椎名ひよりはとても可愛い 作:椎名ひより可愛くないですか!?
今日は椎名と昼食を一緒に食べる日だ。俺と椎名は週に2、3回のペースで一緒に昼食を食べている。残りの日?全部綾小路だよ、あいつ1人で行くように促すと捨てられた子犬みたいな目をしてくるんだよね。さすがに放っておけないのでなるべく一緒に食べるようにしている。
「夏目くん」
「はい夏目です。どうした?」
「前から思ってたんですけど、そのお弁当とても美味しそうですよね」
椎名の目線の先には俺の弁当がある。趣味の一つでもある料理をするために朝早くに起きて、毎日作っている。
「そう言ってもらえるのは嬉しいな。せっかく作るなら見た目にも拘りたいからな」
「ええ、とても綺麗で美味しそうです」
そう言いながら俺の弁当から目を離そうとしない。おかずを箸で持って左右に揺らしてみる。椎名の顔も左右に揺れる。かわいい。
「………」
「………」
椎名で遊ぶのをやめておかずを口に運ぶ。うん、美味しくできてる。
「……あっ、からかってましたね?」
「バレた」
「バレたじゃないです!」
揶揄われていたことに気付いた椎名は少し恥ずかしそうに怒っている。
「ごめんって。お詫びにおかず誰か食べて良いからさ」
「仕方ありません、それで手を打ちましょう。卵焼きが美味しそうですね」
「お目が高いですねお嬢さん。今日の卵焼きは自分でも上手くできたって思ってるんだ」
「本当ですか!楽しみです!!」
そう言いつつ卵焼きを箸で掴み椎名に差し出す。
「……えっ」
どうしたことだろうか。椎名は固まって動かなくなってしまった。箸で持ったところで疲れないとはいえ、落とすのは怖いから早く食べてほしいんだけども。
「椎名?」
「……いえ、いただきます」
覚悟を決めたような顔をして卵焼きを食べる。そんな変なもの入れてないんだけどな?
「……どう?」
「とても美味しいです」
「それは良かった」
そんな会話をしながら俺も卵焼きを食べる。うん、美味しい。きちんとできてる。
「あっ」
「?どうした、もう一つ食べたかったか?」
「……いえ、なんでもないです。気にしているのは私だけ?」
「そう?」
なんか椎名の反応が少し変だ。卵焼きを食べたあたりから挙動不審というかなんというか……。
そんなことを考えながら残っている弁当を食べていく。……あっ
「ごめん椎名、考えが足りてなかった」
「ど、どうしたんですか急に」
「椎名が気にしてたことって箸のことだよな。普段そんなに気にしたことがなかったから気づかなかった。ごめん」
気づかなかった。考えてみたら俺が椎名に食べさせてるし、間接キスみたいなことになってる。なんか周りから視線を感じると思ったら一連のやりとりを見られてたってことか。恥ずかしい。
「いっいえ。こちらこそ申し訳ありません!お弁当を食べさせてもらった立場なのに緊張してしまって。もう大丈夫ですので気にしないでください」
「でも「気にしないでくださいね!」はい」
椎名の圧が強い。不機嫌ってわけでもなさそうだしさっきの一連のやりとりを思い出したくないだけなのだろう。
「それにしても、良いですねお弁当」
コンビニで昼食を買っていると言っていたことから普段は自炊をしたりしないのだろう。朝早くに起きて料理をする大変さはよくわかる。
「ならさ、俺弁当作ってこようか?」
「良いんですか?」
「椎名さえ嫌じゃなければなんだけどさ。1人分増えたところで大した負担にはならないさ。それに、出来るなら感想を聞かせてくれると嬉しい。普段の自分の料理が他の人にも美味しいって思ってもらえるのかちょっと気になる」
自分1人で食べるならある程度適当に作ってしまうところがあるから、他の人に食べてもらうってことを考えて作るならきちんとしたものができると思う。そう思いたいなぁ。
「……でしたらお願いしてもよろしいですか。私もきちんと感想を語らせてもらいますから」
「頼んだ!俺も頑張って作ってくる」
椎名の弁当も作ることになったし、頑張って作りますか!!
次の日
綾小路の昼食の誘いを断って椎名と食堂に行く。綾小路とも一緒に食べるか悩んだが初対面のやつがいると椎名も食べづらいだろうと思い断った。綾小路はとても寂しそうにしててちょっと揺らいだ。
「お待たせ。椎名の弁当作ってきたから一緒に食べよう」
「ありがとうございます。楽しみにしてました!」
お互いの教室では知り合いの目線もあって食べづらいことから食堂に移動して弁当を広げている。こっちの方が人が多くないかって?それはそう。でもほとんどが知らない人たちで話しかけられることがないからまだこっちの方が気楽だ。なんか一瞬綾小路らしき人物と目が合った気がしたけど気のせいキノセイ。
席につき弁当を渡す。もうね、椎名の顔がすごいにこやかなんです。これが天使ですか。
「わぁぁ!!お弁当とても美味しそうです!!!」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。がんばって作った甲斐があった」
今日の弁当は今までのものの倍以上に丁寧に作った。友人に食べさせるとなると手を抜くことはできない。初めてなら尚更だ。
「じゃあ、食べようか」
「はい!」
「「いただきます」」
「「ごちそうさまでした」」
「とても美味しかったです!」
「そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとな椎名」
「こちらこそお弁当を作ってくださりありがとうございます」
弁当を食べ終わり現在は教室に戻っている最中だ。ものすごく見てくる綾小路の視線を振り切り食堂を後にした。
「毎日、あのお弁当を作る夏目くんはすごいですね」
「そんなにかな?習慣づいてるところがあるからすごいって言われても実感が湧かないだよなー」
「すごいことですよ。私も毎日食べたいですね」
……え!プロポーズですか!?なんて冗談を言えるはずもなく、俺が固まっていると
「冗談です」
そう言い、くすくすと笑っている椎名がいた。やられた。
でも毎日か〜。作ってもいいけどな、結局1人分も2人分も大して変わらない。
「良いよ。毎日作っても」
「……えっ」
「もちろん、冗談じゃないよ。俺の作る弁当食べてくれない?」
仕返しのつもりもあったが食べてほしいのは俺の本心だ。美味しそうに食べる椎名をみて、嬉しくなった。
「……良いんですか?」
耳まで真っ赤にしながら尋ねてくる。
「もちろん。俺に作らせてほしい」
俺も少し恥ずかしくなりつつも言い切る。後ろにいる綾小路は気にしない。すごい目で見ている気がするから。こわい
「……ではよろしくお願いします」
「任された!」
とても嬉しい。椎名の弁当も作る事に決まった。今までの手抜きじゃなく気合い入れて作らなきゃだな。
弁当の材料費は折半、好き嫌いアレルギーの話をしながらCクラスの教室の前に着く。
「あ、もう教室ですね。では、失礼します」
言うが早いか椎名はさっさと教室へと消えていく。残ったのは俺と後ろからついてきている綾小路の2人だけだ。
「夏目」
「なんだ」
「顔が赤いぞ」
「言うな」
「あと口もニヤニヤしてる」
「言うなって」
綾小路にバレた。口止めになんでもすると言ったら弁当を作る事になった。
「ねえ椎名、顔真っ赤だけどなにかあった?」
「大丈夫です。特に何かあったわけではないのですが」
「夏目?」
「……」
「分かりやす」
週1ぐらいで投稿できたら良いなと思ってます