ブルーアーカイブ~Wish of Blue Devil~ 作:ロキシード
「南方向より、大規模兵力の接近を確認しました!」
昼下がり、対策委員会の教室で他愛のない会話をしていた一同の耳に、アヤネの張り詰めた声が響いた。
突然の襲撃――とはいえ、アビドスでは珍しくもない。すぐに会話を切り上げ、ガンラックから自身の愛銃を取り上げながらシロコが問う。
「まさか、またヘルメット団?」
「違います!ヘルメット団ではありません!」
「これは……傭兵です!おそらく日雇いの傭兵かと」
ドローンの映像を確認しながら、襲撃の下手人がヘルメット団ではないと告げるアヤネに、ホシノが眉を上げる。
「へえー、傭兵かあ。結構高いはずだけど」
「雇い主は一体……」
「………」
窓の外、敵が接近する方角を睨みつけるバージルの脳裏には、紫関で遭遇した少女たちの顔が浮かんでいた。
「行ってみればわかることだ……出るぞ」
正門前で迎撃態勢を整えた対策委員会の前に、次々と人影が集まってくる。互いに銃口を向け合い、じりじりとした緊張が張り詰める中、ノノミが何かに気づいたように指をさした。
「あれ……紫関ラーメンのときの……?」
「ぐ、ぐぐっ……」
ばつが悪そうな表情の少女が、傭兵たちの合間から前に進み出てきた。今回の襲撃の指導者、傭兵たちの雇い主――陸八魔アルだ。
「誰かと思えばあんたたち!?ラーメンも無料で特盛にしてあげたっていうのに……この恩知らず!!」
彼女の存在を認めたセリカが眉を吊り上げて糾弾する。
「あははは、その件はありがと。でも、それはそれ、これはこれ。こっちも仕事でさ」
「残念だけど、公私ははっきり区別しないと。受けた仕事はきっちりこなす」
ムツキはにこやかに、カヨコは冷静に、対照的な二人が同じ答えを返す。恩はあれど、彼女たちに退く選択肢はない。それを理解したセリカは、口を噤んで悔しそうに銃を握り締める。
「……なるほど。仕事っていうのは便利屋だったんだ」
「もう!学生なら、もっと健全なアルバイトがあるでしょう?便利屋だなんて!」
「アイドルだの強盗だの言っていた人間の言葉とは思えんな」
「ちょっ、アルバイトじゃないわ!れっきとしたビジネスなの!肩書だってあるんだから!」
「先生!アイドルはまともです!犯罪と一緒にしないでください!」
ノノミの言葉に慌てて自分たちの役職を説明しだすアルを置き去りにして、ノノミがバージルに抗議する。
「ちょっと、聞いてる?こっちが室長で……」
「……社長、もういいよ。余計に薄っぺらさが際立つ」
ため息まじりにアルを制止したカヨコが、向けられた視線に気づく。
「誰の差し金?……いや、答えるわけないか」
シロコが薬室に初弾を装填し、銃を構えなおす。
「力尽くで口を割らせるしかないね」
「ふふふ、それはもちろん企業秘密よ?」
ようやく"それらしい"言葉をぶつけられたことで、アルが不敵な笑みを浮かべる。
「総員、攻撃開始!」
「ちっ……想定より数が多いな……」
【先生、アビドスの生徒さんたちの消耗がかなり早いです!】
シッテムの箱を通して、視界に表示された情報には、生徒のバイタル情報に加えて残弾数もリアルタイムで反映されている。倒しても倒しても次から次へと沸いてくる傭兵たちに、苦戦こそしないものの徐々に物量で押され始めていた。
「重火器の類はない。しかし――」
ヘルメット団のような対物ライフルや戦車といった過剰な戦力こそない。数だけの烏合の衆だ。だが、その中心にいる4人の少女――便利屋68の存在が、戦況を覆すことを許さない。
相手の陣形を崩そうと展開すれば即座にアルの射撃によって妨害され、前線ではハルカの散弾銃から乱れ撃ちに近い攻撃で身動きを封じられる。いつのまにか設置された地雷は、ムツキの射撃から逃れようとした場所に既に設置されており、迂闊に動き回ることもできない。そして、気づけば死角に回り込んだカヨコの射撃で、じわじわとダメージが蓄積していく。
「侮れんな……。仕方ない、少々強引だが――」
バージルは曲げた膝を一気に解き放ち、地面を強く蹴り上空へ跳躍する。一瞬で数十メートルまで飛び上がった彼の視界に、方々で身動きが取れずに遮蔽で身を隠している対策委員会の姿が映る。
バージルは短く息を吸うと、その場にいる者全体に届く声で叫ぶ。
「俺が敵後方を攪乱する!その隙に一気に押し返せ!」
「先生!?どうするつもりなの!?」
「あれは……まさか前に出てくるつもり?」
頭上から響く声に空を見上げる少女たち。当然対策委員会だけでなく、傭兵たちもバージルの姿を捉える。瞬間、彼に向かって銃弾が押し寄せる。
「まずは狙撃手だ。――そこだな」
無数の弾丸を歯牙にもかけず、傭兵の後方、陸八魔アルの位置を一点に睨むバージル。
「何のつもり?銃も持たない大人が……悪いけど、仕事の邪魔よ」
前方に飛び上がったバージルを見たアルが疑問符を浮かべる。どこかで見た気がするが、気のせいだろう。ヘイローのない一般人と言えども、銃弾を食らった程度では死にはしない。敵対する以上痛い目を見せるほかない。
アルは流れるように照準をバージルに合わせると、一切のブレなく引き金を引いた。
「っ!?消え――」
「動くな」
背後から届いた声。たった今撃ち抜いたはずの存在が、自分の後ろに立っている。
「――っ!!」
しかし、背後を取られた程度で勝負を捨てるほど、修羅場はくぐっていない。アルは一歩前へ踏み出し腰を落とすと、装飾の施された長身の愛銃――ワインレッド・アドマイアーの銃口を持ち上げて回転させる。そして銃身を上下反対に肩に乗せた状態で背後の敵を狙うと、即座にトリガーを強く引いた。
「!……小癪な真似をする」
背後から忌々しげに呟く男の声が聞こえた。まだ終わっていない。
アルは銃を乗せた方を内側に身体を捻り、素早く上下を元に戻した銃を構える。これにより、背後を取ったという敵のアドバンテージは掻き消えた。
目の前に無傷で佇む男に警戒を強めながら、アルが言葉を発した。
「甘かったわね。背後を取った時点であなたは私を潰すべきだった」
「……見くびっていたようだ。本当に昼間の奴と同一人物か?」
「な、何を言っているのかしら?あなた、私とどこかで合ったことが……?」
「……気づいていなかったのか?紫関で貴様らが呑気にラーメンを啜る前、堂々とここを襲撃することを口走っていただろう。あの場に俺もいた」
「えっ!?あー、……そういえばいたかもしれないわね。もちろん、最初からわかってたわよ?」
「………」
明らかに目を泳がせながらそう宣言するアルに、バージルは呆れて返す言葉もない。
「アルちゃーん、なんかそっちに一人いったみたいだけど、大丈夫ー?」
「アル様!?すぐに向かいます!そこでお待ちを……うわぁ!」
「よそ見とは余裕だね」
「ハルカ!」
「ようやく動けます!覚悟してくださいね~☆」
「これは……あんまり余裕ぶってられないかもっ…!」
「くっ……社長!そっちは任せたよ!」
前方では、傭兵の注意が逸れたことで勢いづいた対策委員会が便利屋の部下たちと交戦していた。
「どうやら甘く見ていたのはそちらの方らしい。直に後ろも片が付くだろう」
「……どうかしら。それにしても、あなたは何者なのかしら?情報にはなかったけど」
部下たちを信頼しているアルは動じない。振り返らず、堂々と自分の前に立ち塞がるバージルと対峙する。
「俺はバージル。シャーレの先生として、アビドスの復興に協力している」
「先生、ね……なるほど。道理で妙に落ち着いてるわけだわ」
アルは銃口を向けたまま、じっとバージルを観察する。その視線は敵を測るものというより、どこか好奇心めいた色を感じさせる。
「でも――先生だろうとなんだろうと、ここで邪魔するなら容赦はしないわよ?」
「ふん、望むところだ。俺も、アビドスに仇なす者を見過ごす気はない」
バージルが徒手のまま構え、静かに踏み込む。アルも即座に銃を構えなおし、両者の間に緊張が走る。
「――む?」
「……え?」
次の瞬間、学校全体にチャイムが鳴り響いた。
キーンコーンカーンコーン。
戦場の空気をぶち壊すような、あまりにも平和な音色だった。
「……あ、定時だ」
傭兵アルバイトが懐から取り出した携帯を見て呟く。
「今日の日当だとここまでね。後は自分たちで何とかして。みんな、帰るよ」
「は、はあ!?ちょ、ちょっと待ってよ!!」
アルが咄嗟に待ったをかけるが、彼女たちの耳には届かない。
「終わったってさ」
「帰りに蕎麦屋でも寄ってく?」
「私はハンバーガーの気分。いい店知ってるよ」
「お、いいねー」
呑気に昼食について談義しながら校舎を去っていく傭兵たちを前に、対策委員会の少女たちも手を止めたまま目を丸くする。
「こらー!!ちょっ、どういうことよ!?ちょっと!帰っちゃダメ!!」
少し前までの泰然とした佇まいが嘘のようにあわあわと傭兵たちを引き留めようとするアル。
急に敵が退却していったことに困惑しながらも、なにやら前の方で騒いでいるアルに気付いた対策委員会の少女たちが、校門前に集まってきた。
気づけば、その場には便利屋の4人と対策委員会のみになっていた。
「まさかこの時間まで決着がつかないなんて……アルちゃん、どうする?逃げる?」
「あ……うう……」
すっかり覇気を失ったアルが、ムツキの言葉に冷や汗を浮かべて目を逸らす。しかし、逸らした先で――バージルと目が合った。
「こ……」
「……?」
「これで終わったと思わないことね!アビドス!!」
「あはは、アルちゃん、完全に三流悪役のセリフじゃんそれ」
「うるさい!逃げ……じゃなくて、退却するわよ!」
アルの一声で、便利屋の面々が慌てて動き出す。
「アル様、足元気を付けてください!」
「急いで急いで!」
「わーっ、ちょっと押さないでってば!」
「はあ……」
ドタバタと騒がしい足音を残し、便利屋は砂埃を上げながら撤退していった。
その様子を見送った対策委員会の少女たちは、ぽかんとした顔で互いに視線を交わす。
「……あ、行っちゃいましたね」
「なんか毒気抜かれちゃったわね……」
「……ひとまず、敵兵力の退勤……いえ、退却を確認」
「困りましたね……妙な便利屋にまで狙われるとは。一体何が起きているのでしょうか……」
「――便利屋68」
「え?」
ぽつりと零したバージルに、アヤネが聞き返す。
「奴らの組織名……いや、社名か」
「先生、どこで名前を……?」
「紫関だ。連中、堂々と襲撃を口にしていたぞ」
「ええ!?噓でしょ……なんで私はあんな親切に……」
驚愕と同時に敵の計画を見過ごして塩を送った事実にセリカが項垂れる。
「とりあえず戻ろっか。先生の言ってた名前と、さっきのアルって子の身元でも洗ってみたら何か出てくるよ、きっと」
「はい。皆さん、お疲れさまでした。一旦、帰還してください」
結局その日は、大した手掛かりも得られず解散となった。便利屋については調査を続けるとして、バージルも一度生徒のデータベースを洗うことにした。
翌日、バージルが朝早くに校舎へ向かう道をひとり歩いていると、横道から出てきたアヤネに声をかけられた。
「あ、先生。おはようございます」
「アヤネか。登校にしては早いな、何か用事か?」
「えっと、今日は利息を返済する日でして……色々と準備が……あ、そういえば」
「昨日の方々……襲撃の首謀者の情報が見つかりました。後ほど学校で詳細をご確認いただきたいのですが、軽く共有を。ゲヘナ学園の生徒だったのですが……!?」
突然言葉を止めて目を見開くアヤネに、バージルは不思議に思いながら彼女の視線の先へ目を移す。
「あっ、先生じゃん!おっはよー!」
「なっ、あなたは!!」
「じゃじゃーん!どもどもー!こんなところで会うなんて、偶然だね!」
まるで昨日の出来事などなかったかのように飄々と姿を現したムツキに、アヤネは驚きと敵意を隠せずにいる。
「どうだかな。さしずめ調査にでも来たといったところか」
「あはは、連れないなー先生は」
「……俺はお前の先生ではない」
「えー?ムツキちゃんだって生徒だよ?先生は生徒みんなの先生なんじゃないの?」
「おい、じゃれるな」
アヤネの刺すような視線も気に留めず、バージルの腕を引っ張って体重を預けるムツキ。あまりにも無邪気で遠慮のない距離感に、バージルは一瞬だけ面食らったように目を瞬かせた。
ムツキは、バージルのいかにも不器用な受け答えが面白いのか、腕に抱き着いたりペタペタと身体を触ったりしている。
「何してるんですか!離れてください!」
「おっと、引っ張らないでよー」
「って、アビドスのメガネっ娘ちゃんじゃーん?おっはよー、昨日ラーメン屋であったよね?」
白々しくとぼけてみせるムツキに、アヤネは堪えきれない怒気をぶつける。
「学校の襲撃でもお会いしました!どういうつもりですか?昨日はあんな風に学校を襲って、今日はいきなり馴れ馴れしくなって……」
「それに、メガネっ娘じゃなくて、アヤネです!」
「ん?だって私たち、別にメガネっ娘ちゃんたちのことが嫌いなわけじゃないし」
問い詰められても、ムツキは悪びれもせず当然のように答えた。
「ただ、便利屋として請け負ってる仕事だからさ。なら、仕事以外のときは仲良くしたっていいじゃん?」
「今更公私を区別すると!?そんな理屈――」
「別にいいじゃん。それに『シャーレ』の先生は、あんたたちだけのモンじゃないでしょ?だよね、先生?」
「……やはり調べていたか。油断ならんな」
「もー、そんな堅苦しいのじゃないって。ただ顔を見に来ただけだよ!」
「……」
胸の奥で、先程向けられた言葉を反芻する。
(生徒みんなの先生、か)
こうしてみると、ただのいたずら好きの少女。それに彼女の言動からも、アビドスを陥れようという悪意は感じられない。
結局、裏で糸を引いている何者かを突き止めなければ意味がないのだ。
「……はあ、アヤネ、今はこいつと敵対する必要はない」
その言葉にアヤネは耳を疑う。
「ええっ!?ですが先生!」
「こいつじゃなくて、ムツキちゃんって呼んでほしいなー」
一方、ムツキは相変わらずいたずらっ子の顔でバージルを見上げて、横から茶々を入れてくる。
「お前もだ……ムツキ。仲良くしたいのなら、襲撃を止めさせろ」
「それは無理な相談かなー。仕事だからね。それに、アルちゃんがやたらやる気だからね」
「――陸八魔アルか」
「調べたんだ。あはは、先生こそ私たちに興味津々じゃん!」
「何を……いや、いい。用はそれだけか?」
言い返そうとしたところで、ムツキの調子に乗せられそうになっている自分に気づき、バージルはわずかに息を整えて踏みとどまった。
「ま、今日のところはこれぐらいで勘弁してあげるよ。いつかうちの便利屋に遊びに来てね、先生。アルちゃんたちもきっと喜ぶからさ!」
「そんじゃ、バイバーイ。アヤネちゃんもまた今度ね」
ついでのようにアヤネへ一瞥を送り、気軽に手を振るムツキ。そのあまりにも軽い態度に、アヤネは拳を固く握りしめ、肩を震わせながら怒りを露わにした。
「今度なんてありません!次会ったらその場で撃ちます!!」
「はいはーい」
アヤネの反応を楽し気に見届けたムツキは、満足したようにその場を後にした。
「はあ…はあ…何ですかあの人は……!」
「やりづらいな……ああいう子供は」
息を荒くしながらムツキが去った方向を睨むアヤネの隣で、バージルは辟易とした表情で低く呟く。完全な敵などではなく、彼女もひとりの生徒。しかし、掴みどころがないうえに、現状彼女たちは何者かから依頼を受けてアビドスと敵対している。
「はあ……考えることばかりだな。とりあえず、校舎へ向かうぞ」
「……確認しました。利息分、788万3250円ですね。全て現金でお預かりいたしました」
「カイザーローンをご利用いただきありがとうございます!では、また来月お伺いいたします」
校門の前に停車した輸送車に、スーツを着たロボット市民――カイザーローンの銀行員が乗り込む。対策委員会は、決して明るいとは言えない表情を浮かべながら、ただその様を見送るしかない。
軽快なエンジン音とは裏腹に、彼女たちの胸の内は重い。彼女たちが必死にかき集めた金を積んだ輸送車は、あっけなく校門を離れていった。
「……」
「……」
「はぁ、今月も何とか乗り切ったねー」
誰もが口を閉ざす中、真っ先に沈黙を破ったのはホシノだった。
「ところで、カイザーローンは何故現金でしか返済を受け付けないのでしょう?」
わざわざリスクを負ってまで現金にこだわる理由――そこに後ろ暗い事情があるのは明白だ。ノノミの素朴な疑問に、バージルが淡々と推論を述べる。
「おおよそ真っ当な理由ではないだろう。高利貸しの悪徳金融だしな……何を見ている?シロコ」
「……何も」
シロコはわずかに視線を逸らし、短く答えた。彼女が見つめていたのは、現金輸送車が過ぎ去った方向。隣に立つセリカが呆れの混じった声で言い放つ。
「シロコ先輩、あの車は襲っちゃダメだよ」
「……ん、分かってる」
「とにかく教室に戻ろうー。今は目の前の問題を解決しなきゃ」
ホシノの言葉に頷いた少女たちは、対策委員会の教室で定例会議に臨むのだった。
「本日は二つの事項についてお話ししたいと思います」
「一つ目は、昨日の襲撃について」
アヤネは、襲撃の実行犯である便利屋68、そしてその構成員である陸八魔アルをはじめとする生徒たちがゲヘナで不良として知られる存在であることを語った。その内容はバージルが独自に集めたものとほとんど一致していた。
「社長さんだったんですね!すごいです!」
「とにかく!そんな危険な組織が私たちの学校を狙っている以上、もっと気を引き締めないといけません!」
「アヤネちゃん、何かあったの?並々ならぬ怒りを感じるんだけど……」
セリカが恐る恐る尋ねると、アヤネは誤魔化すように咳払いをしてから呼吸を整える。
「……いえ、特に何も。二つ目は、この前手に入れたパーツについて」
「セリカちゃんを攫ったヘルメット団の連中の武器だね」
「はい。これは、現在取引されていない型番です。ブラックマーケット経由で入手したと思われます」
「連中の前哨基地で得た情報とも一致するな」
バージルがアビドスを訪れた最初の日に行われた電撃作戦。襲撃直後に拠点を制圧した結果得られたのは、ブラックマーケットから強力な兵器を入手しているという事実だった。
「はい。ですが、生産が終了している強力な武装ということもあって、一介の不良生徒が入手できるのかには疑問が残ります」
「何者かが手引きしたということか」
「その可能性はあります。それに、ブラックマーケットには便利屋68も出入りしているようです」
「関連性があると考えるのが妥当だな」
「はい。二つの出来事の関連性を探すのも、状況を打破するひとつの方法かもしれません」
アヤネの言葉に、その場の全員が静かに頷く。自然と視線がホシノへ集まる。ホシノは椅子からゆっくり立ち上がり、委員長らしく次の行動を明確にする。
「よし、決まりだね。ブラックマーケットへ行ってみよう」
委員長の号令により、一同はブラックマーケットの調査へと向かうことになるのだった。
「便利屋か……奴を思い出すな」
「……先生?」
「――こちらの話だ。いくぞ」
目を伏せ、どこか遠い思いへ沈むような表情を見せたバージルに、シロコが準備の手を止める。
しかし、それもほんの一瞬のこと。すぐにいつものぶっきらぼうな調子へ戻るバージルを見て、シロコは気のせいだと判断し、再び装備の確認へ戻る。
「キヴォトスに来ているのなら……」
皆が装備を整える中、誰にも拾われない程低い声で呟く。
「――俺を見つけてみろ、ダンテ」
間隔空いてすみません。ゲヘナ編更新で打ちひしがれてました。
尊厳破壊パートが長すぎて、ヒナを見るたび泣きそうになった。ショウコ、俺お前を許せるかなぁ。彼女は彼女で悪人になりきれていない一面があるけど、所業と言動がゲヘナ生徒推しにとってあまりにもひどかったので……
通常マコト引いてねえよ、どうしよう。
あんまネタバレになること言わないようにしますが、彼女の心情を大いに示した素晴らしい章だと思います。水着イベで若干ヘイト募らせてたのはこのためだったのか……
通例通りだからしゃあないのかもしれないけど、ゲヘナ編のあとにマコトピックアップ来てたら絶対もっと引いたでしょ、みんな。
てか水着マコト様は完全に告白してるし、先生はそれをちゃんと断ったうえで滅茶苦茶気まずい空気になってるの、すごくない?どう考えても好意を隠せてないとかじゃなくて、真正面から「私のものになれ」って言ってんだぜ?他のメロつきJKと格が違うぞ、これは……
あ、ASMRはなしでね。あれはもう一線超えてるでしょ。おいチナツ、お前の引いた線どうなってるんだ?
しかも振ったあと先生滅茶苦茶動揺してるし、そのうえでまだ魅力が分かっていないなら理解させるまでと突き進むマコト様マジ議長。
エデン編はキャラブレてたってことにしよう(クーデターでゲヘナ変えたのにテロに加担してアリウスに利用されてるの変だし)
次回、ようやくダンテを登場させられそうです