エルフでR18を目指すのは間違えているだろうか?   作:飽きやすい創作隊

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エルフR18を目指そう

 

 

「んっ……それ、ダメ」

 

そう言われながらも、俺はそっと長いエルフ特有の耳を甘噛みする。

 

リズレの肩が小さく跳ねた。

 

長い耳がぴくりと震え、黄金の瞳がわずかに泳ぐ。

 

誤魔化すように耳先だけが落ち着きなく揺れていた。

 

その様子を見ていると、つい笑みがこぼれる。

 

普段のリズレなら、こんな反応はなかなか見せない。

 

誰に対しても凛としていて、少しくらいのことでは動じない。

 

困難な状況でも眉一つ動かさず、むしろこちらを落ち着かせる側の人間だ。

 

だからこそ、こうしてわずかに取り乱す姿は特別だった。

 

「聞いてるの……?」

 

かすかに睨むような視線が向けられる。

 

けれど迫力はない。

 

むしろ照れ隠しのように見えてしまう。

 

「聞いてる」

 

「じゃあ離して」

 

「嫌だ」

 

即答すると、リズレは呆れたようにため息を吐いた。

 

けれど本気で怒った時のような鋭さはない。

 

耳だけが落ち着かなく揺れている。

 

それを見ているだけで可愛いと思ってしまうのだから、自分でもどうかしている。

 

「リズレ」

 

名前を呼ぶ。

 

黄金の瞳がこちらを見る。

 

森の奥に差し込む陽光みたいな色だと、初めて会った時に思った。

 

その頃の俺は、今みたいに気軽に名前を呼ぶこともできなかった。

 

リズレもまた、簡単に心を許すような相手じゃなかった。

 

少し距離を詰めれば警戒される。

 

冗談を言っても半分しか信じてもらえない。

 

そんな関係だったはずなのに。

 

今はこうして隣に座り、耳に触れられる距離にいる。

 

時間というのは不思議なものだ。

 

「何?」

 

「いや」

 

言葉にしようとしてやめる。

 

改めて口にすると、少し気恥ずかしかった。

 

代わりにもう一度耳へ顔を寄せる。

 

「ちょっ……」

 

耳先を軽く甘噛みすると、リズレがぴくりと震えた。

 

長い耳は正直だ。

 

本人が平静を装っても、反応が全部出てしまう。

 

「またやった」

 

「またやったな」

 

「人の話聞いてない」

 

「聞いてる」

 

「聞いてない」

 

珍しく少しだけ拗ねたような声だった。

 

そんな声も出せるんだな、と妙なところで感心してしまう。

 

エルフは耳が弱いらしい。

 

昔、旅先の酒場で聞いた話だ。

 

もちろん全員がそうというわけではないだろう。

 

けれどリズレを見る限り、完全な嘘とも思えなかった。

 

その話をした時、本人は全力で否定していたけれど。

 

「そんなわけないでしょ」

 

そう言っていた姿を思い出し、思わず笑う。

 

「何笑ってるの」

 

「別に」

 

「絶対何か考えてる」

 

疑いの目を向けられる。

 

だが、その直後に耳がまた揺れた。

 

本人は気付いていないらしい。

 

視線は強気なのに、耳だけが落ち着かない。

 

そのちぐはぐさがたまらなく愛おしい。

 

「リズレ」

 

「……何」

 

「可愛い」

 

数秒の沈黙。

 

そして耳がぴょこんと跳ねた。

 

あまりにも分かりやすい反応に、今度こそ吹き出しそうになる。

 

「笑った」

 

「笑ってない」

 

「笑った」

 

「気のせいだろ」

 

「絶対笑った」

 

少しだけ頬を膨らませる。

 

その姿は普段の凛々しいエルフからは想像できない。

 

けれど俺は、こういう顔の方が好きだった。

 

誰にも見せない表情。

 

誰にも聞かせない声。

 

それを知っていることが、少しだけ嬉しい。

 

リズレは小さく息を吐くと、諦めたように肩の力を抜いた。

 

「ばか...」

 

そう言いながらも、離れていこうとはしない。

 

むしろ肩が触れるくらいの距離のままだ。

 

夕暮れの風が窓から入り込み、銀色の髪を揺らす。

 

その横顔を眺めながら、俺は静かに笑った。

 

きっと明日も同じようにからかうだろう。

 

そのたびにリズレは困った顔をする。

 

そして耳が正直に反応する。

 

そんな未来を想像すると、不思議と心地よかった。

 

 

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