レッドウィンターの商人   作:あいう

20 / 23
日常

 

トントントントンとトントン拍子に事が上手く進んだ。唾が口の中に貯まり、ナグサが怪異を倒したことをこの目で確認したあと、ごっ、と音を立てながら飲み込んだ。

怪異から走って逃げたこの足に限界が訪れた。ナグサとユカリ、レンゲとキキョウがこっちに向かって駆け寄ってくるのが見える。しかし、それを待ち、一緒に祝賀会を開く元気が1フェムトも残ってなかった。

 

\\\///

 

朝、目覚めるとナグサを抱き枕にしていたことに気がつく。比較的涼しい地に土地を構え、比較的涼しい気候の百鬼夜行だ。しかし、2人一緒にくっついて眠っていたため、汗ばんでいた。昨日も風呂に入ってなかったので、酷い匂いなのだろう。そう思っていつの間にか着せられていたパジャマの匂いを嗅いだ。しかし、柔軟剤の匂いとナグサがもつ特徴的な匂いだけだった。まさか?ボヤけた視力の中、下着を確認すると、昨日まで履いていたものではなくなっていた。

「おい、ナグサ……起きなさい。」

むにゃむにゃと寝ぼけているナグサの頬を抓る。やめてぇ、と弱々しく、呟く様に懇願するもんだったので、手放してやった。

「ひどい……ぁぁ、おはよう。言ってなかったね」

あぁ、私も言うのを忘れていた。「おはよう」と返した。

 

その後は、身支度を済ませたあと百花繚乱全員と飯をご一緒させていただく。昨日の顛末を聞かされる。あの不気味な笑みやあの恐怖を別に思い出したくもないのだが、聞かされる以上、キチンと返事を考えなくてはいけない。そうおもっていると、キキョウに心配される。

「ねぇ、なんか雰囲気違くない?」

「……寝起きだからな。」

「身共も言うべきなのか迷ってました!」

「……寝起きだからな。」

「ふぅーん……そうなんだ。さっき顔を浴びてたのに?」レンゲに馬鹿にされている感がした。

「……寝起きだからな。」

「定型文?」最後の最後にアルビノは口を開いた。

「そうだ。」

「いやそこは、寝起きだからなって言えよ。」レンゲに突っ込まれる。

 

 

\\\///

 

 

完全に目を覚ました私は、ここで気がついた。あの霊が所有していた右手をナグサに見せていないことに。畳の部屋で右手を眺めていると、コンコンコンと戸が叩かれる。返事もする間もなく入り込んでこようとしてきたので、右手を隠す時間など、存在するわけがなかった。思わず手から離れ、口の中に入ってしまう。

「勘解由小路ユカリ……ここにさんじょッ!?!????」

最悪だ、異常性癖の殺人鬼に重ねられているのがわかる。

「まて、誤解だ!……動くんじゃあない!今から君を口封じしなければ……おい、まてっ!」

ユカリは戸を勢いよく閉めると、ドタドタと足音をたてながら、キキョウ達の名を呼び続けた。

「キキョウせんぱーーーい!!!、レンゲせんぱーーーい!!!、いいんちょーーーう!!!助けてくださいましーーー」

「誤解だァァァァァァァ」

 

ユカリとの距離が一向に縮まらない。この騒ぎで何人かの生徒が集まってきてしまう。とっとと捕まえて訂正させないと……私の今後のレッテルが酷いことになってしまう。

「まて、誤解なんだ、!」

「何が誤解ですかっ!口の中に……て、手を突っ込んでいたじゃありませんか!」

「それを口に出すなぁぁぁぁあ!」

「ひぃぃぃ……!」

 

屋敷をドタバタと走り回っていると、外が騒がしくなった。私が気がつくということは、ユカリも気がつくということ。こっからは読み合いだ。悪事を晒すという行為を防ぐための読み合いだ。読み合い……いや晒し合いだ。

 

 

 

\\\///

 

私は石が乱雑に飛び散っている場所に正座させられ、ユカリは畳に、ナグサは体制を崩したら川に落ちる場所に。

 

弁明を聞こうかと言われたので、素直に話した。

「黄昏でコレをゲットしました。これをどうするべきか迷っていると、ユカリが急に部屋に入ってくるもんで、手から滑り落ちてしまったんです!」

「なるほど……そしてそのまま口の中に入ってしまったと……まぁユカリも反省しているようなので、許してやってよ」

「はっ、仰せのままに」

「で、ナグサ先輩……なんで言ってくれなかったの?」

 

はっ!あいつ終わったな……

 

 

 






え、なんかすごい早く書き終わった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。