Fragile Stream   作:Yuki_Mar12

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 夏に予定されている沖縄旅行に関して、つかさはすでに行く算段が付いていたが、二宮は、今回ばかりは、彼がボソボソ一人渋面で言っていたように、金銭の事情で厳しそうだった。つかさと二宮は、いつもいっしょに旅行することになっているとはいえ、あくまでそれは自然の成り行き、あるいは慣習に過ぎず、行けなかったという前例はないけど、例外は常にあり得るのだった。白良浜、水晶浜、柏島……二人が旅行で訪れた海浜は幾つもあるが、離島である沖縄は、それまでの旅先の中で、最も遠いところであり、二宮が自信なさそうになるのは無理のないことだった。

 

 最近の二宮に対するつかさのイメージの(よくない方への)変化があり、彼の足りない分をカバーしてやってまでいっしょに旅行するという気は、彼女にはほとんどなかった。むしろ一人旅の方が、自分の都合で動くことが出来、気楽でよりいいかも知れない、などと思う面があるくらいだった。

 

 今回ばかりはひょっとするとお金の工面が難しくて行けないかも知れない、と後で二宮の連絡があったが、つかさはあっさり分かったと返事するのだった。二宮の調子と態度には、足りない分カバーして欲しいという甘えの感じがあったが、彼女にとって、そういうところが鼻に付くようになっていたので、つかさは些少の嫌悪感と共に拒否した。その一方で、こういう時に甘やかしたり甘えたり出来る人間の寛容さや素直さが、一人親に気遣って我意に蓋してきた彼女には、羨ましいもののように思えるのだった。

 

 つかさの会社の仕事が終わるのは、基本的には夜の八時以降だったが、たまには六時や七時など早めに帰れる日があり、つかさは、この前出会った少女のことはほとんど忘れて、購入した、一カ月後の旅行先である沖縄の旅行雑誌を読んだり、動画投稿サイトの動画を視聴して、どういう風情があるかあらかじめ味わったりした。彼女は今どうしているだろう、という風に想いを馳せてみても、すぐに別の思考が覆うようにして起こり、おぼろげになって忘れてしまうのだった。

 

 つかさの旅行は、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆休みと、年に三回することになっていた。どの時期であれ彼女は楽しむが、なかんずく、やはり真夏の海の情緒が好きであり、従って今度の旅行は、今年の彼女のビッグイベントと呼べるものだった。

 

 久米島にはイーフビーチという名の海浜があって、人気だと、写真入りで雑誌にフィーチャーされていた。草木が茂る中に、一筋の細い砂の道があり、向こうの浜まで続いていて、その先は、エメラルドグリーンの水面と、陰翳の濃い横一杯に展開する入道雲と、真っ青の空が、圧倒的雄大さで存在していた。この写真にあるのと同じ景色に、近く足を運ぶのかと思うと、つかさの胸は躍るのだった。

 

 

 

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