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ファンアートとかもくれると嬉しいな(チラチラッ
ヤチヨと白野と戦う。彼女の発言はまさに青天の霹靂。周囲にいる人たちもざわざわと動揺しているようだった。
「あ、もちろん、私たち二人を倒せ、とは言わないよ。勝利条件は二つ。試合時間終了まで『かぐやといろPが共に生き残ってること』。そして、『私かはくのんに一ドットでもダメージを入れていること』。この二つをクリアした時、かぐやといろPはヤッチョとのコラボライブ権を得られます!」
「え、それ、ヤチヨたち、めっちゃ不利じゃない?」
「やっぱり、かぐやたちを勝たせるため?」
「でも、ザビ子がいるんだろ? 試合終了直前に回復打たれたら終わりじゃね?」
「そもそも、黒鬼ですら相打ちでしか倒せなかった相手だよ? 生き残るのも難しいんじゃない?」
彼女の言った条件にざわめきは更に大きくなる。条件の内容的には私たちが圧倒的に有利だ。しかし、相手がヤチヨと白野だと話は違う。
ヤチヨは言わずもがな、ツクヨミの管理人。『KASSEN』の戦い方は熟知している。あの口ぶりでは本気で戦うだろうし、強敵なのは間違いない。
そして、問題の白野。ツクヨミ唯一の
「私とはくのんに勝つのは結構、難しいと思うんだよね~? ねね、神々のみんな! もし、かぐやたちが私たちに勝ったらすごくない!? だから、かぐやたちが勝った時は素直に祝福してほしいの。すごいね、頑張ったねって! もちろん、私たちも手を抜かない。全力で戦う。だから、お願いします。私とはくのんの我儘を許してください」
最初はテンションの高かったヤチヨだが、次第に真剣な表情へ変わり、最後には頭を下げた。これまで何年も彼女を追ってきた私でもこうやって頭を下げてお願いをする姿は一度も見たことがない。他の人たちも頭を下げるヤチヨを見て思うところがあるのか、言葉を失っていた。
「まぁ、そもそもぉ? 私たちが負けるわけないっていうかぁ? はくのんが強すぎて負けるビジョンが浮かばないっていうかぁ?」
しかし、そんな姿は一瞬にして吹き飛び、彼女はいつものあっけらかんとした様子で肩を竦める。そして、そのまま隣にいるはくのんへ抱き着いた。
「私たちは最強だもんね、はくのん!」
「そう、私たちは最強。私は負けない。ワタシ、カグヤタチ、タオス」
「なんか洗脳されてる味方キャラみたいになってない?」
どこか死んだ目をしているはくのんに思わずツッコんでしまう。彼女はあんなことを言う性格ではない。おそらく、この騒動を鎮めるためにあえて敵役に徹してくれているのだ。
「あー、わかった! 白野、ヤチヨに脅されてるんだ! アシスタントだからって好きにしていいわけじゃないんだぞ! くっそぅ、彩葉、白野を取り返すよ!」
「なんでそうなる?」
隣にいるかぐやもかぐやでよくわからない勘違いをしていた。しかし、彼女の大きな声が聞こえたのか、白野は『お、いいね』と少し笑みを浮かべた後、そっとヤチヨから顔を逸らして自分の体を抱くようにしながら右手で自分の左腕を掴む。そのいじらしい仕草はまさに『脅されています、私』といった様子。はい、そこ、悪ノリしない。
「なんかよくわかんないけど……普通はヤチヨたちに勝てないよな?」
「うん、絶対無理。しかも、本気のはくのんでしょ?
「黒鬼二人をたった一人で撃破した後、相打ちまでもっていった女だからなぁ。勝てるわけないよなー」
「そもそも、ヤチヨカップ優勝したのはかぐやたちだし……まぁ、エキシビジョンマッチみたいなもんっしょ!」
ヤチヨたちの茶番を見た人たちは苦笑を浮かべながらいつものノリか、と納得し始める。先ほどまでざわついていた人もどこか呆れたように笑っていた。
「……一つ、聞いていい?」
だが、私はどうしても気になることがあった。その返答次第ではこの試練を辞退することも考えられる。自然と声を低くなってしまったがヤチヨと白野は不思議そうな顔をした後、コクリと頷いた。
「私たちが勝ったらコラボライブの権利を得るって話だけど……その場合、はくのんはどうなるの?」
「え、そりゃ、もちろん、一緒に――」
「――やらないよ。かぐやたちが勝ったら『はくのん』はコラボライブに参加しない」
私の質問に答えようとしたヤチヨを遮り、白野は断言する。ヤチヨも知らなかったのだろう。驚いた様子で隣にいる彼女に視線を向け、慌てて口を開いた。
「ま、待って。だって、優勝したのはかぐやといろPとはくのんだよ? かぐやたちが勝てばはくのんだって一緒にコラボライブする権利が……」
「それじゃあ、示しがつかない。これは私が黙ってかぐやたちの手伝いをしたせいで起きたこと。優勝したのにケチを付けられて試練を受けてもらうだけでも申し訳ないのに負けた私がのこのことコラボライブに参加するのはおかしい。この騒動を起こした責任を取るべき」
「責任って……」
白野はこの騒動が起きた原因は自分にあると言い、その責任を取るつもりらしい。しかし、ヤチヨは納得できていないようで何か言いたそうに口をもごもごさせていた。そして、諦めたように言葉を引っ込め、目を伏せる。その顔はどこか寂しそうで、それを見た瞬間、きゅっと胸が締め付けられた。
「はくのん」
気づけば私は静かに彼女の名前を呼びながら一歩前に出ていた。呼ばれた白野はヤチヨから私の方へ顔を動かし、続きの言葉を待つ。バイザーのせいで目が見えないからか、彼女の表情がどこか冷たいものに見えた。
「一つだけ約束してほしい」
「何?」
「
「うん、もち……うん?」
私の言葉に反射的に頷きかけた白野だったが、すぐにキョトンとして首を傾げる。こちらが勝てばかぐやと私がヤチヨとコラボライブをする。しかし、負けてしまった場合はどうなる? コラボライブそのものがなくなってしまう?
それだけは避けなければならない。だって、白野がコラボライブをしないと言った途端、ヤチヨはあんなに悲しそうな顔をしたのだから。
だから、こちらが勝ったら私たちがヤチヨとコラボライブをして、負けたら白野がコラボライブをする。それでいい。むしろ、それがいい。
「どうなの? やるの?」
「……わかった。私たちが勝ったら私はヤチヨとコラボライブする」
「ッ! よし! じゃあ、試練は辞退――」
「――辞退したらやらないから。本気で戦って」
「……くっ」
くそ、ヤチザビのコラボライブを見るために試練を辞退しようとしたが先回りされてしまった。わざと負けようとしても私と白野は何度も戦っている。多分、彼女にはすぐに見破られるだろう。
「ねぇ、彩葉ぁ?」
何より、期待を込めた眼差しで私を見てくるお姫様がいる。どうにか断る理由を探そうとするが何も思いつかず、言葉の代わりに出てきたのはため息だった。
「……わかった。その試練、受ける」
「やったー! ヤチヨ、待ってろよ! 絶対に白野を取り戻してやるからな!」
「うふふ~、はくのんは最初からヤチヨのアシスタントでしてよ~。ねー、はくのん!」
「……うん、そうだよ」
「なんか言わされてる感ある! やっぱ、洗脳されてるんだ!」
白野に寄りかかって悪女っぽい仕草をするヤチヨにかぐやがプンプンと怒りを露にする。そのやり取りが白野を巡って争う女たちに見えてしまい、悪女は白野の方なのでは、と訝しんでしまった。
「と、いうことで突如として決まった最後の試練! はたして、かぐや・いろPは乗り越えることができるのか! 詳細はこの後すぐ! あ、かぐやに日時とかルールとか詳しい内容、後で送っておくねー」
「オッケー!」
いや、さっきまで争っていたのに急に友達みたいなやり取りするな。そんなツッコミは何とか飲み込んでどうしたものかと肩を落とす。なお、鳥居の上にいたはずのヤチヨと白野はいつの間にか姿を消していた。
「大変なことになったな」
そんな私へ声をかけてきたのは帝だった。その後ろには雷。乃依は飽きて帰ってしまったのだろう。
「仲間だと思っていた人が突然、裏切って勝負を挑んでくる。うんうん、王道だな」
「なに、納得してんの? 戦うの私たちなんだけど」
「まぁ、落ち着けって……なぁ、彩葉。ちょっと提案があるんだけど」
「提案?」
「ヤチヨとはくのんちゃん対策。一緒に考えないか? 俺たちもやられっぱなしなのは性に合わないからな。ライバルが手を取り合って強敵を倒す。これもまた王道じゃね?」
そう言ってニヤリと牙を見せて笑う帝。その提案に私とかぐやは思わず顔を見合わせてしまった。