Fragile Stream   作:Yuki_Mar12

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 数時間のフライトの後、つかさとみわこの乗る飛行機は、無事に那覇空港へと着陸した。ちょうど太陽が南中する頃で、ランチタイムだったが、つかさとみわこはいっしょに食事するなどせず、到着ロビーで別れることにした。

 

「みわこさんはどうされるんですか?」、とつかさ。

 

「移動する」、とみわこ。「わたしは、モノレール乗り場に行かないといけないから」

 

「そうですか」

 

「またご縁があったら、よろしく。つかささん」

 

「こちらこそ、機内でお話ができてうれしかったです」

 

 今回の出会いは偶然に過ぎず、つかさはみわこに対し、今生の別れと思って、互いに旅の一路平安を祈って頭を下げ、手を振り合った。つかさは久米島に、みわこは久高島に行くということで、それぞれの順路と使用する交通機関が異なっていた。

 

 

 

 同じ空港で次の航空機に乗り継ぐので、つかさは搭乗フロアに留まり、搭乗フロアの広い窓辺に佇んで、数時間ぶりに一人になり、どこかホッとするようだった。窓の向こうには、駐機場に佇む数機の飛行機や、海原が望まれた。沖縄の空と海の色合いは、つかさの住む横浜のものと一緒のようで、その実やっぱり何か本質的に違っており、彼女はいやにクリアーに見える気のする風景に感心し、旅行に来たことの非日常感に俄然包まれてくるようだった。

 

 つかさはみわこと別れたが、彼女も同じように、こういった昂揚感が得られればいいと思った。機内での話の間、家庭について深い悩み事のあるようだったみわこは、沈痛で、雰囲気がいささか重苦しかった。彼女は、束の間でも日常の重荷より解放されたいといった希望で旅に来たようだった。旅に出れば、ひとは大なり小なり、当地の風光や人情に触れ、その経験が刺激となって、また活力となる。みわこは心身共に損耗して、活力が足りていないようだった。

 

 つかさが次に乗るのは、プロペラの付いた小型のコミューターだった。それに搭乗して、彼女は久米島まで移動し、ネットの予約サイトで予約したホテルにチェックインする予定だった。

 

 窓の向こうの景色は依然として雄大で美しかった。だが、空にひときわ大きい積乱雲がズンと浮かんでいて、空港の中は空調が効いていて涼しかったが、外は激しい暑熱が満ちているに違いなく、空は明るいけれど、大気は不安定に違いなかった。

 

 つかさはポケットよりスマホを取りだし、見てみた。パチンコで負けたという二宮のくだらないメッセージが届いていたが、彼女は意に介さず、ウィジェットで表示されている天気予報を確かめた。すると、太陽のマークと雨のマークがいっしょにあり、今後の空模様は要注意のようだった。

 

 つかさはスマホより顔を上げ、フロアの窓の外の積乱雲に再び目をやった。積乱雲は、上にふくれあがるのではなく、水平に広がるようにして浮かんでおり、その上には、何か得体の知れない存在が暗躍しているように想像され、つかさはだけど、すぐに妄想として振り払い、二宮のメッセージに、「ドンマイ」とだけ返すのだった。

 

 

 

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