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しずくの面談は、彼女の素行と進路だけでなく、親との関係性にまで及び、しかし、避けて通るわけにはいかない緊要の話題だった。しずくは或る事情で親元から離れ、施設に預けられているのであるが、その状態は彼女にとってかりそめのものであり、出来れば実家に帰り、親といっしょに再び暮らせるようになるのが望ましかった。
三者面談の場は、しずくにとって居心地が悪かった。そこで口にされるのはどれもこれも、彼女のいつも遠ざけて意識しないようにしている物事であり、耳ざわりがよくなかった。
「しずくちゃん」、と、机上に手を組んでいる教師のありこが、憂えるように眉を下げて呼びかけた。
「今回の面談。お母さんが来たがってたのに、しずくちゃんが断っちゃったんだってね」
「断ったよ」、としずくはあっさり答える。「だってあの人が来たところで、わたしについて何も知らないし、それじゃ、面談する意味なんてないでしょう」
二人のやり取りの間、かやこは気重そうに沈黙していた。
「あの人が、育てる気がないのにどうして面談に来たがったのか、そのわけはよく知らないけど、干渉しないで欲しい。迷惑だから」
しずくは冷笑的に述べたが、どこか悲しげで、虚勢を張っている感じがあった。
「先生」、と、沈黙していたかやこがふと口にし、話に割り込んできた。
「ここでは、親子に関する話題は抑えておきましょう。それは、
牽制するように彼女が言い、場の空気は、決して険悪ではなかったが、どこか重苦しかった。
面談は終わりとなり、学校でのしずくの行状については、改善を期すことで結着し、しずくはとりあえず、しぶしぶ了承した。
外では、夕焼け空が明るく、空気が夏らしく熱っぽかった。
しずくは徒歩で学校に来ていたが、かやこは自分の所有する125CCのスクーターで来ていた。
かやこは歩いて帰るつもりだったが、かやこに誘われ、シートの後ろに同乗することになった。かやこは元々、しずくといっしょにバイクで施設まで帰るつもりで来ていたので、オープンフェイスのヘルメットを一つ余計に持ってきたのだった。
バイクが学校のそばの坂道を時速40キロほどで上がっていく時、街路樹とフェンスの向こうに、校庭の模様が見えた。校庭では、部活動のスポーツが盛んに行われており、しずくはぼんやりと、かやこは懐かしむように、横目で見ていた。
「しずくちゃんも何かやればいいのに。体を動かすと楽しいよ」
かやこが勧奨するように言った。
しずくはだが、「面倒くさい」、とぶっきらぼうに返すのだった。
かやこは思わず苦笑し、困ったものだと呆れたが、しずくにその意志がないのなら仕方がないと、納得せざるを得なかった。
走るバイクの切る風は、七月の暑気の中では、したたかに熱っぽかったが、どこか涼感があり、しずくは、面談の記憶がまだノイジーに残っていたが、風の含む一抹の清涼感にうっとりするのだった。
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