レッドウィンターの商人 作:あいう
キヴォトスに、カヤに、不埒な人物である私は通報される可能性があるので、ヘルメットをしたまま、ミレニアム校舎へと突っ込んで行った。これで管轄はミレニアムだ。カイザーとヴァルキューレの恐怖からの脱却。気が抜けてしまったのか、膝に力が入らない。気が抜けてしまったのか、立っていられ……
いや、そんなわけが無い。何故力が抜けていく。デスロールでクルッと回転して、辺りを見回すと監視カメラが私を捉えていた。やられた、あの車椅子だ。こんな手段を実行するのは。クラグラと盲唖する。意識がだんだんと現世から消えていきそうだ。隠し持っていたナイフでリスカをする。ドクドクと心臓が跳ね上がり、意識が混濁する。胸に入れていたスモークグレネードを使う。
カメラの視界から消え去るために、サーマル機能があっても大丈夫な程に遠く消え去るために、外に出ることが先決だ。捕まる方がマシだと思うことがあるだなんてな……
頭を手で抑えながら、痛みを誤魔化す。フラっふらと、右往左往と、酔っているかのように移動する。1時間にも1秒にも感じる時間、私は頭と足、喉と目が、臓腑が震え上がった。
撃ち抜かれた。
その真実を認めたくないのか、私の体躯はまだ動いていた。
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明星ヒマリという天才である私は、ガスによって昏睡状態まで持っていく作戦を思いついた。多少の被害が生まれてしまうが、避難警告をしておけばいいでしょう、それが間違いだった、
ドストは異変に気がついた後、直ぐに自傷行為で覚醒をする。マズった。そう思った時には、彼女は逃げ出した。外のカメラに視点を切り替えた。そこで見たのは、血濡れて倒れ伏した犯罪者だった。
すぐに救護するように命令をしたあと、彼女をああした犯人を探す。直ぐにわかった。犯人は……アビドス校の砂狼シロコ。だが少し……いや大分変だ。発育が良すぎる。データベースと参照しても胸の大きさに目がいってしまう。
ドローンの群体で監視していると、シロコさんは黒い空間に入ったかと思えば、ドローンの上に立っていた。そしてそのまま壊される。
これ以上の深追いは危険……相手の能力が分からない以上はあまり関わり合いになりたくない。残ったドローンを撤退させ、死に体の元に私本体が向かう
訳も分からないような、いや訳はわかるのだが……いまはよそう。別の生命体のように、色々なチューブを穴という穴から入れ、血濡れた顔ではない何かがあった。
世界が止まった気がした。
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世界が狂ったように愛おしい。盲唖の私はそう思う。恐らく、右目は歿んだ。確実に両耳はイカれた。失楽園。それだけじゃないんだ、多分。足も殞ちた。喉も……地獄のように熱い。
自分の中に侵食するパラサイト。この絶対安全圏で楽してようぜと呟き、堕落へと誘う自分の心の弱さに辟易する。
動かせないはずの体を動かす。痛みが動かすという意志だけで感じた。
生命機能を失った体を動かした。脾臓でもなくなっているのか、高熱が私を犯し続けた。車椅子の位置まで自力で辿り着いたあと、冷たさを浴びた。だが、それは心の面ってだけで体までを凍らせてくれるわけじゃなかった。ユウカにぶちギレられた。まじ怖い。……と何時もは思うのに、今回は頭がハッピーだ。
ごめんと言いながら、ユウカにハグを求めた。車椅子に座っているせいか、ユウカは膝を曲げた。それを狙っていた。首を絞めて意識を落とす。その様子を誰にも見られていないはずだったが、悪寒がした。それを感じる度、体の熱さが対照的で苦しくなる。