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雷警報によりコミューターの出発が遅れる運びとなり、出発までどれくらい待機すれば明らかでなく、つかさは途方に暮れたが、とにかく十二時が過ぎ、悩ましいほど空腹になっていたので、彼女は空港内のレストランで食事することにした。沖縄県の空港内にある飲食店ということで、やはり郷土料理がメニューにあり、つかさは、紅ショウガとネギと骨付きの厚い豚肉(ソーキ)がトッピングされたソーキそばを食べた。店内は盛況だったが、お昼時である上、航空機の遅延が出たので、より繁盛、あるいは混雑しやすい状況だった。
その後つかさが搭乗フロアに戻り、ベンチに座ってじっと待機していると、遅延のアナウンスのおおよそ一時間後、出発のアナウンスが流れてきた。
「空港周辺の落雷の恐れがなくなりましたため、中断しておりました地上作業および搭乗手続きを再開し、これより機内へのご案内を開始いたします。しばらくの待機となり、皆様にご不便をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます」
窓の外では、空にまだ雲が残っていたが、雷雨をしたたかに降らせた厚く広い積乱雲は切れ切れになっており、つかさが空港に到着した時に見えていた澄んだ青天井が覗くようになっていた。駐機場のコンクリートの地面は雨に濡れて湿っぽい光沢を帯びており、そこには、晴天に回復していく空の模様がうっすらと映り込んでいた。
さて、不意の悪天候の妨害で待ちくたびれていたつかさは、ベンチより立ち上がると、指定されたゲートまで向かい、他の客たちと共に、エスカレーターで地上階に下り、バスに乗ってコミューターのそばまで行って、タラップで機体に乗り込んだ。
つかさのシートはまたしても窓際の位置で、さらに窓の外にプロペラ機のプロペラが間近に見えたのだが、彼女にとってはありがたいことではなく、むしろ眺望が邪魔されて損した気分だった。
とはいえ、コミューターが飛び立った後の、高空より見下ろされる島嶼間に広がる海原は、つかさにみずみずしい印象を与えた。空を覆い尽くしていた雲はどんどん晴れていき、空の頂きには目が眩むほどの夏日が浮かんでおり、手前より彼方へと向かって、脅威にならないほどのサイズの積乱雲――入道雲が、山脈のように重畳と列し、遠近感を演出していた。極小の島々が点在する海原は、文字通りエメラルドブルーで宝石のように輝いており、浅い所ではその色味は淡く、深いところは濃かった。その濃淡のグラデーションが鮮やかで、また、透明度が高いお陰か、くっきりとではないが、サンゴ礁の姿がぼんやり透けて見えていた。海中ではきっと、大小様々の魚たちが伸び伸び泳いでいるに違いなく、その想像は、つかさにとって愉快で、清らかで、どこか夢のようで、彼女を陶然とさせた。
つかさはその内、遥か下方の海原に満足して、顔を上げた。美しい海のずっと向こう側には、彼女の好む水平線が、綺麗にまっすぐ走っていた。
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