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八月上旬のある日の朝、住宅街にある、相鉄線の垢抜けない駅舎の駅の周縁は、お盆休み期間が始まっていたけれど、ひと気は疎らだった。
白っぽい灰色のタンクトップにブルーのシャツを重ね、黒いボトムスを履くつかさは、その駅で電車に乗り、四十分ほどかけて横浜駅まで行き、そこで羽田空港行きの、京急本線の電車に乗り換えた。横浜まで来ると、さすがにひと気は多かった。
案の定というべきか、彼女は一人であり、二宮は同伴していなかった。彼は今回の離島への旅行の予算を捻出できず、つかさに補助を懇願したのだが断られ、彼がかろうじて彼女に頼めたのは、旅行のお土産と、ちょくちょく景勝地の写真を送ることだった。
空港の駅は構内に直結しており、つかさはスーツケースを引き、空港内の第一ターミナルの出発フロアまで向かった。
つかさが最初の電車に乗った駅とは、また横浜とは打って変わって、羽田空港は、旅行や帰省などのためにやってきた夥しい人でごった返しており、休みという感じが強かった。
空港にはつかさと同じようにスーツケースを引く人々の姿がよく目立ち、日本人のみならず、日本旅行で来た外国人が大勢おり、チェックインカウンターに向かうまで、つかさは、いささか浮付いた気分でキョロキョロせずにいられなかった。
滅多に来ない空港の広いフロアで、つかさはどちらに進めばいいか分からず、進んでは立ち止まり、進んでは立ち止まりを繰り返し、その途中、彼女は、彼女と同じように、慣れない感じでまごついている旅行客と思しき、一人のミドルの女性とぐうぜん目が合った。その人は白のTシャツと黒のスラックスという恰好で、やはりスーツケースを引いていた。
つかさはその人に少し注意が惹かれたものの、程なく互いに目線を逸らした。しかし、つかさの行く手に、その人は先行しており、互いに行くべきチェックインカウンターが同じのようだった。
つかさはいささか気遣わしく感じてその人と距離を置き、遅れて行くようにしたのだが、同じチェックインカウンターで手続きする以上、その後の大きい荷物を預ける際も、保安検査場で検査を受ける際も、タイミングはほとんど同じであり、その人に対して、妙に意識させられる気がした。
スーツケースを預け、保安検査を終え、荷物は小さいショルダーバッグだけになったつかさは、搭乗口フロアの椅子に座り、スマホを閲覧しながら、飛行機の出発の時を待った。(つかさが目時折を上げて辺りを見回すと、目が合ったあの女性がよそに座っており、あるいは彼女も同じ便に乗るのだろうかと、つかさはぼんやり考えた。)
お盆期間はやはり飛行機のチケットが割高になりがちで、けれど、
その内、アナウンスが流れ、「皆様にお知らせいたします。スカイ航空551便、沖縄那覇行きは、まもなく搭乗案内を開始いたします。搭乗口付近にてお待ちください」、と聞こえた。
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