Re : ゼロから始まる原神生活   作:JT

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どうもJTです。読んでもらえたら嬉しいですね^_^


第二話 現実にノエルがいるってどういうことなん‼︎

第二話 現実にノエルがいるってどういうことなん①

 

森の戦いが終わったあと、空気が急に軽くなった気がした。

 

さっきまでの殺意みたいな圧が嘘みたいに引いて、代わりに鳥の声が戻ってくる。

 

ナギは地面に座ったまま、しばらく動けなかった。

 

(……終わった、よな?)

 

手の感覚がまだ少しおかしい。

 

現実感が薄いというより、“現実が一回壊れて戻ってきた”みたいな違和感やった。

 

横を見ると、そこにノエルが立っている。

 

鎧は少し傷ついているけど、姿勢は崩れていない。

 

呼吸は整っている。

 

普通に“生きている”。

 

(いや待て……)

 

ナギはそこで一度、思考を止めた。

 

目の前の光景をもう一回確認する。

 

銀の鎧。

 

真面目そうな顔。

 

落ち着いた動き。

 

そして、さっき遺跡守衛を真正面から受け止めていた少女。

 

「……ほんまにノエルやん」

 

声が漏れた。

 

ノエルがこちらを向く。

 

「はいっ! ノエルです! 私のことをご存知なのですか?」

 

「いや知ってるけど……知ってるけどさ……」

 

意味不明な返事になった。

 

ナギは頭を抱えたくなった。

 

(原神のノエルって、ゲームのキャラやろ……?)

 

目の前にいるのは、その“ゲームのノエルそのもの”や。

 

しかもさっき一緒に死にかけていた。

 

現実味がバグる。

 

ノエルは少しだけ首を傾げる。

 

「そういえば、まだお名前を伺っておりませんでした。あなた様のお名前を教えていただけますか?」

 

俺こと帰宅部エリート夜烏凪は偽名を使うべきかとか、そんなネットリテラシーが

必要のないテイワットでどうでも良いことを考えたあげく普通に名乗ることにした。

 

「ああ、俺は夜烏凪や」

 

「気軽にナギって呼んでな〜」

 

「ナギ様、ですね」

 

ノエルは丁寧に頷いた。

 

そして少し考え込むような表情になる。

 

「ナギ様……そのお名前、モンドではあまり聞かない響きです」

 

「まあ、そうやろな」

 

ナギは苦笑した。

 

聞いたこともない世界に来ているのだから当然や。

 

ノエルは真面目な顔のまま続ける。

 

「もしかして、稲妻の方でしょうか?」

 

「稲妻?」

 

予想外の単語にナギは目を瞬かせた。

 

「はい。遠い島国だと聞いております。名前の響きもどこか似ているような気がして……」

 

「いや、たぶん違うと思う」

 

正確にはもっと違う。

 

けれど日本から来ましたなんて説明しても伝わる気がしなかった。

 

ノエルは「そうでしたか」と素直に頷く。

 

「失礼いたしました。勝手に推測してしまいました」

 

「いや、気にせんでええよ」

 

むしろ稲妻という単語が出てきたことで、ここが本当に原神の世界なんやと改めて実感した。

 

ノエルは再びナギを見る。

 

「ではナギ様は、どこから来られたのでしょうか?」

 

「どこから……?」

 

普通の質問やのに、一番答えに困るやつやった。

 

ナギは一瞬黙る。

 

「……説明が難しいんや」

 

「そうなのですね」

 

ノエルは無理に聞き出そうとはしなかった。

 

その気遣いがありがたかった。

 

それと同時に不信感を持たれていないか内心少し不安になった。

 

ふと、どうでもいい思考が頭をよぎる。

 

(近くで見るノエル、普通に可愛いな……)

 

そこで自分の思考に気付いて一瞬固まった。

 

「いや何考えてんねん俺」

 

声に出ていた。

 

ノエルがまた首を傾げる。

 

「何か問題がありましたか?」

 

「いやないです」

 

即答。

 

間が悪い。

 

空気が少しだけ変になる。

 

ナギは咳払いした。

 

「えっと……助けてくれてありがとう。ほんまに」

 

ノエルは少しだけ目を細めた。

 

「騎士として当然のことをしたまでです!」

 

(この真面目さ……ノエルやなぁ)

 

逆に安心する。

 

現実かどうか分からない世界なのに、キャラだけはブレていない。

 

ノエルは視線を森の奥に向ける。

 

「あなた様は危険な場所にいました。あのままお一人でいたら、命はなかったと思います」

 

「それは……まあ、そうやろな」

 

ナギは苦笑するしかなかった。

 

すでに一回死んでるようなもんやし。

 

ノエルは少し考え込むようにしてから言った。

 

「よろしければ、モンドの城下までご同行します! あなた様の身元も確認したほうがいいでしょう」

 

「モンド……」

 

その単語で一気に現実が締まる。

 

(モンドって、あのモンドやろ……?)

 

ゲームで何百時間も見た街。

 

でも“行ける場所”だとは思ってなかった。

 

ナギは少しだけ笑ってしまった。

 

(ほんまに原神の世界来てるっぽいなこれ)

 

でも同時に、妙な安心感もあった。

 

分からない世界やけど、“知ってる部分もある”。

 

それは生き延びる上でかなり大きい。

 

ナギは立ち上がる。

 

まだ足は少し震えているけど、さっきよりはマシや。

 

「……じゃあ、ついてくわ」

 

ノエルは小さく頷いた。

 

「はいっ! 安全な道を選びます!」

 

その返事を聞きながら、ナギはふと思う。

 

(この世界から、もう戻れへんのやろな)

 

残してきた家族や数少ない友人もいたけれど。

 

でも、不思議と絶望はなかった。

 

代わりにあったのは、ほんの少しの高揚感。

 

(ノエルと普通に会話してる時点で、だいぶおかしいけどな)

 

ナギは苦笑しながら歩き出した。

 

森の奥へ。

 

モンドという街へ。

 

そして、“死に戻りかもしれない何か”の正体へ。

 

 

第二話 現実にノエルがいるってどういうことなん②

 

森を抜けると、景色が一気に変わった。

 

木々の密度が薄くなり、代わりに風が通る。

 

遠くに見えるのは、石造りの建物群。

 

その輪郭を見た瞬間、ナギは小さく息を飲んだ。

 

(あれ……ゲームで見たやつやん)

 

モンド城。

 

記憶の中のそれよりも、ずっと“現実の質感”があった。

 

光の反射、風で揺れる旗、遠くの人の声。

 

全部が当たり前みたいにそこにある。

 

ノエルは隣を歩きながら、静かに言った。

 

「もう少しで城下に入ります。ナギ様は、まず冒険者協会で身元の確認を受けていただきます」

 

「ナギ様……?」

 

思わず聞き返す。

 

ノエルは少しだけ真面目な顔で頷いた。

 

「はい。あなたは私が保護した方ですので、正式な呼び方が必要かと」

 

「いや、様って……やめてくれや。普通でええって」

 

ナギは頭をかく。

 

なんか距離感が一気に“偉い人扱い”になっているのが落ち着かないし好きなゲームのキャラクターに呼ばれてるとむず痒くなる。

 

ノエルは一瞬だけ考えてから、

 

「では……ナギさん」

 

「それで頼むわ」

 

ようやく呼吸が楽になる。

 

(なんやこの丁寧すぎる人間関係……)

 

歩きながら、城門が近づいてくる。

 

そしてモンドへ続く長い石橋が見えてきた。

 

その瞬間、ナギの脳裏に妙な既視感が走る。

 

(待てよ……この橋って確か……)

 

橋の上には大量の鳩。

 

そして、その中心に立つ一人の少年。

 

(おるやんけ笑)

 

ティミーである。

 

原作プレイヤーなら誰もが知る、あのティミーだった。

 

ナギは思わず笑いそうになった。

 

(いやいや、まさかな)

 

そう思った次の瞬間。

 

一羽の鳩がナギの足元へ飛んできた。

 

ナギは避けようとして一歩踏み出す。

 

バサァッ!!

 

大量の鳩が一斉に飛び立った。

 

空を埋める羽音。

 

橋の上を舞う白い羽。

 

そして――

 

「うわあああああ!!」

 

少年の悲鳴。

 

ナギはゆっくり顔を上げた。

 

ティミーがいた。

 

めちゃくちゃ怒った顔で。

 

「鳩が逃げちゃったじゃないか!!」

 

「いや、すまん! わざとちゃうねん!」

 

内心大爆笑状態だが、必死に表情を引き締める。

 

「みんな帰ってくるまで待たなきゃいけないんだぞ!」

 

「知っとる!」

 

反射的に返してから、ナギはハッとした。

 

ティミーもノエルも不思議そうな顔をする。

 

「知ってる?」

 

「いや、その……なんとなく?」

 

危なかった。

 

完全に原作知識で返事をしてしまった。

 

ノエルは事情が分からず首を傾げている。

 

一方ティミーはまだ怒っていた。

 

「ひどいよ!」

 

「ほんまごめんて!」

 

「鳩たち怖がったじゃないか!」

 

「それはそうやな!」

 

ナギは思わず頭を下げた。

 

するとノエルも横で丁寧に頭を下げる。

 

「申し訳ありません。私の不注意です」

 

「ノエルさんは悪くないよ!」

 

ティミーは即答した。

 

「悪いのはその人!」

 

「俺やな!」

 

見事なまでの即答だった。

 

ノエルが少し困ったように視線を逸らす。

 

ナギは苦笑した。

 

(ああ、これやこれ)

 

ゲームで何度も見た光景。

 

モンドへ初めて入る時、多くの旅人が通った道。

 

そして大体のプレイヤーが鳩を飛ばしてティミーに怒られる。

 

妙な感動すらあった。

 

門番が二人、こちらに気付いて軽く会釈をした。

 

ノエルが短く説明すると、そのまま通される。

 

抵抗も疑いもない。

 

それが逆に怖いくらいやった。

 

城下に入った瞬間、音が増える。

 

人の声。

 

馬車の軋み。

 

どこかで笑う子ども。

 

ナギは一瞬立ち止まった。

 

(ほんまに……街やな)

 

ゲームで何度も見た“モンドの街”。

 

でもその中に、自分が立っているという事実がまだ馴染まない。

 

ノエルは少し後ろを気にしながら言う。

 

「ここからは騎士団本部に向かいます。その後、状況を説明しますね」

 

「了解……って言いたいけど、正直まだ頭追いついてないわ」

 

ナギは正直に言った。

 

ノエルは少しだけ柔らかい表情になる。

 

「無理もありません。あなたは森であのような戦闘に巻き込まれたばかりですから」

 

その言い方が、妙に優しい。

 

そのまま騎士団本部へと案内される。

 

石造りの建物。

 

高い天井。

 

整った机と地図。

 

そこに入った瞬間、空気が少しだけ“仕事の場”に変わった。

 

ノエルは軽く敬礼のような動作をしてから、説明を始める。

 

「この方は森で遺跡守衛に襲われていたところを保護しました。名前はナギさんです」

 

少しの沈黙のあと、受付の騎士が頷く。

 

手続きは驚くほどスムーズだった。

 

ナギはその間、ぼんやりと周囲を見ていた。

 

(ほんまに……ここ“現実のモンド”なんやな)

 

その時、ノエルが少し声のトーンを落とす。

 

「ナギさん。少しだけ重要なお話があります」

 

空気が変わる。

 

ナギは姿勢を正した。

 

「さっきの遺跡守衛ですが……最近、モンド周辺で活動が活発になっています」

 

「活発?」

 

ノエルは頷く。

 

「そしてそれだけではありません。今、この地にはもう一つ問題があります」

 

少し間を置いてから、静かに続ける。

 

「――風魔龍“トワリン”が暴走しています」

 

その名前を聞いた瞬間、ナギの思考が一瞬止まった。

 

(トワリン……)

 

知っている。

 

いや、“知ってしまっている”。

 

モンドを襲う龍災。

 

ゲームで見たあのイベント。

 

でも今聞くと、重さが違う。

 

ノエルは続ける。

 

「街の外は安全とは言えません。特に夜間の移動は危険です」

 

ナギはゆっくり息を吐いた。

 

(風魔龍騒動が起きとるってことは……)

 

そこでふと、ある人物の顔が脳裏をよぎる。

 

金髪の旅人。

 

そして非常食。

 

原作では、この龍災をきっかけにモンドへやって来たはずだ。

 

(じゃあ、もう来とるんか……? いや、まだか?)

 

ナギは記憶を辿る。

 

だがゲームのイベント順と現実の時間軸が完全に一致している保証はない。

 

そもそも、自分がここにいる時点で原作通りとも限らない。

 

(ティミーはおったし、ノエルも普通におる。でも旅人がおる気配はまだ聞いてへんな……)

 

少なくとも、ノエルの話の中に旅人の存在は出てこなかった。

 

もし龍災解決の立役者が既に現れているなら、騎士団内でも話題になっていておかしくない。

 

そう考えると――

 

(原作開始直前くらいなんかもしれへんな)

 

そんな推測が頭をよぎる。

 

でも確信は持てなかった。

 

ナギは小さく呟いた。

 

「……忙しい世界やな、ここ」

 

ノエルは少しだけ真剣な目で頷く。

 

「ですが、守る価値のある場所です」

 

その言葉が、やけに残った。

 

ナギは窓の外を見る。

 

モンドの空は、静かに広がっている。

 

その向こうで、何かが確実に動いている気配がした。

 

(ここで俺、ほんまに生きていくんやろな)

 

まだ実感はない。

 

でも、もう“戻る場所”のことは少しだけ薄れていた。

 

 




オリ主のプロフィールは関西人の17歳高校生です。
今後評価されたら詳しい設定資料でも出そうと思います。
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