ドロップ率SSRの俺、姫騎士まで拾う 作:銀髪爆乳ムチムチ教
「命令ね……もしかしてこの屋敷って私たちが住んでもいいの!?」
「ええ、もちろん。入ってこれた者は主人だと聞いております」
「おお~~!」
目を輝かせるアシュレー。たしかにこの屋敷を自由に使えるのならば、宿賃はもう必要ない。
つまるところ、良い拠点をゲットできたわけだが……。
俺は気になっていることを聞くことにした。
「あんたをパーティに加えて戦闘してもらうってことも可能なのか?」
「ええ、ただしわたくしが破損した場合、修復はやや難しいと思いますが……」
……そりゃあそうだ。人ではないし、大きな破損をしてもゲームみたいに即復活というわけにはいかない。ゲームじゃあ、彼女の復活シーンは他のキャラと同じだったからな……。
「彼女には家事をしてもらって、私たちだけで戦うべきじゃない?」
「ええと、あんた、魔法とか祈祷のたぐいは使えるのか?」
俺は自明の質問を行う。ここで俺が先んじて知っていたら変だからな……。
当然、彼女は使えるのでコクリ、と頷いた。
「はぁ、いくらか治癒術が使えますが……」
「それはいいわね! 帰還したときに治癒してもらえるじゃない!!」
「多少なら装備の整備、アイテムの鑑定なども可能です。お任せください」
仕方ないな……ゲームと違って、俺たちはただでさえ完全に蘇る保証はない。
自動人形ともなれば、修復に結構な金がかかるだろうし、戦闘をさせるのはゲームじゃない現実では得策じゃない。ここぞというときにだけ出動してもらえばいいか。
「じゃあちょっと探索してきて良い!?」
「ああ、いいぞ。特に罠とかも……ないはずだ」
「いぇ~~い!! 私、自分の部屋決めてくる!!」
そう言って、アシュレーが飛び出していく。
俺も別方向にしばらく調べることにした。
メイドはアシュレーではなく、俺についてくることにしたようだ。
指輪を装備しているからだろうか……。
ひとまず、食堂や客室、書斎、談話室に倉庫。トイレに風呂場まである。
倉庫には使えそうな武器・防具がいくらか揃っていた。足りないときに便利そうだ。
普段着に使える服も、棚にいくらか入っている。多少古いようだけれど。
家具も元の主が飛び出したときのままだし……う~~ん、マジで住めそうだな。
残念ながら金目のものはなかった。ここを出るときに持っていったのだろう。
まぁ、それでもいつでも住めるように大抵の物が置かれているのは、ありがたい。
そんなふうに確認している姿を、じぃ……とメイドが見つめてくる。
「あの……なんか用か?」
「あのお方は奥方でしょうか? 元気いっぱいですね」
「……いや、事情があって指輪を預かっているだけで、あの子が本来の主人だよ、あんたの」
「なるほど。つまり、婿入りというわけですね」
理解してくれていない。細かい人間の関係性などは理解できないのかもしれない。
俺は溜息を吐く。まぁ、どうせ三人しかいないのだ。多少誤解されても問題ないだろう。
一通り一階を見終わったので、二階に上がろうとすると、ちょうどアシュレーが降りてきた。
「私、二階の端にある客室を使うわ!! 眺めが綺麗だし!!」
「じゃあ俺はその横にしとくか。ドロシーはどこを使っているんだ?」
「談話室にある安楽椅子で休息を取っております」
「…………使いたかったら部屋を使ってくれれば良いんだが」
「はぁ、まぁ、ご命令とあらば」
人形だから、休息などいらないのかもしれないが……。
二階はバルコニーに遊戯室、その他すべてが客室だった。
一階のも合わせると五~六人は住んでもプライベートが保たれそうだ。
「ライ!! 地下もあるわよ!!」
下から声が響いてきたので確認に向かうことに。
地下は……独房が少しと、おそらく冷蔵庫。そして中にはワインセラーがあった。
「このお酒とかまだ飲めそうね……」
「しっかり封がしてあるしな」
売れば、そこそこのお値段がしそうな年代モノのワインになっている。
まぁ、この迷宮島で買い取ってくれそうな相手を探すのは一苦労だと思われるが。
「ひとまずこんなところかしら? えっと、ドロシーちゃんだったわよね」
「はい」
「料理って作れる? 食材買ってくるわ!!」
「もちろんですとも。お任せくださいまし」
どのみち夕食を買いに行かなきゃならない。
俺たちは再び鬱蒼とした庭を超えて、屋敷を出ていった。
「庭はまた整えておきます」
門まで見送ってくれたドロシーはそう言って、お辞儀をした。
「そういえば”炎龍の卵亭”に前払いしてたんでしょ? 回収しなくていいの?」
「ああ……あそこはお世話になったんだが……」
「チップだけ渡して、返してもらいなさいよ」
「そうするしかないか」
ひとまず”炎龍の卵亭”へと向かうことに。
ちょうど夕食時だからか、人の数が多い。マスターに事情をかいつまんで話すと、顔色一つ変えずに前払いを返してくれたので、チップだけいくらか渡しておいた。
「また食べに来いよ」
「それはもちろん」
握手をし、そのまま別れることに。
返してもらった前払い金を手に、俺たちはそのまま市場へと向かった。
すっかり夕方の市場、既に開いている店さえ少ないが、それでも夕食分の食料ぐらいは買えた。
しかし俺は筋力がないので、そのほとんどをアシュレーが担ぐことに。
「すまないな」
「いいわよ、これぐらい。お金は払ってもらってるんだし」
「適当に残ってた食材を買ったが、何が作れるだろうかね」
「私、魚料理が良いわ。魚無かったけど」
新鮮さが売りの魚は、そりゃあ夕方まで残っていることはないだろう。
少なくとも今日は肉料理である。
そんな風に話しながら歩いていると、アシュレーがぼそっと呟いた。
「今日はもういいけれど、明日はどうする?」
「装備が戻ってくるのは明後日だしなぁ……」
またまた一日中暇なわけである。
どうしたもんかと、ひとまず悩んでみる。
「庭の整備でも手伝うか?」
「ああ、それがいいわね」
「で、明後日はダンジョン。二階層から挑んでみよう」
「ふっふっふ、腕がなるわね……!!」
俺たちが出会ったのは三階層。
つまり二階層は基本的にとんでもないことがなければ、安定して探索できる場所である。
まぁ、前回のようなことがないとも言い切れないのだが……。
そんな話をしていると、思い出したようにアシュレーが叫んだ。
「アンタのバッグ、穴空いたんじゃなかったっけ!?」
「ああ、武具工房で買うか。元々あそこで買ったんだよ」
「よし、それじゃあ明日は庭の整備、明後日は武器工房で装備を返してもらって、バッグも買いましょう。で、二階層へ挑む!!」
ぐっ、とアシュレーが拳を握りしめ、気合を入れる。
そんな様子を見て、俺は肩をすくめて見せた。
「ま、ぼちぼち頑張ろうぜ」
「ええ、よろしく頼むわよ、相棒」
そうして、俺たちは屋敷へと戻った。
鬱蒼としていた庭を、さっそくドロシーが草刈り機で切り刻んでいる。
いや草刈り機なのか? なんだそのピザカッターみたいな得物は。
「おかえりなさいませ。今手が離せないので、食材は地下まで運んでくださいませ」
「なんだそのカッターは」
「草刈り機でございます」
デカい。かなりの筋力が必要だろうが、おそらくだいぶ強力なはずだ。まったくつくづく惜しい。
修復面に問題がなければ、迷宮で思う存分活動してもらうというのに………。
ともあれ、俺たちは食材を地下まで運び、それぞれの部屋で一服することになった。
あまりに暇だったので書斎にあった本を回収し、読む。
この肉体は文章を覚えているのか、読むことが出来た。とはいえ、内容はありきたりな詩集。とてもじゃないが現代文学に慣れている俺には厳しいものがあった。
「知識面の書物を読み漁ったほうが良いな……」
あるいは遊戯室でなにかボードゲームでもとってくるか……。
そう思い、書斎に本を返しに行くと、カチン、と何かがぶつかる音が遊戯室から聞こえた。
覗いてみると、アシュレーがビリヤードをしている。暇だったのだろう。
とはいえビリヤード、俺はルールがまったくわかんないんだよな……。
チェスとかも置いてあったから、誘ってやってみるか。
そんなわけで俺たちは遊戯室で夕食までの時間を過ごした。
夕食になると、ドロシーが呼びに来たので、食堂へ。
ほうれん草のキッシュと、ハンバーグ。それに買ってきたパンである。
「ドロシー!! すごいじゃない!! 美味しいわ!!」
「奥方様に褒められるとは……恐縮です」
「お、奥方ぁ!?」
バン、と机を叩いて立ち上がるアシュレー。
ずいぶんと驚いたようだ。
「俺が指輪をつけているから、そう判断しているらしい」
「むむぅ……! 違うわよ!? 奥方じゃないから!!」
「承知しました。では婚約者様ですね」
「違うってば!!」
頬を染めながらも、フォークでハンバーグを貪るアシュレー。
俺は苦笑しながらも、夕食に舌鼓を打つことにした。
なるほど、たしかに美味い。
従者人形(ドロシー) 青髪/メイド服
アシュレーの一族の屋敷を守っていた自動人形。
治癒術が使え、筋力も高い……が、ゲームとは違って修復には難儀しそう。
装備の調整や、アイテムの鑑定まで行える凄腕メイドである。