レッドウィンターの商人 作:あいう
まぁいいか。渡すのも渡されるのも面倒だし
矯正局にぶち込まれた。ここからの脱出は困難と言われている。7囚人の脱獄で舐められてはいるが、それでも7人で済んだのだから優秀だ。……いや優秀か?パイプ椅子に座らされ、テーブルと錠を繋がれた私にやることはなかった。私のような凶悪犯の取り調べを下っ端にやらせる訳にはいかないのか、コロコロと重鎮が出ては消えを繰り返していた。
次に出てきたのは監原ミスズだった。彼女のクマを心配したあと、少しばかりの雑談を挟んだ。話しながら、今までの取り調べを思い出す。私が金融危機を意図的に陥れたのではないかという嫌疑、私が不知火カヤの命を狙った容疑、エデン条約時の殺人の疑い……それらは全て極刑ものの罪であったが、誰一人として口を割らせることは出来なかった。怖かったからだ。、私が。
「ミスズ……君もそろそろ本題に入ったらどうだい?君は矯正局のトップなんだ。その職務を果たしなよ」
「正直、貴方に掛かっている嫌疑……虚偽の内容が混じっていると思われます。それを確かめたく、少し話させてもらいました。」
「存分にどうぞ」
「ええ……そうさせてもらいます。ですがその前に1つ。」
「なんだ。」
「貴方は本当に……やってないのですね」
「そう言っているのだがね」
「……もし其れが真実ならば、連邦生徒会は腐っていることになってしまいます。其れは信じたく……ありません。」
彼女に翳りが見えた。私はどうするべきなんだ。そう考えていると質問を投げられた。
「あなたはここから脱出できますか……」脱獄しろと暗に言っているのか、わからない。何故こんなことを言った。もし出来たとしてもやらないし言わない。それが答えだ。が、どう答えよう
「私はここから脱獄は出来ないだろうね。外部からの協力が無い限り。」
「……それを聞いて安心しました。これ以上、彼女達のように脱出されては……致命的ですからね。」
「ハハッ、そんなことはしないさ。私が法を守るのは、法の恩恵を受けるためだからな。」
「……流石、です。それを聞いて……更に疑問が強まりました。貴方はグレーを攻めたはずです、法を犯すにしても……」
それ以上の言葉は紡がせない。彼女が危ないからだ。
「……君に、頼みがある。私がここにいる以上、今を知れない。私がここにいる間、それを……教え続けてくれ。そうすれば、君は求めた真実を知ることが出来るだろう。ギブアンドテイクだ。」
あれから4日が経過した。面白い話が入ってくるので退屈しなかった。例えば、ラビット小隊がデモをしているだとか、ヴァルキューレの狂犬が実はいい奴だと囁かれているだとか……
実に面白い。ここで軟禁された私はそういったゴシップが生き甲斐だった。もっと無いのかと要求すると、新聞を差し出してくる。ミスズは良心だな……だが、飴と鞭の線がある以上、気を抜き切る訳にはいかない。もし、これがカヤの手駒だったら……私は何を信じればいいのだ。今更だ、もう彼女も引き返せない所まで引き摺りこんだ。そうこうしてると、ミスズがどうしたのですかと聞いてくる。
「いや別に、なんでもないよ。ただ……そうだな、狂犬がいい奴か……ククッ、面白い。ラビット小隊のデモとかよりずっとだ。……いや〜面白い。」
「そう言わないでください。カンナさんも気にしているのですから……」
「大丈夫だって……どうせ狂犬には伝わらないし。」
「あの……それが今日は先生とカンナさんの面談の予定が急遽決まりまして……その、絶対に言わないで下さいね」
そういったミスズは席を立ち、彼らを呼びに行った。
10分ほど経て、廊下からコツコツと音がし、来たかと思うと中々扉を開けようとしない。何をしているんだと思い、声を出す。
「扉の開け方を忘却したか?」
「そんなわけないだろう、……」バタンと音を立てながら、開閉をする。その後ろに先生も居た。どちらも驚いた顔をしていたのは、私の境遇にだろう。ミスズは優しいので、喉が乾いたと呟けば、少し高いドリンクなどを買ってくれた。私はそれをテーブルに足をかけながら食していた。
「お前、錠は……」
「あぁ、これ?どうせ脱獄出来ないから外してもらったんだ。」
「それでいいのか、矯正局……いやダメだろう。」この会話している間も先生は黙っていた。
「……あぁそうそう。君の評価がここまで轟いているよ。……なんでも、泣かれずに困っている子供を助けたらしいじゃないか。君にしては珍しい……」
「……チッ」
「私は外の現状をミスズ経由でしか知り得ないが、ラビット小隊がデモを起こしたとか……それはなぜだろうね。それはSRTが封鎖されるから。でも可笑しいと思わないかい?」
そういうと、口を閉ざしていた先生がやっと開いた。
「それはどう可笑しいんだい?」
「私を捕まえたのは……FOX小隊だからだ。わざわざ、憎まれるような事をしている機関に彼女らが協力するだろうか……いや、しないね。」
「ᖴO᙭小隊……?なにそれ。」
「?知らないのか、彼女らはワカモを捕まえた立役者だよ。」
そこまで言うと、机に突っ伏すようにして物事を考え出した。それを眺めていると、カンナがある紙を差し出してくる。その内容は先生がいなくなったあと、話そうという内容だった。めんどそうに受け取った。こいつも、カヤの仲間っぽそうだったからだ。
そうこうしていると、バサッと音を立てながら顔をあげる。
「……私にはその情報が伝達されていなかった。……これは、酷いね。まさかまさかの連邦生徒会が怪しくなってくるとはね。」
そう言った直後、コンコンとノックをされる。そろそろお時間ですと言われた為か、先生は去っていく。カンナも去った振りをして、ここに戻ってくる。
「ドスト……私はどうしたらいい……、君なら勘づいているのだろう。私があの人の……犯罪の片棒を担いでいるのを。」
それはとても苦しそうな顔をして、救いを求めていた。何も言わないつもりだったが、それを見てしまった。
「……君なら私の助言はいらない。君の正義を信じなよ、私は君のことが嫌いではない。君ならカヤの意表を突くことができるはずだよ。」
「ですが、……最近、ラビット小隊がデモの舞台に選んだ公園は、再開発の場所だったのです。……カヤ防衛室長は、カイザーと手を組み、リン行政官の地位を奪おうとしてます。……あなたなら、どうしますか」
最近、視点切り替えに頼りすぎだったので……
いや、使った方がスッキリしたな……