文芸部の2人   作:中落ちカルビ

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02:調査開始

 

 

 翌日。

 放課後の文芸部室前。

 銀髪の少女が1人、ダンボールを抱えて立っていた。

 

 

「…………わ!」

 

「わあぁ!!! ……び、びっくりしたぁ……。

 もう!驚かさないでよ!落とすところだったじゃないか!」

 

 

 ヨタヨタと揺れながら怒ってコチラに振り返ったのは小さい身体に見合った弱小パワーの持ち主。我等が文芸部部長だ。

 左に右にユラユラと揺れるその姿はなんとも頼りなく見ていられない。よくもまぁここまで運んだ物だ。誰か代わりに持ってあげなかったのだろうか。全く、冷たい人間の多い世の中だ。

 

 

「持ちますよ、先輩」

 

「あっ……おっと……うん。助かるよ、ありがとね」

 

 

 手早く先輩の持つダンボールを受け取り、足でガラリとドアを開け、さっさと部室に入る。ドサリと机の上にダンボールを置けば任務完了だ。

 

 足で開けたのはちょっと行儀悪かったかなぁ……なんて思っていたら案の定、先輩が部室の外からジト目で私を見ていた。

 

 

「もー、行儀が悪いよ」

 

「誰も見てませんし、どうでも良いじゃないですか」

 

「誰も見てない所でこそ美しい所作を、と授業でも言っていたけどね……まぁ良いや」

 

 

 先輩としては持ってきた荷物が気になるのか、ありがたい事に小言はそれで終わりらしい。

 トコトコと小さい歩幅で部室に入った彼女はカッターを使って机の上のダンボールを開封し、ニヤリと笑う。

 

 

「キミは何か七不思議の情報は手に入ったかい?」

 

「はぁ……私は先輩が『このボクに任せておきたまえ! これでも顔は広いんだ!』とドヤ顔で仰られたので何もしてませんが」

 

「むぅ……そりゃ言ったけどさぁ……こういう時はかるーく、触りだけでも調べておくのがマナーってもんだとボクは思うな」

 

「はいはい、以後気をつけます」

 

「『はい』は一回! ……まぁ気を取り直して……」

 

 

 ゴソゴソとダンボールに頭を突っ込んで先輩が中身を取り出し、渾身のドヤ顔と共に私に向かって突き出した。

 

 

「ジャジャーン! 神寄高校生徒新聞ー!」

 

 

 神寄高校生徒新聞。

 まぁなんて事はない、掲示物として新聞部の発行している月間紙だ。我が高校は時代に逆行するように新聞部の活動が盛んだ。生徒個人の話から教師の話、学校の話、校外の話まで内容も色々と充実している……らしい。

 

 らしい、というのは私が特に新聞の内容に興味がなく、読んでいるのは端っこに掲載された漫研の書いてる4コマ漫画だけだからだ。

 

 

「はぁ……。図書室から借りてきたんですか? それがどうしたんです?」

 

「ふふん、いいからほら! ここ! ここを見たまえ!」

 

 

 そう言って先輩が新聞の隅を指差す。

 

 

『神寄高校七不思議その3:消えた飛び降り少女』

『目撃者多数! 3年前に消えてしまった彼女はどこに行ったのか!』

『当校の制服を着た謎の少女! 彼女は一体どこの誰だったのか!?』

『本当に見たのか?! 目撃者に突撃インタビュー!』

 

 

「……成程」

 

「どうだい! 素晴らしい情報だろう! 褒めてくれても良いんだよ!」

 

「すごいですねーせんぱい。さすがはせんぱいです」

 

「……なんか馬鹿にされてる気がする……」

 

「そんな事ないですよ。先輩は裏表のない素敵な人です」

 

 

 いつも通りドヤ顔でむふーと鼻息荒い先輩を軽く褒めながら頭を回す。

 発行月は三ヶ月前。三ヶ月前に三つ目の謎。なんとも都合がいい話だ。一月一つで六ヶ月前スタートならちょうど今月に六つ目『いつのまにか増えている机』まで紹介している事だろう。

 

 

「なんでも六ヶ月前に七不思議の一つ『いつのまにか増えている机』が2年の教室で発生したらしい」

 

「ほむ」

 

「それで掘り返してネタにするならこのタイミングだろうと新聞部が昔の記録なんかを元に色々調べたらしくてね。

 その調査結果がコレ、というわけさ」

 

「ほむほむ」

 

「……相槌が適当すぎじゃないかい?」

 

「ほむぅ」

 

「もー、いいからほら、読んで読んで」

 

 

 先輩に新聞を押し付けられ、私は記事に目を通す。そこには七不思議の元となった事件について書かれていた。

 

 

「…………」

 

 

 

 事件の発生場所は現在封鎖中の屋上。

 時間は三限目と四限目の間、教室移動などを行う小休憩の時間だったそうだ。

 

 何処からか本校に侵入した彼女は叫びながら屋上の柵を乗り越え、説得する教師の努力も虚しく、足を滑らせ落下。

 

 

 

 

 

 その落下の最中、2階と1階の間辺りを通過した瞬間、彼女はまるで最初からいなかったかのように忽然と消えてしまった。

 

 

 

 

 

 彼女が消えた瞬間を屋上にいた教師と下で野次馬していた生徒達がしっかりと目撃している。目撃しているのだが……人が空中で消えるなどあり得ない事だ目撃した彼ら彼女らは幻覚を見た事にされた。

 事件は未解決どころか発生すらしていない事になり、七不思議という曖昧な場所にカテゴライズされ、めでたしめでたし。

 

 

 

「どうだい? この記事を読んでいけば七不思議もバッチリだろう!」

 

「そう……ですね……」

 

「……? どうしたんだい? 何か気になる事でもあったかい?」

 

「ああいや、何というか……まぁちょっとした事なんですけど…………このインタビューって本当なんですかね」

 

 

 私が気になったのは目撃者へのインタビューの項目だ。

 取材が成功した10人の目撃者。当時学生だった8人に現役教師の2人。

 

 その10人は全員、少女が屋上から落下し途中で消えた事件が現実に起こった事だと確信していたそうだ。

 

 

「…………」

 

 

 10人、10人だ。

 屋上から教師が2人、下からは生徒が8人。

 バラバラの角度から彼女の落下を見守っていた。

 

 

 

 果たしてその10人が、全員同じ幻覚を見るなどあり得る事なのだろうか? 

 

 

 

「うーん……キミが気になるなら聞きに行ってみようか。新聞部に」

 

「はぁ、急に言って大丈夫ですかね?」

 

「別に生徒同士だからアポイント何て必要ないよ!

 晶ちゃんもいるかなぁ…最近おしゃべりできてないし…ちょうど良いや。早速行こうか!」

 

 

 言うが早いか先輩は椅子から素早く立ち上がり私の手を掴んで立ち上がらせようとする。が、私の身体を非力な先輩が引っ張ろうなんて無謀そのものだ。たとえ全体重をかけていようと当たり前にびくともしない。

 

 

「むぅぅ! ほら! 早く! 行くよ!」

 

「分かりました。分かりましたから、あんまり焦らないでください。転びますよ」

 

「転ばないよ! ボクのこと何だと思ってるんだい!? もう高2だよ!? 17歳だよ!? 引っ張りっこで転ぶ子供の時期はとうにすぎてるよ!」

 

「先輩っていわゆる合法ロリにカテゴライズされてますよね……いや、高校生なんだからただのロリか」

 

「ロリじゃないよ! 断じてボクはロリじゃない!」

 

「先輩、彼氏ができたら教えてください。ロリコン野郎って警察に通報しますんで」

 

「例え彼氏ができたとしてもボクはロリじゃないからなんの罪にもならないよ!!!! ボクの彼氏は無実だよ!!! 無罪だよ!!! 確定勝訴だよ!!!」

 

 

 顔を真っ赤にしながら猛然と反論する先輩。

 あー……可愛いなー……もう少し揶揄ってようかな。

 でもなぁ、あんまり虐めると拗ねるからなぁ。

 

 

「ふっ! ぐっ! このっ! このぉっ! うごけっ! うーごーけー!!!」

 

 

 まぁ……もう少し楽しんでからで良いか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新聞部前。

 先輩がドアをコンコンとノックする。

 するとすぐさま中にいる人から返事が返ってきた。

 

 

「はいはい、開いてますよーどうぞー」

 

「失礼します」

 

 

 ガラリと扉を開けて部室に入った私たちを迎えたのは1組の男女だった。

 

 

「んえ……ありゃ? 那由多ちゃんと刹那ちゃんじゃん。 どしたん?」

 

 

 椅子に座りカタカタとノートPCに打ち込んでいるのは新聞部部長。確か名前は……千葉……綾子……だっただろうか? 長い茶髪をポニーテールにした快活そうな少女だ。

 

 因みに刹那は先輩の名前で那由多は私の名前だ。可愛い先輩は兎も角私の名前を覚えているのはどういうことなんだろうか。

 

 

「こんにちは千葉先輩。

 ちょっと新聞の事で聞きたい事がありまして……お時間いいですか?」

 

「んー……ちょっとだけなら大丈夫そ。10分くらいでいいかな?」

 

「大丈夫です。本当に少しお伺いしたい事があるだけなので……」

 

 

 他所行きモードな先輩がチラリと私の方を見て話を始めた。

 

 

「実は今七不思議について調べてまして、この新聞に載ってた事で質問があるんです」

 

「ほほーう、七不思議かー……いいよね! あれ! ワクワクするよね! そんでそんで?」

 

「このインタビューなんですけど……本当なんですか? 全員、屋上から落下した少女が消えたところをしっかりと『見た』って」

 

「あぁ、それ!」

 

 

 先輩が投げかけた質問は記事の内容を疑うモノだ。

 記事を書いた新聞部としては聞かれて気分の良い質問でもないだろう。

 しかし千葉部長は特に気分を害した様子もなく、寧ろ嬉しそうに声を弾ませた。

 

 

「いやあたしもそれ気になってさ! 

 だっておかしいじゃん? 10人もいて全員が全員口を揃えて消えるとこ見たっていうの! どんな幻覚だよって話! 

 だから日程合わなくてインタビュー出来なかった他の目撃者の人にも後で確認したんだけどさぁ……どうだったと思う?」

 

「……まさか…他の人も……」

 

「そう! そうなのよ! 全員『見た』って! 確実に! 女の子が空中で消えるとこ!」

 

 

 興奮しきりといった様子で語る千葉部長。ガタリと席から立ち上がり、先輩に近寄りながらマシンガンのように言葉を発し続ける。

 

 

「もうあたし大興奮よ! 七不思議すげー! ってなって! 

 机とか階段とか調べてみたけど地味オブ地味でさぁ、萎えかけてた所にこのビッグなプレゼントよ! もう最高! めちゃ興奮した! マジかよって感じ!」

 

 

 ものすごい勢いで喋りながら千葉部長が先輩に近付く。

 ジリジリと先輩が後ろに下がる。

 

 

「そうそう! 七不思議といえば他の記事は読んだ?! 

 残念ながら本は見つからなかったし一番は消えた少女だけど地下室とか女神像とかも結構楽しかったわよ!」

 

「い、いえ……他の記事はまだ……」

 

「ぜひ読んでちょうだい! 感想求むよ! 感想求む! 

 やっぱり読者との距離が近いのが学生新聞の良いところよね! 

 読んだ人の感想聞くとテンション上がるのよ! 

 これはきっと物書きにとって万国共通の喜びだわ!」

 

「は、はぁ……その、落ち着いたら読ませていただきます」

 

「すぐよすぐ! 直ぐ読んで! 感想! ちょうだい! プリーズモア!」

 

「ぅ……は、はい……そ、その……千葉先輩…ちょっと離れて……」

 

 

 迫り来る千葉部長に押されて先輩が壁際まで追い込まれる。

 千葉部長はそこまで背が高いわけではないがそれでも先輩と比べると20センチ近く上背に差がある。ここまで熱量を込めて詰め寄られると圧迫感もすごいだろう。

 

 なので私はさっさと先輩を救助する事にした。

 

 

「千葉部長、先輩から離れてください」

 

 

 彼女の肩に手を置き、軽く掴んでそのまま先輩から離す。

 

 

「あいてててて! 潰れる! 潰れるって! 握力つっよ!」

 

 

 大袈裟だなぁ…ちょっと摘んだだけなのに。

 

 

「……うう……噂通りね那由多ちゃん……一瞬で目が覚めたわ……」

 

「はぁ……どんな噂か知りませんが先輩怖がってるんで離れてくださいね」

 

「こ、怖がってはいないさ……その、どんどん近付いてくるからちょっとびっくりしただけだよ」

 

 

 本当に怖がっていないのなら私の制服の裾を摘むのをやめて欲しい。可愛い仕草で興奮するけどシワになると面倒だ。

 

 

「あー……ごめんごめん、ちょっと興奮したわ。で、話はそんだけ? ならあたしちょっと取材に出掛けたいんだけど」

 

「あぁいえ、大筋それで終わりなんですが……出来ればで構わないんですけどインタビューした人を紹介してくれませんか?」

 

「紹介? まぁ良いけどひとりでいい?」

 

「はい、ちょっとお話を聞いてみたいだけなので」

 

「なら良かった。すぐ済むわね。若駒先生! 刹那ちゃんが話聞きたいみたい」

 

「ん? 何だい千葉さん」

 

 

 千葉部長が部室を振り返り、机に座る男性に声をかける。私達が新聞部に入ってから一言も発していなかった彼が顔をあげ、こちらをみた。

 

 

「そこにいる新聞部の顧問が少女消失の当事者の1人よ」

 

「あぁ、どうも刹那ちゃん。えーと、知ってるかな? 僕のこと」

 

「存じ上げてます。倫理担当の若駒郁夫先生ですよね」

 

「うん、正解」

 

 

 短く刈り上げた髪の毛に中肉中背、メガネをかけた優しそうな垂れ目の男性教師。名前は自己紹介の通り、若駒郁夫。

 

 私は正直、かなり好きじゃない教師だ……まぁそもそも好きな教師自体そんなにいないが。

 

 

「じゃあ私は取材行ってくるわね! もー、部員少なくて大変よ! どうしてこんなに少ない部員でこんなにやる事あるのかしら」

 

「え? 部員が少ないですか?」

 

「そうよ、私含めて5人しかいないんだから。幽霊がいないだけマシだけど廃部寸前よ! 今年の募集は頑張らないと!」

 

「…………そう……でしたっけ?」

 

 

 何といえば良いのか、目が嫌いなんだ。ニコニコと愛想よく笑いながらその奥ではこちらを見下し、値踏みしているその目が。私は嫌いだ。

 

 

「ええ!新聞部は少数精鋭!選ばれたメンバーで回してるのよ!」

 

「私の記憶が確かなら新聞部は総勢15人、文化系でも中堅だった筈なんですか……」

 

「15人?そんなわけ……あれ?」

 

 

 

「千葉さん、取材行かないの? 急がないと間に合わなくなっちゃうよ」

 

 

 

「うぇ!? もう時間やばいじゃん! えっと……じゃあ刹那ちゃん、那由多ちゃん、あたしもう行くから! 適当にくつろいどいて!」

 

「えっ!?ちょっ!?千葉先輩!」

 

「取材頑張ってくださいね」

 

「うん!じゃあね〜!」

 

 

 いや、うん……お為ごかしはやめよう。こいつを嫌いな理由はただ一つ。なんかこいつ先輩を見る目がじっとりしてるんだ。だから嫌い。生理的に無理だ。えあーぶん殴りてぇ〜。

 

 

「行っちゃった…」

 

 

 ていうか教師が異性の生徒を下の名前+ちゃん付けで呼ぶなよ。よく教師になれたなコイツ。

 

 

「さてと、それで刹那ちゃん。聞きたい事って自殺事件についてだろう?

 私に何を聞きたいのかな? 何でも答えるよ」

 

 

 まぁ多分こいつも私のこと嫌いだろうし、お互い様だろう。

 さっきから明確に私の事省いてるのが証拠だ。

 私もこいつと会話したくないから都合がいいけどね。

 

 先輩の負担になってるのはちょっと申し訳ない。

 

 

「……自殺…?……ええと、先生は事件当時に屋上に居たんですよね? 

 何があったか覚えてますか?」

 

「ああ…はっきり覚えているよ。

 私は柵を乗り越えて彼女を止めようとしたんだ。

 でも彼女は私が近付くと錯乱してね……『来ないで』と叫びながら、私の目の前で飛び降りてしまった……」

 

「…………ではもう1人いた教員は何をしていたのですか?」

 

「権田先生だね。彼は彼女には近寄らず、その場でただ彼女に落ち着くよう声をかけていたよ。

 当時はなんて勇気のない教師なんだと憤慨していたが、結果的に権田先生の方が理にかなっていたのかもしれないな。

 私は彼女に近づく事で、彼女を怖がらせてしまったのかもしれない」

 

「そうですね……しかしまぁ緊急事態ですし、判断間違いは誰にでもある事ですよ。あまりお気になさらずに」

 

 

 権田胤雄。

 体育教師で生徒指導も兼任してる。

 まぁー、正直言って好きか嫌いかで言うと微妙なラインの教師だ。

 ステレオタイプの体育教師で声がデカくて無精髭ボーボー、私の事をめちゃくちゃ運動部に勧誘してくる。

 あとチラチラバレないように生徒をエロい目で見てる。まぁバレバレなんだけども。よく教師になれたな枠2ndだ。

 

 

「ありがとう刹那ちゃん。君にそう言って貰えると救われるよ」

 

「はぁ……まぁ一般論なので……では聞きたいことも聞けたので私は失礼します」

 

「え? もういっちゃうのかい? お茶入れるけど?」

 

 

 ただじつは動物好きとかいう好感度アップポイントを持っていて知ってる人はそんなに嫌ってない。学校裏の林で死にかけた野良猫を拾い、病院に連れて行って飼っているのだ。

 ……なんだよ、雨の日に猫拾う不良か? そんなんで好感度上がると思ってるのか? バッチ上がるよ。少なくとも私はグイングイン音出して上がったよ。V字回復だよ。

 

 

「はい。調べたいことができたので失礼します……いくよ」

 

「はいはい、了解しました先輩」

 

 

 まぁ、正直そう言うの無しでも若駒と比べたら権田先生は遥かに印象いいけどね。贔屓とかしないし。お尻触ったりするらしいけど一線は超えてないらしいし、中年の性欲持て余してるだけで遥かにまともな教師だよ、権田先生は。

 

 

「ちっ………」

 

 

舌打ちすんなって。聞こえてるっつーの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャリとドアを閉じて先輩がふぅと一息つく。

人見知り入ってるからな、先輩。千葉部長に若駒、連続であまり知らない人を相手にして緊張したんだろう。

 

 

「はぁ…権田先生は……いいかな……多分おんなじ事しか聞けなさそうだし。

 それよりも図書室に行かないと……新聞部のこと調べなきゃ」

 

「何を調べるんですか先輩」

 

「うん、ちょっと……嫌なこと思いついちゃって…机が残ったなら………たしか生徒名簿見れたよね? 図書室」

 

「どうでしたっけ? 図書室ははだしのゲンと横山三国志意外借りたことないんで」

 

「……キミよくそれでボクにもっと小説読めとかいえたね……ビックリだよ」

 

「上から目線でモノを言ってくる人の話は話半分で聞いて信じない方が良いですよ、先輩。お母さんは先輩がいつか騙されないか心配です」

 

「何で親目線なのさ! 余計なお世話だよ! それにボクのお母さんはそんな事言ってくれないよ! バカ! ていうかボクを騙すのは基本キミだよ!!!!」

 

 

 先輩が眉を吊り上げ瞬間的に沸騰する。

 何故……? 

 

 

「あーもう! キミはちょっとひとっ走り部室に戻って七不思議の新聞とってきて! 『いつのまにか増えてる机』のやつ! 今月のやつだからね!」

 

 

『ボクは先に図書室行ってるからね!』『早くきてよね!』『ダッシュだよ!ダッシュ!』と言って先輩はプンスコしながらノッシノッシと大股で図書室に向かった。

 まぁ先輩にとって大股でも私からすれば全然小股なんだけども。

 

 

「……うーん、怒ってても可愛いなぁ……先輩は」

 

 

 

 

 ……いつまでも先輩の後ろ姿見ててもしょうがないし、言われた通り新聞とってこようかな。

 

 

 




千葉綾子
所属クラス:3-F
所属部活動:新聞部
身長:162.5cm 体重:56.5kg
好きなもの:恋話、噂話、珍しいジュース
嫌いなもの:勉強、話を聞かない人
趣味:自販機巡り、旅行
夢:ルポライター
備考
 茶色の長髪をポニーテールにまとめた少女。
 部長として新聞部を纏めていかないと思っている。
 勉強が苦手で逆に運動は得意。
 成績は良くないがPC作業は慣れで無難にこなす。
 気になった事は調べないと気が済まない質。
 中学からのエスカレーター組で生徒から教師まで顔が広い。
 恋話が大好物で人の恋愛に首を突っ込んでは追い払われている。
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