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金策のためにチャレンジしてみたギャンブルでからきしなかったはずの運が、突如として二宮のもとへと巡って来、つかさへの対抗意識から彼女と同じく海への小旅行を突発的に閃いて、電車で千葉県の海浜まで来た彼が、波打ち際でぐうぜん拾い上げた石ころに似た物体は、海に浮かぶ金塊と言われる、リュウゼンコウだった。
それがリュウゼンコウだと二宮ははじめ分からず、けれど、ゴミとは即断せず、得体の知れない異物として興味を惹かれた。彼は携行してきたスマホで写真撮影し、AIの補助を借りて、結果、それがリュウゼンコウといい、クジラの体内で生成され、長い熟成期間をかけて独特の芳香をまとうようになった、高級香水のエッセンスとなっている希少価値の極めて高いものだと分かったのである。
彼はその情報を得たところで、すぐには信じられなかった。まだ単なるゴミかも知れないという疑いがあり、だけど、破棄はせず、ひとまず持ち帰ることにした。
……。
プレゼントだと言われて、つかさは当惑した。
ちょっとした仲違いのあった次の日、つかさが呆れてしまうほど早々と、気まずく別れたはずの相手は戻って来、しかも、贈り物まで用意したのだった。些少の嬉しさがないではなかったが、呆れの方がはるかにより強かった。
しかしその贈り物は奇妙だった。それはつかさには、何なのか初見では皆目分からず、率直に、ただのゴミか、趣味の悪いコンセプト不明のオブジェにしか思えなかった。
「何、これ?」
玄関のところで、部屋着のつかさと、Tシャツとヨレヨレのジーンズという軽装の二宮が立って対面しており、つかさは、二宮の手に握られた、スーパーで売られているリンゴくらいの大きさの物体を渋面で見つめた。
「宝石らしいぜ」
二宮は得意げだった。
「宝石? ぜんぜん見えないんだけど」
「いいから。お前にやるよ」
「要らないよ」
「これにはワケがあるんだ。これを持ってちょっと付いてこいって」
「えっ!――」
謎の物体をほとんど無理矢理手渡し、二宮は随行しろと命じるようにつかさに目配せすると、さっさと行ってしまい、彼女は随行することを余儀なくされ、鍵や財布などを急いで用意してサンダルを雑に履くと、彼に遅れて出ていった。謎の物体はクシャクシャのビニール袋に入れられた。
二宮を追行し、アパート付近の道路でいよいよ彼に追いつきそうになったつかさは、ふと気付くことがあり、足を止めた。遠ざかっていく二宮の背中と同時に、こっちに向かってくる人影が視認され、それは、髪が長く、水色のジャージ姿のしずくなのだった。
しずくの方も、つかさと同じく、彼女を認めるとハッとし、立ち止まった。
再会の機縁は出し抜けにやって来、しかしつかさには、勝手に誘導する二宮のせいで、しずくと懇切丁寧にやりとりする時間はあまりないのだった。
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