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用意された食べ物が並ぶ食卓に、つかさとしずくは向かい合わせで付き、パクパク食べるしずくの食べっぷりは、年相応に健やかで、体調に問題があるようではなく、一抹の不安があったつかさは、安心した。
つかさも食べつつ、向かい側からしずくの様子をじっと目だけで見、「連絡はしなくていいの?」、と確認するように聞いた。
しずくは口中にあるものを吞み込むと、ううんと迷うように唸り、「する方がいいかも」、と、いささか気遣わしそうに返した。
つかさはポケットに手を入れてスマホを取り出し、電話の画面を表示させ、しずくにハイと手渡した。
「大事にならないように、今すぐかけなよ。あっ、今は知り合いの家に寄って夜ご飯食べてるって言うんだよ。知らない人の家に来てるなんて言ったら、ぜったい面倒くさいことになるから」
スマホを受け取ったしずくは、しばらく考え込むように静止すると、「分かった」、と小さい声で答え、席より立ち、どこか憂鬱そうに洋室の隅まで行き、画面をタップして耳にあてがった。
最初はちょっとその様子が気になって見ていたつかさは、その内気遣いで目を背け、食事に集中した。(けれど1DKの部屋では、しずくの話し声は筒抜けで、一応つかさは仕切りを閉じたが、聞きたくなくても、仕切り越しに聞こえてしまうのだった。)
……うん。大丈夫。今、知り合いのお家でご飯食べさせて貰ってる。うん。だから、今日の夜ご飯は要らないし、帰らない。そう、泊めて貰うってこと。明日の学校? あぁ、分かってる。サボらないで行くよ。うん。まぁ明日には、ちゃんとそっちに帰るから、今日は許して。えっ、施設の悩み? ……あんまり、ないよ。今日はたまたま、知り合いの人と学校の帰り道で出くわして、誘われただけ。わたしの帰りが、いつも遅いって? 仕方ないじゃん。こっちには色々あるんだしさ……
つかさは淡々と食べ物を口に運んでいたが、味が薄いか、まるでせず、すっかりしずくの声に意識が傾いてしまっているようだった。途中、電話で彼女が、この部屋に泊まると勝手に口にした時は、つかさは面食らって一瞬ムッと来たが、すでに夜の十時を過ぎたこの遅い時間に彼女を外に放り出すのは、気が引けたし、こうなることについては、ある程度予想が出来ていた部分はあった。
通話が終わり、仕切りが開いてしずくが出て来、彼女は「ありがとう」、と言ってスマホを返すと、食卓に戻り、一度フゥ、とため息してから、食事を再開した。
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