呪ハ永遠二 作:あべちゃん*
「お母様、このドレスどうかな?」
「とても似合ってますよ、バージニア」
「えへへ!ありがとう!」
部屋の中から聞こえる楽しげな声。
けれど、女王エリザベスの声は少しだけ強ばっていた。
カタン……
廊下の天井から音が聞こえる。
国家防衛軍1番隊隊長アレクサンドラはすぐさま短剣を取り出し天井に投げつける。
「ッ……」
(外したか)
今日は王女の誕生日。
バージニアは滅多に人前に出ない事もあって、唯一人前に出るこの日を狙って暗殺にくる物がいる。
国家防衛軍1番隊隊長であるアレクサンドラはその実力を認められ、バージニアの付き人となった。
しかし、王女、バージニアの付き人というのは表面上で、実際は人前に出ないバージニアの遊び相手である。
ガチャ・・・・・
扉の開く音がする。
「アレクサンドラ、もうすぐ式が始まります。あなたは持ち場に付きなさい」
「はっ、かしこまりました」
アレクサンドラはエリザベスに一礼すると持ち場に向かった。
今日のアレクサンドラの目的はただひとつ、王女バージニアの命を守ることだった。
‐‐‐
式が始まった。
アレクサンドラは常に王女の傍にいること、そして怪しい者がいたらすぐに1番隊補佐であるルイスに報告することが今日の仕事内容だった。
その為、補佐であるルイスも常に王女の傍にいなくてはならない。
しかし、怪しい者が出たときはルイスはその者を捕まえるために王女の傍を離れることになる。
「アレクサンドラ、あなたも自由にしていいのよ?ルイスも」
「・・・いいえ、もしもの事があってからでは遅いので」
「そうなの?」
「ええ・・・・」
バージニアは知らなかった、この国の治安を、今の状況を。
そして、自分がどれほど特別な人なのかを。
「それにしても、何で毎回私の誕生日はこんなにも派手なのかしら?アレクサンドラやルイスの時なんてみんな、祝ってすらなかったのに・・・」
王女は無知だ。
無知すぎる故、命が狙われやすい。
まぁ、それだけではないとアレクサンドラは知っていたが。
「バージニア様」
後ろから声をかけられる。
アレクサンドラはその声の主をよく知っていた。
「・・・・・?あなたは?」
「街のしがない占い師でございます」
占い師と名乗るその人物はアレクサンドラの実の姉、アリスだった。
バージニアはチラリとアレクサンドラを見る。
「・・・彼女は街でよく当たると噂されている占い師、アリスでございます」
「そう。それで占い師が私にどの様なご要件で?」
「いえ、妹がお世話になっておりますので、挨拶をと・・・・」
「妹?」
「えぇ、私はそこの、アレクサンドラの姉にございます」
「まぁ、アレクサンドラの?」
バージニアが目を輝かせた時だった。
「王女様!エリザベス女王様が!!」
ざわっ
一気に騒がしくなる会場。
アレクサンドラとルイスは顔を強ばらせた。
「今すぐ、医務室へ!」
「バージニア様、行きましょう!」
アレクサンドラがバージニアの腕を取る。
しかし、バージニアは動こうとしない。
「バージニア様っ!」
アレクサンドラは焦っていた。
だから、気付かなかった。
「隊長!!後ろっ!」
「!!」
カキィンッ……
金属同士がぶつかる音が辺りに響く。
「・・・・お怪我はございませんか、バージニア様」
「アレクサンドラ・・・」
「さぁ、行きましょう!ルイス!この会場はあなたに任せる。厳重に警備をしろ」
「わかりました!」
「・・・・・アレクサンドラ」
「なに?姉さん」
「・・・闇に、呑まれないようにね」
「・・・・・?」