします

苦:匿名看護師さんは今、回復期病棟で看護師さんをされていると書かれていましたが、それは今も変わりないですか?

看:はい。回復期で看護師しています

苦:体験談の影については、今回はじめて目撃したということでしょうか?

看:はい。職場は前から心霊現象が多発していて、私はたまたま遭遇してなかったんですけど……

苦:それはどう言った心霊現象で?

看:例えば物が勝手に落ちるとか、電気が消えるとか、そういうもので、患者さんが幽霊を見たって騒ぐこともあるんですけど、うちは脳外なので

苦:脳外?

看:脳神経外科です。脳卒中の人が多いので、何というか支離滅裂なことを言う人が多いので、よく聞き流してます

苦:今回もそう言った感じだと?

看:そうですね……そうだと思って部屋に行ったんですけど

苦:シャドウピープルに出会ってしまった

看:……はい

苦:病院では他に怪奇現象とか怪しいことはありますか?

看:怪奇現象……と言うと他の患者さんでも幻覚を見ることが多くて

苦:それはどのような?

看:人それぞれですが、赤ちゃんが居るとか、猫が歩いてるとか

苦:シャドウピープルのような発言も?

看:度々あります。メールで送った写真も全部違う人です

苦:証言が重なると実際に居るとも考えられますね

看:証言……ですかね。そういう患者さんは多いので

苦:実際にあなたも見ましたよね

看:えぇ、でも、仕事で疲れていたので……

苦:他に目撃した人とかは?

看:同期が一人見たって言ってました。先輩は全員見てるみたいです

苦:なるほど……怪奇現象が多く発生する病院、興味深いですね

 

 その後も匿名看護師との会話は続き、この病院のある程度の仕組みや人間関係が見えてきた。

 主に病棟には専従の看護師と介護福祉士、リハビリスタッフが働いている。社会福祉士や清掃員、管理栄養士、医師は病棟を跨いで働いているみたいだ。専従の看護師と介護福祉士は仲が良く、リハビリスタッフとは距離がある。社会福祉士と医師は会議の時に出席する。管理栄養士は食事の際によく顔を出す。清掃員さんは各病棟を巡回している。

 リハビリスタッフは日勤専従のため、夜勤専従の看護師との接点は乏しい。匿名看護師さんは日勤と夜勤のどちらも担当しているため、どの職種とも満遍なく交流があるとのことだった。

 もしかしたら、看護師以外にも目撃情報があるかもしれない。

 匿名看護師には「情報を集めてくれないか」とお願いしてインタビューを終えた。

 

▽記録者コメント

 この後も体験談は続いているが、苦情ネギがあげた個人情報保護のミスを考えるとこの体験談が最も真実味を帯びている。

 その後も、匿名看護師と苦情ネギのやり取りは続き、視聴者体験談のコーナーに度々掲載されていた。

 匿名看護師による体験談の数が増えた頃、それをまとめる記事が掲載された。

 

▼シャドウピープル情報局『シャドウビジョン』

 2022-2-16『【まとめ】病院に迫る影、匿名看護師の体験談!』より

 

 毎度おなじみ、管理人の苦情ネギです!

 皆さんのおかげで、視聴者体験談も国内最大数を誇る量になりました!

 今回は『シャドウビジョン』でもHOTなトピック!

 病院という環境で巻き起こったシャドウピープルの目撃情報をまとめます!

 

 読者の方々からも『匿名看護師さんの体験談面白いけど、どれみたらいいかわからない』という意見が多数寄せられています!

 いい機会ですので一度まとめることにしました!

 まず、はじめに匿名看護師さんと私が出会った最初の体験談からまとめていこうと思います。

 

①看護師の目撃談〜病院に迫る影〜

 私の元に一通のメールが寄せられた。私のメールアドレスには毎日、数え切れないほどの体験談が寄せられる。

 

中略

 

 もしかしたら、看護師以外にも目撃情報があるかもしれない。

 匿名看護師には「情報を集めてくれないか」とお願いしてインタビューを終えた。

 

 

②介護福祉士の目撃談〜備品の隙間に潜む影〜

 

 ある日、匿名看護師さんから私にメールが届いた。

 先日のインタビュー以降、同僚達に似たような事例がないか聞き取りを行っていたらしい。そんな時、話を聞いていた介護福祉士が興味深い体験談を話してくれたらしい。

 

 以下の文章は、匿名看護師さんが集めてきた情報や、メールを通して聞き取った情報をまとめて文章化したものである。

 

 私もあの影のことが気になって、同じ看護師さんとか介護福祉士さんとかに「見たことないですか?」って聞いてたんです。そしたら、非常勤の介護福祉士さんが見たことがあるって言ってて。

 教えていただいた体験談をお伝えします。

 

 ちょうど私が見た半年前に、その介護福祉士さんはオムツやパッドの在庫整理をしていたらしいんです。ちょうど夕方で少し薄暗い時間だったので、電気をつけていたらしくて。

 

 うちの病院では倉庫は基本的に扉を開けっ放しにしているんです。リハの職員とか、看護師さんとか業務中にスムーズに入れるようにって聞いたことがあります。

 

 その日、認知症の患者さんが車椅子で倉庫の中に入ってきて、介護福祉士さんは『中に入らないでくださいね』と伝えながら車椅子を押そうとしたんですけど、患者さんが備品の棚の方を指さして、じっと見ているんですよ。

 

「黒い」

 

 失語で上手く話せない患者さんで、自分から喋ることって本当に少なくて。介護福祉士さんとびっくりして咄嗟に振り返ると、指の先、備品が置いてある棚の間から黒い影が挟まっていたんです。

 

 一瞬、ただの備品の影かと思ったらしいんですけど、周りの影と比べものにならないくらい黒くて、明らかに異様で、介護福祉士さんは無言でその患者さんを外に出して、倉庫の扉を閉めたみたいです。

 本当に入りたくないけど仕事が終わってないから、覚悟を決めて扉を開けると影は居なくなっていました。

 

 

③リハ職員が発見した事故〜影が起こした医療事故〜

 

 匿名看護師さんから興味深い体験談が届いた。

 病院内で起こったインシデントについてらしく、そのインシデントが不可解な状況だったとのことだった。

 以下の文章は、匿名看護師さんのメールをそのまま記載したものである。

 

 ちょうど今日、シャドウピープル絡みのようなインシデントが起こりました。

 うちの病院では嚥下機能が落ちている方に、鼻から管を通して栄養を流しています。中には意思疎通が難しく、自分で管を抜いてしまう人がいるので、動かせる方の手にミトンをつけることが多いんです。

 

 今日、インシデントが起こった方は両手ともに麻痺がなく、健康に動かせるので両手にミトンをつけて、帯で両手を抑制している方でした。

 今日の流れを説明すると、お昼後にリハの方から患者さんの鼻管が抜けていると報告がありました。

 ミトンの装着ミスかと思い、複数人の看護師さんと患者さんのところに行くと、患者さんのミトンは外れておらず、なんならいつもよりもきつく締められていました。

 体動により管がどこかに引っかかったのかと考えましたが、抜けた管の場所や周りを見る感じ、その可能性も低い。

 そもそも、その患者さんは体幹の筋力が低下しており、腕や手を動かすことはあっても体動は少なかったんです。

 

 看護師と原因を探したんですが、本当に理由がなくて、一応本人に聞くことにしたんです。その患者さん普段は発話が全くないので、聞いたところで何も言わないと思ってました。

 

「くろ」

 

 それだけ、たったそれだけ口にしたんです。

 看護師さん達は支離滅裂な発言として捉えていましたが、私はシャドウピープルのことを探ってましたから、本当にゾッとしました。

 

 

④社会福祉士の証言〜病院の影とその正体〜

 

 匿名看護師さんから興味深い情報が舞い込んできた。

 社会福祉士さんと話す機会があり、その時に病院に居る影についての有益な情報を貰ったとのことだった。

 以下の文章は、匿名看護師さんのメールをそのまま記載したものである。

 

 今日、社会福祉士さんとお話する機会がありました。

 食堂でご飯を食べている時に話しかけてくださって。

 

 どうやら私が病院の怪談を集めていることが、社会福祉士さんに伝わったようです。その社会福祉士さんは主に私がいる病棟を担当している方で、いつもよくしていただいている男性の方でした。

 外部からよく来るケアマネージャーさんが居て、その方が病院に来る度に変な影が見えると言っていたらしいです。

 例えば車椅子の影、駐車場の隅、リハビリ室のベッドの下とか、色んなところで人型の影が見えると普段から相談されていたようでした。

 

 その社会福祉士さんは話しやすい方で、ついつい私が集めていた情報を全部話してしまい、興味深いことも教えてくれました。

 

 この病院で影の目撃情報が出たのは約4年前。事故があったとか、誰かが死んだとかそういうきっかけはなく、いつの間にか目撃情報が発見されたらしいです。

 その影が発見されると同時に、患者さんの間で化け物の目撃情報が増えたみたいです。大きな鉤爪を持つ、大きな頭を持った人間。

 脳外病院なので、誰かが騒ぎ出したから、それに影響されて集団パニックになったのだろうと片付けられたそうです。

 

 それ以降は心霊現象だったり、影の目撃自体は残ったものの、化け物の目撃情報はパタリとなくなって、実際に「その考察は正しかったのかもしれないね」くらいで収束したみたいです。

 今回は体験談ではなくてごめんなさい。

 苦情ネギさんがまとめていた情報にもシャドウピープルが化け物に変身するみたいなことを書いていたので、もしかしたら……と思ってメールしました。

 

 

⑤清掃員の目撃情報〜多発する影〜

 

 匿名看護師さんから存在を証明するような目撃情報が舞い込んできた。

 病院の清掃員は全ての病棟を跨いで働いているらしい。

 だから、なにか目撃してるかもしれないと思い、清掃員に話を聞くと、そういうことに詳しい清掃員が居て、その人を紹介してもらったとのことだった。

 以下の文章は、匿名看護師さんのメールをそのまま記載したものである。

 

 今日、この前、心霊現象に詳しい清掃員の方とお話してきました。

 その方は変人として有名な方で、若い年齢なのに、ボサボサの髪とぼんやりした目、他の職員と一切会話しないことから看護師の間でも少し敬遠されている方でした。

 

 私は何か知ってるかもと思って、話しかけにいったのですが、最初はずっと無視。それでも根気強く話しかけ続けたら、今日ようやくお話してくれました。

 

 その人は1年前から働き始めて、それから数回、目撃しているとのことでした。

 まず一回目の目撃情報はゴミ捨て場、ゴミ捨て場の奥でゆらゆら立っており、特に害意はなかったから放置していたらしいです。

 二回目〜四回目は乾燥室。手を振っていたものの害意はなかったと言っていました。

 五回目が問題で、備品庫に居て、備品を勝手に並べ替えていたため追い払って、備品の順番を元に戻したと言っていました。

 追い払えるものなんだ……と思っています。

 

 そして一番直近が鼻管の時でした。病棟内の影を伝って病室に入っていくことを目撃したらしいです。いつもと同じ動きで、前に目撃して以降、特に悪さはしてなかったので、放置したら、結果があれ。

 どうやら清掃員さんは止められなかったことを悔やんでいるような話し方をしていました。

 

「もう追いかけるのはやめた方がいい。怪我をするだけ」

 

 と忠告され、清掃員さんは大きく溜息をついて仕事に戻っていきました。あの冗談を言わなそうな真剣な表情でそういうことを言われると、本当に怖くなります。

 もしも、本当に鉤爪があって、襲いかかって来たら。

 そう思うと……とても怖いです。

 

 これから、積極的な捜査は辞めようと思います。

 なにか、病院内で進展があったら連絡します。

 

 匿名看護師さんからの投稿は以上になります!

 匿名看護師さんも最初の一件からカルテの写真は送ってこなくなったんですが、それでも余りあるほどの情報量。

 他の体験談と違い、地続きの報告ですから、よりシャドウピープルの生態が具体的に見えてきたかなと思います。

 

▽記録者コメント

 複数視点の体験談から、シャドウピープルがどういう存在なのかが大まかに見えてくる報告である。

 この体験談から見えてきたシャドウピープルの特徴は大まかに三つ。

 

・シャドウピープルは暗い場所や目立たない場所に隠れている

・シャドウピープルは物理的干渉が可能

・シャドウピープルは異形の姿を持っているかもしれない

 

 三つ目は不確定ではあるものの、これまで私が記録していた内容から、シャドウピープルは影の姿とは別に異形の姿を持つと捉えるのが妥当だろう。

 頭が二つ、赤子の顔、ダルマ、そして大きな頭。人間と近しいが、一目で別の存在と理解できる特徴を持っていると推察できる。

 

 匿名看護師からの投稿はしばらく来なくなり、最後の投稿から三ヶ月後、新たに進展が見られる。

 

▼シャドウピープル情報局『シャドウビジョン』

 2022-05-28『【ラスト!?】病院に迫る影、匿名看護師の体験談!』より

 

 毎度おなじみ、管理人の苦情ネギです!

 シャドウビジョンも国内最大手として、オカルト雑誌からも声がかかるようになりました!

 是非とも今月発売の月刊『ヤタ』の私のインタビューを見てください!

 

 今回は『シャドウビジョン』でもDEEPな話題!

 病院で巻き起こったシャドウピープル体験談の最終章!

 前置きは長くなっても蛇足なだけ!

 それでは匿名看護師さんの体験談をお楽しみください!

 

 この前、病院で大きな事故が起こったんです。

 幸い命に別状はなかったんですけど……少し最初からまとめて話します。

 

 夜勤の看護師さんが朝、患者さんの様子がおかしいことに気付いたんです。

 その患者さんって夜間もずっとナースコールを押し続ける人でした。元々、言葉や声が出せない人で、呼ばれる度に身振り手振りで伝えてくるんですけど、何を言ってるのかがわからなくて……。

 まぁこんなこと言っちゃダメだとは思うんですけど、夜勤の看護師さんからは「またあの人か〜」ってなる患者さんで。

 

 その患者さんがその日の夜、一回もナースコールを押さなかったんです。夜勤の看護師さんも定期巡回はしているので、危険な様子もなく、たまたま何も用がないのかな〜って思ってたらしいです。

 けど、流石に朝になっても0回はおかしいということで様子を見に行ったら、ベッドのシーツが血まみれになっていました。

 

 医者と状態を確認したところ、背中に巨大な爪で傷跡があり、出血量が多いため一時的に気絶状態になっているみたいでした。

 適切な処置をしたあと、他院に運ばれ、何とか命に別状はなかったそうです。

 警察も介入し、事件性はないか取り調べを受けましたが、凶器なども見つからず。爪の形状的に野生動物の可能性も探りましたが、野生動物ならもっと痕跡があるはず……

 全く理由がわからず捜査は中止になりました。

 

 患者さんは状態安定まで他院で過ごすようですが、ご家族さんが一度病院にいらっしゃったんです。

 ご家族さんとしても怒っている様子はなく。

 「理由がわからないから、原因特定のために……」と、他院で過ごしている患者さんの情報を伝えてくれました。

 

 その情報によると、その患者さんは夜や影など暗いところを怖がるようになっているみたいです。

 何があったのか尋ねても、取り乱してしまいコミュニケーションボードを使用しても意思疎通が難しいらしいです。

 

 私はどうしてもあの化け物を連想してしまいました。

 巨大な鉤爪を持つ化け物。暗闇を恐れているのも影が化け物に変化したからじゃないかと思ってしまうからです。

 

 

 話の本筋はここからです。

 一昨日、私はまた影と出会いました。

 

 その日は久しぶりの夜勤でした。

 私はシャドウピープルのこととか、この病院にいる化け物のことを考えてしまって、無性に怖くて仕方なかったことを覚えています。いつも通り、病室の定期巡回を終えて、ナースステーションに戻る時、目の前に居たんです。

 

 廊下の中央に成人男性くらいの人影がゆらゆらと立っていました。

 人影……と言うか黒い影そのものが立って揺らめいているんです。

 私は体が全く動きませんでした。怖くて怖くて仕方なくて、どうしたらいいのかかわからなくて。

 人影はいつの間にか動き始めていて、自分に近付いて来てました。

 

 いつの間にか手元には巨大な鉤爪が現れ、頭は巨大な赤ちゃんの顔に変わり、表情も人と言うよりも人形のように無機質で。そんな化け物が、フラフラと頭を振りながらゆっくりと歩いてくるんです。

 どうしたらいいのかもわからず、立ち止まっていると、化け物を挟んで廊下の奥、曲がり角から金属が擦れるような音と共に足音が聞こえ始めました。

 看護師さんの足音ではない。地響きのような重い足音。

 

 私は祈ることしか出来ず、その曲がり角から誰か味方がくれることを祈って、凝視していると、曲がり角から現れたのは青と白の鎧を身にまとったヒーローのような姿をした人でした。

 

 このサイトで言う仮面ライダーなんでしょうか。黄色い昆虫のような大きな目、口はなくヒーロー番組の仮面を被ったような存在。

 化け物も仮面ライダーに気付いて振り返った瞬間、仮面ライダーは走り出し首を掴み、壁に叩きつけました。化け物を何度も何度も殴りつけてました。

 

 その衝撃で患者さんが起きてしまい、私はその場から逃げて、患者さんの部屋に行ったのを覚えています。

 その後、衝撃音は遠ざかっていき、私がその場所に戻ると壁に煤のようなあとが少し残っているだけで、彼らは跡形もなく消えていました。

 嘘のような話だとは思いますし、私も寝ぼけていたと思いたいです。

 

 一応証拠として、残った煤のような跡の写真を添付しておきます。

 

▽記録者コメント

 その後の苦情ネギの冗長なコメントは省略する。

 

 創作なのかは判定できないが、段階的にシャドウピープルのことが示唆され、最終的に仮面ライダーが介入する。

 この構図そのものにはリアリティがあり、最後には作中で描写された煤の跡の写真が掲載されている。

 焼けこげたという訳ではなく、影がこびり付いたような煤の跡であり、この体験談とも符号する。

 

 一旦現実ラインに戻して検討しよう。

 これまで記録をしてきた中で、仮面ライダーという存在は確定的である。

 苦情ネギの体験談から始まり、それよりも先の時系列で起きたコンビニでの出現、そしてYouTuber、生配信。

 そして、昨今の真偽不明の目撃情報、目撃動画。

 そして、現在、本物の電子カルテの画像から始まる病院での目撃情報まとめから始まる仮面ライダーの出現。

 ただの創作と言い捨てるのは思考停止とも言えよう。

 

 それに伴って、仮面ライダーが戦う存在、シャドウピープルの存在も気がかりである。

 今回の体験談やこれまでの目撃情報から考察できるシャドウピープルの生態は以下である。

 

1.シャドウピープルは影の姿と異形の姿を持つ。

 

2.シャドウピープルは物の隙間、暗闇などの人の目が届きにくいところを好む。

 

3.シャドウピープルは人に危害を加える。

 

 この三つに私の意見を加えようと思う。

 これは考察であり事実ではない。

 

1.シャドウピープルは影の姿と異形の姿を持つ。影の姿では物理的干渉は不可、異形の姿でのみ物理的干渉が可能。

 

2.シャドウピープルはダルマなどの人間とは異なる特殊形態を持つかもしれない。

 

3.シャドウピープルは普段は目立たない場所に存在する。しかし、目的を持った時に人目につくところに現れる。

 

4.シャドウピープルは基本的に人間に危害を加える存在である。人間に利益をもたらすような行動は確認されていない。

 

 

 YouTuberの動画で見られたダルマからの怪物への変化など、説明がつかない生態もたくさんある。

 私はこれからも仮面ライダーおよびシャドウピープルの正体や生態について記録・考察を続けていく。この考察も情報を集めていく中で変化していくだろう。

 最後にこの記事のコメント欄をきっかけに、シャドウピープルにも呼称が生まれた。コメント欄の流れを記録する。

 

▼シャドウピープル情報局『シャドウビジョン』

 2022-05-28『【ラスト!?】病院に迫る影、匿名看護師の体験談!』のコメント欄より

 

125:すなへび 2022-05-28 16:58

シャドウピープルって呼びづらくね? なんか呼びやすい名前ねぇの?

 

128:コンダ 2022-05-28 17:00

>>125

たしかに、元のシャドウピープルとも離れてきてるし

 

132:ゆら 2022-05-28 17:03

>>128

TikTokの転載動画で変な呼ばれ方してたな

 

138:きゅう 2022-05-28 17:09

>>132

ゲンエイン?

 

144:ゆら 2022-05-28 17:13

>>138

それ!!

 

153:ひなみ 2022-05-28 17:20

>>138

なんでゲンエインって呼ばれてるんですか?

 

162:激アツくん 2022-05-28 17:32

>>153

AIの読み上げ動画で、「幻影の」って読むところを「幻影ん」って誤字ったのよ。それから、幻影ん→ゲンエインって呼ばれるようになったらしいよ

 

165:ひなみ 2022-05-28 17:35

>>162

教えてくれてありがとうございます!

そうなんだ〜でも呼びやすいですね

 

▽記録者コメント

 このコメント欄を境に、『シャドウビジョン』内において『ゲンエイン』と呼称する人が増加した。

 その結果、苦情ネギは『シャドウビジョン』内でシャドウピープルという呼称を撤廃し、『ゲンエイン』と呼称することを宣言。

 ブログ名も『ゲンエイン情報局 シャドウビジョン』へ改名された。

 

 安易な命名は基本的に反対ではあるが、今回の命名に関しては記録においても情報を見つける際にアドバンテージがあるため、一概には否定できない。

 

 これから、私もシャドウピープルではなく異形の存在『ゲンエイン』と呼称していく。

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