結論から言って、夕食は大混乱の中終わった。
あの謝罪会見もどきの後、クラスメイト達から凄い勢いで問い詰められた。
特に天之河からの追求が一番多かった。なんで元の人格の友達の近藤より追及してくるんですかね?
【何で追放なんてされなきゃいけないんだ?!】とか【南雲が死んだのは事故で責任なんて誰にも無いんだ!】とか色々言われたが、全部それっぽい理由を付けて適当に答えた。
最終的には納得いかない顔をしながら、八重樫雫に連れられて行った。
そして今現在、俺は部屋に戻って、ベッドに寝転がっている。
「あ~疲れた」
普段やらない事をすると、疲れるのは本当だな。
あんな大人数に見られながら、謝罪会見的な事をするなんて初めてのことだった。
緊張しすぎて喋っている途中で危うく舌を噛むところだった。
「苦労はしたが、色々手をまわしたお陰で俺の狙い通りになりそうだ。」
危なげはありながらも、目的は達成された。
そう、本当に手をまわしたかいがあったとも。
お陰で、無事俺は追放されるのだから。
追放されたいとか何言ってんだコイツ? と思うだろう。だが、待ってくれ話はこれからだ。
まず、昼間の近藤との会話を思い出してほしい。
俺が【家族が恋しい】と言うと近藤くんは【あれ? お前って家族がウザいって行ってなかったっけ?】と答えた。
察しの良い人間なら分かると思うが・・・・・・俺は檜山大介にそもそもなり替われてない。
あの場では、なんとかリカバリーができたが、あの幸運がいつまでも続くとは限らない。
そこで、俺は考えた。【コレなり替わるの無理じゃね?】と。
今思えば、なり替わり系主人公は大抵なり替わり先の情報を知っている状態から物語が始まっている。だからこそ、元の人格を演じることができる。
一方で俺の方はどうだろうか?
俺は知っての通りなり替わり先の【檜山大介】という人間の事を何一つ知らない。
そりゃ無理だ。
なり替わってやると意気込んだはいいものの、そもそも俺がいくら頑張ったところで、檜山大介になり替わるのは不可能だったのだ。
さあ、そこで出てくるのが【追放】だ。
【追放】・・・・・・つまりは実質的にあのクラスメイト達とは別行動を取ることができる。
だが、追放されるには相応の理由がいる。
もう分かっただろう。その理由にオルクスの迷宮の一件を使わせてもらった。
正直、ちょっと迷った。
間接的とはいえ、俺の身体が殺した人間の死をとことん利用してやるってのは、我ながらどうかと思った。
だが、それ以上の方法が思いつかなかった。許せ【南雲ハジメ】君の事は忘れるときまで忘れない。
おっと、話が逸れた。
とりあえず、追放される理由は見つかった。
だが、まだ問題はある。【国が異世界転移者を野放しにするわけない】という問題がだ。
【勇者たち異世界転移者は普通の人の数倍の戦闘力がある】【その勇者を国が囲い込んでいる】
俺は思った・・・・・・・・・・・・【絶対、魔人族と戦わせるつもりだろこの国。】と
そこに気づいた俺は、王城に居る王様に直接会って【俺を追放してください!!!】と言った。
始めは相手にもされなかったが、【人が死んでいるのに、誰も責任を取らないのは可笑しいでしょう!!】とか【あの一件は俺の所為だったんです!!!】とか熱意を込めて語っているうち
に、遂に【追放される権利】を勝ち取った!
だがまあ、正直な話、俺は天之河とか白崎香織みたいな、凄く有用な人間ではなく、他30人ぐらいの人間の中からいくらでも替えが効く存在だったことも大きいだろう。
悔しいが、普通にありがたい。ありがとう王様。
え? 【本当に失った物はそれだけなのか?】だって?
・・・・・・・・・・・・持っていた高品質な武器防具は没収されました。
まあ、仕方ない。オレの後続として新たな離反者が出ると王国的には困るだろうし。
でも装備については、恐らく何かしらは王国から貰えるだろうし。大丈夫だ、問題無い。
檜山の追放が認められた理由の一つとしては、主人公憑依前の檜山がイキっていてウザかったからです。