レッドウィンターの商人 作:あいう
うーん?
エデン条約の終わりをどうするか…
荒い息遣いを抑えようとし、拳を口の中に突っ込んだ。彼女がサーマルカメラを所持しているわけがない。彼女の聴覚がこれを捉える可能性は少ない。
だが、この声が勝敗をつける要因となる可能性がある。雑木林の外れの方に逃げ出した訳だが、あいつは強すぎる。私一人ではどうにもできない。少なくともツルギレベルがあと1人いないとだめだ。
そんなこんなで簡易的な処置を済ませ、ミカのいない方向に歩を進めた。
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どうしてだろう、何を間違えたのだろう、私が悪かったのだ。でも、引き返せない。深夜帯のためか、夜風が吹き荒れているように感じた。
先生達……補習授業部を監視するために再度訪れようと、少し遠くの高台で覗いていると頭を撃ち抜かれる。幸いにも辺りは暗かったので、2度目のそれは来なかった。
しかし、安心するわけにもいかない。この精密な狙撃を達成するためには、暗視ゴーグルなどの準備が必要のはずなんだ。それを頭に入れながら、考えた。そして思いつく。
証拠もない、これはただの私の勘だ。だが、やはり、ドストといったか、その犯罪者で間違いない。
ここで仕留めようとしたってことは、バレている。私が裏切り者だという確信があり、深夜を狙ったのは目撃者を出さないため。ここで私たちの命運が決まる。そう考えると冷汗をかいてしまう。
ここは開けすぎている。360°どこからでも狙えてしまう場所だ。直ぐに背中を合わせられる場所を探した。高台…といっても旧校舎だが、そこの屋上から飛び出す。不思議と恐怖心はなかった、それどころか闘志が宿ってしまい滾っていた。屋上から飛び降りるのもスパイスになっていた。頭からアドレナリンが出まくっているだろう。
降り立つと、直ぐに銃弾の嵐が私を襲った。
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世界がブレた。それは私の顎にアッパーカットがまともに入ったからに他ないのだが、それを認識することができない。心が逃げろと警鐘を鳴らし、脳が逃げてはいけないと知らせてくる。
また世界が歪んだ。それは私の鳩尾に喰い込んでくる。もちろん、防御の体勢をとった。直ぐに単語が出てこないが、フックとストレートの中心の曲がりながら防御を抜けていった。吐きたくなる気持ちを堪えて、反撃の態勢をとる。居合の構えで首を目掛けて勢いよく振り下ろした。しかし、それは無駄なことであった。
血が世界を支配した。それは私の口から吹き出たのかはわからないが、喉が焼けるように痛かったことから口から出た血だと判断した。死、その言葉が離れない。逃げようとしても足がすくんで立ち上がれない。這いつくばって逃げようとすると、足を掴まれる。そして地面に叩きつけられたあと、叫んだ。
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少しやりすぎたかと思い、脈を確認しようとした。首元に手を添え、脈を確認しようとすると頭突きを食らった。まだ意識があるのかと思いながらも、胸に狙いを定めて蹴りを放った。
が、それは受け流されてしまう。こちらが体勢を崩してしまった。その瞬間を見逃さずにパンチを放ってくる。眼前に迫った拳を前にした私は、足の力を緩めて脱力をする。体と動きと連動した髪が揺れ動いた感触がした。上手く避けることに成功したようだと思い、直ぐに反撃のストレートを放つ気でいると、私の目の前にはドストの姿はどこにもいなかった。
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ミカから逃げたはいいが、ここは何処だろう。ぼやけた視界に入る光の多さから街中であることを認識する。そしてそのまま倒れ込んでしまう。安心からだろうか、生き残ったという悦びからだろうか、笑いが止まらなかった。
それを気味悪がった誰かが通報をしたのか、黒き翼と真紅の眼を備えたツルギが私を姫抱きしていた。
「ツルギ……か。あん時ぶりだな……、」
息をするように血を吐く中、そう呟いた。
「……それ以上は喋らない方がいい。」
それは優しさなのか知らないが、翼で私を覆い隠した。
これから病院に運ばれてしまうのだろうか、それはダメだ。あいつのと決着をつけないと雲隠れされてしまう。喋ろうとすると激痛が走るなか、ツルギに助けを求めた。
「頼みがある……私をこ……した犯人を倒してくれ……」
「……まずはお前を病院に送り届けてからだ。あと数分で到着するはずだ」
「それじゃダメだ、!……約に関わるこ……だ、…のむ、一緒に着……き……」
自分でも驚くほど声が出なくなっていた。
「まて、!喋るな、それ以上。死んでしまうぞ!」
「……たのむ」
「っ!……お前は戦わないことを誓え……そしたらその場所に私が赴いてやる……お前は病院にいくんだ……!」
「ぁ""……ごぇ……が……でねぇ……」
頷きながらそういった。私が聖園ミカのポケットに置き去りにスマホの位置情報を渡した後、事切れるように意識がなくなった。
いや、その前にナギサに報告をしなくては……ツルギがミカを倒すわけがない。その実力があったとしても反逆する理由がツルギにはない。だから、ナギサがその指示を出すように伝えないと……
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ドスト……それが姿を消してから10分程が経過した。いつ来るかわからない、精神が少しずつすり減っている。透明人間と闘っている気分だ。
そんなときだった。恐怖に駆られて今すぐにでも叫び出そうかと悩んでいた時、正義実行委員会の委員長である剣先ツルギが私の10m先に現れた。
良かった、これで2対1だ。そう思い、助けを求めた。
「あ、よかった〜、不安だったんだよ!いまね……説明が難しいんだけど襲われているから助けてくれない?」
しかし、ツルギは動かない。ミレニアム製の精密GPSは上司である聖園ミカを指していたのだから。
「……襲っている犯人というのはドストでしょうか……」
「おぉー、よくわかったね、君も恨みを晴らすチャンスだよ?」
「…………聖園ミカ、貴女を反逆罪で逮捕させてもらいます」
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2週間後
私は回復を果たし、聖園ミカの監獄に観光に行った。案外楽しそうにしているミカは、私に気がついたのか手をブンブンと振ってお迎えをしてくれる。
「やぁ、久しぶりだね、、ミカ。獄中生活は楽しいかい?」
「む、それは嫌味かな……まぁいいや。君のおかげだよ、ありがとう、ドストくん。」
「セイアが生きていることは元から知っていたんだ。感謝の言葉を伝えられる筋合いは無いよ。」
「違うよ、ドスト。私がお礼を言いたいのはさ、ティーパーティーを戻してくれたことだよ。ありがとう、ほんとに」
次回、アリウスいきます。そのための前座です。今回のは