信用のおける愉悦の使令がいるってマジですか? 作:どっちかと言うとメリバ好き
アッハのデザインすっごい好きなんですよね。
まぁ、星神なら薬師の方が好きなんですけどね。
なんだよ、文句あんのか。
仕方ねぇだろ……癖なんだ…!
「ふんふんふ〜ん」
天気は晴れ、気分は好調。
周りを見渡せば荒廃した風景の数々……あぁ、いい景色だ。
緑が生い茂り、目にも優しいし空気が上手い。
「さて、今日も一日、頑張りますか」
ここは、地球。
だけど、みんなの知っている地球とは少し……いや、かなり違うのかもしれない。
時代は多分同じだし、人類が何かやらかしたわけでもない。
「…おっ、缶詰ミッケ。ラッキー」
宇宙人が侵略してきたわけでもないし、第三次世界大戦が起きたわけでもない。
隕石が降ってきたわけでもないし、解析不可能な病原菌がばら撒かれたわけでもない。
ただ、不運だったんだ。その一点に尽きる。
「ん、クマか、ありゃ。遠回りした方がよさそうだな」
突然のことだった、らしい。
らしいって言うのは、俺がその時にまだこの世界には居なかったからだ。
……あー、結論から言ってしまえば、俺は転移者ってやつだ。
元々いた地球から、この荒廃した地球に転移してきたのだ。
「……あーあ、今日も…」
俺がこの世界に来たときには既に『こう』だった。
人っ子一人居ないし、食料はないし、雨に感謝したのは人生で初めてのことだった。
「……女神様からの通信はなし、か」
俺は実は、勇者だったりする。
まぁ、役目を果たす以前に、果たすべき役目がないのだから意味がない。
『役目を果たすまで、あなたは老いません。私が許すまで、あなたは朽ちません。あなたは不滅の勇者として、私の役に立つのです』
今思えば、中々の発言だった。
俺の意思は?とか思ったし、女神様じゃなくて邪神じゃんとかも思ったりした。
そんなこんなで、俺は死ねないし老いない。
だから、ずっと、この何もない世界で、生かされ続けている。
女神様の命令も何もないんだから、どうすればこの世界を救えるのかも知らないし、そもそもとして救えるとも思ってない。
魔王が居るとかなら分かりやすくていいんだけどな……生憎、そんなことではないらしい。
「……おっ、あれ猫か?久々に見た。しかも、毛のないタイプだ」
この世界は、地球は。
女神様によれば、神々の怒りによってこうなったらしい。
女神様もそれに一役買っていたのだとか。
そうなると疑問が浮かぶ。
『じゃあなんで、俺をその地球に転移させるんですか?』
まぁ、当たり前に思い浮かぶ質問。
『地球に飛ばしてから指示を与えるわ』
でも、そのセリフの一点張りだった。
あの時の俺と意識が変われるのなら、迷いなく俺は女神様に問い詰めただろう。
それこそ、あの柔肌に傷をつけることも厭わないくらいに……いや、それはちょっと可哀想だな。
「……飲まなくても食わなくても、寝なくても、生きていけるんだけどな」
……100を超えてから薄々わかっていた。500を超えた頃には狂ってたし、1000を超えたくらいには欲が消えていた。
食事の必要はなかった。そもそもとして摂取しなくてもいいから。
排便の必要はなかった。そーゆー機能を削除されていたみたいだから。
睡眠の必要はなかった。寝ることを前提として作られた体じゃないからだ。
女神様は随分と俺の身体を弄ってくれた。
人間の機能とかほぼ無くなったし、容姿とか『好みじゃない』で一蹴されて作り変えられるし。
「……10000を超えた辺りから数えるのをやめた…、ははっ、どっかでありそうなセリフだな。しかも強いやつしか使うの許されないセリフだ……はぁ…」
この身体に疲労はない。
だというのに溜息は止まない。
今だってずっと死にたくなってるし、この身体が不死でなければ多分500年行くまでに自殺してた。
「…、今日も、頑張ろう」
そう、何度目かも分からない言葉を吐き捨てながら、この地獄から解放される『いつか』を夢見る。
「──んっ!?」
だが、どうやら……夢見ている暇はなかったようだ。
それは、突然のことであった。
〝ワァァァ!!〟
「なん、だこれ…?」
歓声?なんだこれ、なんだか、異常にワクワクしている。
ジェットコースターに乗る直前みたいな緊張感。
試合の前や、何かをやらかした時にでてくる冷や汗のようなものまで。
何から何まで混ざり合って、気持ち悪い。
〝キャァァ!!〟
真っ黒の空間。
想像を絶するほど巨大なトランプが舞い、これでもかというほど賑やかな音が聞こえる。
視線は自然と、『そこ』へと惹きつけられた。
そこには、きっと、想像を超えたナニカがいた。
見えたのはただ一つ。
「……朱色の、仮面、?」
〝アッハ!〟
空間はやがて霧散するようになくなり、まるで幻であったかのように、一瞬の出来事であった。
「……ははっ、あっははははっ!なんだよ、これ!だめだ、デカすぎる!あの女神さえも矮小に感じるくらい、太刀打ちできない!」
俺が女神様から与えられたチートは単純明快。
それは、ただただ不滅の存在になる、というだけじゃない。
自分が生きた時間の分だけ、強くなる。
RPGで例えれば、一日生きてるだけでレベルが1上がっているような感じだ。
俺は恐らく女神様よりもつよい。
強くなった。
だけど、これは、予想外だ。
あれは、強すぎるなんてもんじゃない。
そもそもとして、どうやって戦えばいいのか。
「決めた」
アイツを、あのふざけた仮面野郎にもう一度会おう。
会って、そんで、責任を取ってもらおう。
あぁ、久しく忘れていたよ。
こんな感情が、まだ残っていただなんてね。
「……笑えた。口が、歪んだ。ははっ!いやー、もっかい、味わいたいなぁ」
あの気持ちの悪いワクワク感を。
あのスリル溢れる会合を。
どうか、もう一度この身に。
この地球のエネルギーを全て消費して、あの世界に転移する。
それが一番楽で、一番手っ取り早い。
地球には俺以外に人間はいない。女神も別世界に転移した俺を、捕らえられない。
すると、もう一度、あの真っ黒の空間が姿を取り戻し、そこにはちゃんと、朱色の仮面野郎がいた。
〝気に入った!君は、私を愉しませてくれそうだ!!さぁ、荒波を起こして!私の為だけに、世界を揺るがして!〟
なんだか力が、本来俺にはない、別の力が流れ込んでくる。しかも、すごい質量だ。
「後悔するぜ?」
〝いいね!そうこなくっちゃ!じゃあ……勝負しようよ!君が勝ったら何でも叶えてあげる。そのかわり、私が勝ったら……君の笑い話を世界に刻んであげよう!〟
「……内容は?」
〝もう!せっかちさんなんだから!じゃあねぇ……決めた!勝負の内容は……君が、うちの子の仮面を盗めたら勝ちでいいよ…あっ、勝負はフェアでいかなきゃね?〟
そう声が響くと、どこからともなく仮面が現れた。
それは奇しくも、目前にいる朱色の仮面野郎と同じ仮面であった。
「……どーゆーこと?」
〝君の仮面がうちの子に盗まれたら、君の負けってこと!!〟
「へぇ、いいよ。それにしよう」
〝決まりだね!時間制限はないけど……早く来ないと、君のこと忘れちゃうかもね?じゃあ、アデュー!!〟
もう頭の中には、あの奇妙な仮面野郎との勝負事しか入っていなかった。
自分でも驚いている。
まさか、ここまで俺を興奮させるなんて。
それに加えて、先ほど来た通信を聞いても興奮が一切ない自分にも驚いている。
『久々ね。私の勇者。あなたに役目があるの』
「んなのブッチだわ、ブッチ。誰があんたの勇者だ」
まぁ、そんなこんなで、俺の目的は決まった。
「あばよ、地球」
地球のエネルギーを、あの世界に移動するためのエネルギーへと変換する。
その過程で、地球は滅んでゆくけれど。
まぁ、実質俺のモノだったし、所持品をどう使おうと俺の自由ってやつだ。
生じた歪みに入る。
「はじめまして、世界」
こうして、俺は異界の地へと足を踏み出した。
湿度ありのヤンデレ少量、幸薄加えれば、なんということでしょう。匠の手によって、皆さんの癖が生まれ変わりました…!