転生フロムゲーマー、神ゲーに挑まんとす 作:人外が着ているスーツ
敵の背後に居る時限定でバフとして発動可能(非戦闘、戦闘中)
・クリティカル率に補正
・不意打ち時、威力に補正
それは敵を悼む葬送か、あるいは純粋たる殺意の顕現か。
巡り巡る数多を果て、あらゆる業は、ただこの一撃へと帰還する。
言ってしまえば致命専用デターミネーション
『【クイックステップ】【バックスタブ】!』
あの後、何体か敵を倒したことでレベルが上がり、スキル化した【クイックステップ】と【バックスタブ】で襲いかかる敵をゴブリンの斧で叩き潰しながら、導きの光のままにエリアを進む。
はい、武器の耐久値にビビって結局蛮族スタイルです。だって剣壊したくないじゃん。
クイックステップやバックスタブの他にも、木の上から襲いかかってきたゴブリンから【パリィ】を、3デブかと見紛ったオークからは【エッジクライム】を無事ラーニング。あと驚いたのは、崖際で黄昏れていたゴブリンをパッチばりに蹴り落としたら、【インパクト】と【インファイト】が手に入った。……本当に色々手に入るな、このゲーム。
『これでもうレベル6か。ほぼゴブリンだけでも結構上がるもんだな』
ファンファーレと共にレベルアップの音が鳴り、ステータスを振って再び歩き出す。ここは言わば初心者マップ。苦戦するような敵もいないし、正直ちょっと飽きてきた。
ツリーガードや黒騎士みたいな強モブが森を徘徊しているわけでもないし、そろそろ街に着きたいのだが……。
画面を確認して思わず足を止める。あ、最初の街【ファステイア】って逆の方向じゃん。導きバグってんな、これ。
ここから目指すとなると【セカンディル】か。名前的にも場所的にも2番目の街だろう。まあ、良い装備や武器が手に入るならどこでもいい。
じゃあまずは、偶然にもセカンディルに続いているっぽい導きを追って――。
危
『は?【クイックステップ】!!』
草むらからナニカが飛び出す音と同時に、脳内に現れた鮮烈な【危】の文字。
クイックステップを発動して咄嗟に距離を取った俺の目の前で、先ほどの突進に穿たれたであろう巨木が、凄まじい破壊音を立てて倒れていく。
「……?」
『ヴォ、ヴォーパルバニー!? 名前からして殺意しかねえじゃん!』
倒れた木が巻き上げる土埃が、再びヴォーパルバニーの姿を隠す。
断言できる。さっきの一撃を食らっていたら一発でお陀仏だった。
今のスキルならアレを【パリィ】して動きを止められるとは思うが、問題は武器の耐久値だ。
ゴブリンから剥ぎ取った手斧は論外。パリィ成功時でも耐久が減る仕様なのに、デフォルトで耐久が半分の手斧では受けきれずに武器ごと叩き割られるだろう。最悪そのまま貫かれて終わりだ。
危
『だあああああ!』
まずは避ける一手。敵の攻撃の予備動作すらまだ見極められていない。
牽制としてゴブリンの手斧を投げつけ、森を駆け抜けながら開けた平原へと飛び出す。その隙に、背中から本命の戦士の直剣を引き抜いた。
あの崖から蹴り落としたゴブリンが恨めしそうに鳴いていたように、この神ゲーは敵のAIにもしっかりと感情がシミュレートされている。
だからこそ、
それなら――必ずここで仕掛けてくる。攻撃の軌道は読める!
平原に飛び出す鉄バケツと、それを追う致命ウサギ。まあ、客観的に見れば俺の方が完全に狩られる側の獲物だ。
だが、ヴォーパルバニーとて、命からがら逃げてたはずの鉄バケツが、直剣を片手に待ち構えているなどとは思うまい。
『【スクーピアス】!』
鋭い刺突――直剣がウサギの喉元を正確に貫いた。
『まぁ、アレだ貴公。「騙して悪いが」ってやつだな』
「……!」
『こっちの世界じゃどうか知らんが、狩人ってのは狩った相手の遺志を継ぐもんだ。貴公のヴォーパルの遺志、しっかりと受け継いでやるさ』
「……。」
――まあ、逃げて待ち伏せしただけの卑怯者が言っていいセリフじゃないけどな。
ポリゴンとなって消え去ったヴォーパルバニーが遺したドロップアイテムは、あの赤黒い短剣だった。
『【
いつものようにフレーバーテキストを熟読して上質なフロゲニウムを脳内に摂取。さっきの戦闘で手に入った経験値により、レベルは一気に13まで跳ね上がった。
『ん? まだドロップがあるな。なんだコレ【
……結局、防具が首巻きだけ増えても半裸鉄バケツなのは変わらないっていうね。
武器【
ヴォーパルバニーの刺剣。
技量なき者が扱えば、それはただの短い棒に過ぎないが
致命の一撃においてのみ一撃は鉄貫と化す。
己の身を顧みぬ、決死の刺突。その一撃に全てを捧げよ。
装備【
ヴォーパルバニーの赤黒く擦り切れた首巻き
擦り切れた布はいつ如何なる時も獲物を追い続けた証であり。
赤黒くなるほど獲物への執念を物語る。
そして今や受け継がれ、その魂に遺志を刻むものであろう。
致命を駆使して相手を倒す、1人でヴォーパルバニーと戦闘し勝利する、ヴォーパルバニーの致命の遺志を継ぐ、証であるスカーフを身につける。
もうこれだけでヴォーパル魂プラスなのに道中のパッチプレイでトントンっていうね。