サイトとアンリエッタは、布団の中で、一糸纏わぬ身体をお互いに預けていた。
「サイト様、元の世界へ帰らないでいただけますか?」
「もちろん。もう、どこにもいかない。」
サイトはアンリエッタをいっそう強く抱きしめる。他人になんと言われてもかまわない。自分は、彼女が好きなんだ。
「ずっと、陛下の側にいます。」
「サイト様、陛下ではなくアンリエッタと呼んでください。私はもう、サイトさんのオンナなんですから。」
そう言うと、アンリエッタは頬をすりよせてくる。小動物の様に甘えるその仕草に、サイトは胸が熱くなり、眠気が二人を襲うまで、一回一回丁寧に愛情を込めて、アンリエッタの頭を撫でる。だが、初めてを終えた2人の体力は、すぐに限界を迎える。
「愛してる、アンリエッタ。」
「私もです、サイト様。」
軽く唇を合わせてから、2人はゆっくり目を閉じる。お互いの温もりを、お互いの肌に感じながら。そうして、2人の意識は夢の中へと吸い込まれていった。
数時間後、扉がノックされた。こんな夜遅くに何の用事であろうか、また面倒なことが起こったのであろうか、億劫だが無視することもできない。アンリエッタは扉へと駆け寄った。
さらに数時間後、シルフィードに跨り、ルイズたちが王宮へたどり着いたのは、実家を出発して二時間後、
深夜の一時を過ぎたころであった。王宮にたどり着いた一行は、以前と同じように中庭に降り立った。城はまるで蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。それでも風竜が中庭に降りると、一斉に魔法衛士隊が周囲を取り囲んだ。
マンティコア隊の隊長が大声で誰何する。
「なにやつ! 現在王宮は立ち入り禁止だ! さがれ!」
しかし、その一行には見覚えがある、アルビオンとの戦争が始まる直前にも、このようにしてやってきた一行ではないか。隊長は眉をひそめた。
「またお前たちか! 面倒な時に限って姿を現しおって!」
ルイズはシルフィードから飛び降り、隊長に息せききって尋ねる。
「一体何があったんですか!?」
「貴様等に話すことではない! 直ちに去れ!」
しかし、隊長はこちらと会話をする気はないようだ、周囲を見ると、貴族やら兵士やらが、灯りの魔法や松明を持って何やら探している。王宮で何かが起こったことは明白だった。ルイズが顔を怒りで真っ赤にしていると、
「いや。彼女たちは、関係者だ!」
兵士たちが振り向くと、アンリエッタの夫のサイトが現れる。
「サイト!一体何があったの!?」
キュルケやタバサも心配してサイトに詰め寄る。
「アンリエッタがいなくなった。どこを探しても見つからない!」
ルイズの顔色が変わった。
「王宮の中はさがしたの?」
「ああ、もちろん!」
ルイズはシルフィードに飛び乗る。
「もう一度探して、私たちは城の外を探すわ!」
タバサが頷きシルフィードに命令するシルフィードが夜の闇に再び飛び上がった。