瞼が重い。瞼の裏に朝の光を感じる。
朝だろうか.....。
「おっはよー!」
カーテンが一気に開けられ、瞼の裏に感じる光が強くなる。
「おにぃ!早く起きないと朝ごはん食べちゃうよー?」
「ん、、、ふぁあ。」
「ほら!あくびしてないでさー。」
目を開ける。
視界に飛び込んできたのは、どこかで見覚えのある少女だった。お団子のツインテールが特徴の活発そうな少女...妹の「メイ」がいた。
「早く顔、洗ってきてね!」
用件は済んだとばかりに、さっさと出ていく。
「・・・」
開けられたカーテンの向こう、窓の外を飛んでいるポケモンを見て、ようやく思い出した。
「あ...」
そうだ、ここは、、、
「ポケモンの世界だ...」
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顔を洗い、リビングへ向かう。
「あ、やっと来た〜。遅いよー、おにぃ」
「ごめんごめん」
平謝りをして、椅子に座り朝食を食べる。
「母さんたち、今日は出かけるらしいから〜。」
「そっか...」
まだ、混乱している。
この目の前の少女を妹だと認識している感覚と...どこか...他人もしくは、物語の登場人物のように感じてしまう自分がいる。
「おにい?もしかして、元気ない?」
不思議そうに首を傾げて、顔を覗き込んでくる。
「...いや、大丈夫だよ」
「むぅー。そういう人ほど、大丈夫じゃないんだよー!」
まだ混乱する頭でも、この妹...メイの根の優しさを感じる。
「ありがとうね。」
「・・・本当に変なおにぃ。」
心配している中、感謝の言葉を投げかけられ、複雑な顔をしている。
朝食を食べていると。玄関の扉が開く音がする。
「ん!母さん...じゃないね時間的に、だったら。」
リビングにその主が顔を出す。
青色と黒色の混じった髪...身長は120cmと少し小柄だが整った体つきの少女。
そして何より特筆しているのは...頭に生える青い毛のピンと立つ獣耳と、腰のあたりから覗く同じ色の毛を持つ尻尾。
・・・僕はこの少女を、知っている。
けれどそれは、物語の登場人物としてではない。この子は...
「あ、おはよ。メイ・・・と主!」
僕の相棒(パートナー)のルカリオ...
"リオ"だ。
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僕のいまだに混濁が残る記憶で決定的に相違がある点。
今朝思い出した。"僕"は「ポケモン」を知っていた、ずっと...前から。
でも、この世界は"僕"の知っていた「ポケモン」とは明確に違う。
"僕"の知っていた「ポケモン」いや、「ポケットモンスターブラック2/ホワイト2」の登場人物において。「主人公メイ」に兄はいなかった。
そして、、、
「・・・」
「...ん?主どうしたの?」
隣に座り、一緒に朝食を食べる少女、ルカリオの"リオ"の獣耳がぴくりと動く。
腰の後ろでは、青い尻尾が緩やかに揺れている。
少なくとも"僕"が知っていたポケモンの世界では、
"人の姿を持つポケモン"もいなかった。
「なんだか、朝から調子が悪そうなんだよねー。」
また、心配そうに顔を覗かれた。
「大丈夫だよ」
「それ、さっきも似たような事聞いたよー。」
朝食を食べ終わり、頭を整理するための情報を求めて、テレビをつける。
テレビには人の姿をしていない普通?のポケモンたちと人のバラエティ番組が映る。
「(やっぱり、全部のポケモンが人の姿なわけじゃ無いよね。)」
チャンネルを変え、少しでも何かないかと見るが...
「今日土曜日だし、この時間だからあんまり面白い番組ないんじゃない?」
「...ねぇ、おにぃ。」
突如、少し真面目な雰囲気をまとい、声を投げかけられる。
「おにぃ...さ。今日こそポケモンバトル...しない?」
ポケモンバトル...そりゃそうだ。この世界が違和感はあれどポケモンの世界であるのなら。ポケモンバトルだってある。
なぜだろう"前の僕"なら、その申し出に心が躍った気がする。
でも...僕は、ポケモンバトルに怯えている。
混濁する記憶の中でも"その理由は"鮮明に覚えている。
「.....」
「ごめん。もう少しだけ待ってほしい。」
「あ...いや、こっちこそ...ごめん!おにぃ」
気まずくなり目を逸らして、リビングを後にしようとする。
「...」
リビングを出る直前、まだ椅子に座っていたリオと目が合った。
その顔は、、、どこか悲しそうだった。