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つかさは一カ月ほどぶりに、しずくと再会した。
追うべき二宮の姿はどんどん遠ざかっていき、早く追い付かないと見失うに違いなかったが、つかさはまずしずくと言葉を交わしたいと思い、彼女の正面まで歩み寄ると、「久しぶり」、と微笑と共に挨拶した。
「つかささん、だよね」、としずくは少しモジモジして確かめるように言った。
「うん」、とつかさは頷いた。
たしかにつかさにおいては、しずくとの再会に喜ばしい感情があったが、彼女がまたこの界隈に来ていることのわけが懸念され、表情が自然と曇った。
「今日は、どうしたの――」
つかさが質問してみようとして言いかけたその時、先に行ったはずの二宮が戻って来、彼は怒ったように眉を怒らせ、やや声高に、「黙って立ち止まらないで、ちゃんと付いてこいよ」、と言った。
しずくは背後からの成人男性の怒気におびえ、くるりと反射的に転回すると、彼女の目に映る二宮には、既視感があり、二宮においても、しずくを認めると、彼女に見覚えがあるのか、きょとんとした。
「たしかきみは、この前……」
「かやこさんと一緒に、公園のところで」
「二人で迷ってる風で、道案内してあげようとしたけど……」
つかさは事情が読めずポカンとして、しずくと二宮それぞれの顔を見比べていた。
「デートの途中だったんですね」、としずく。「お邪魔でしてごめんなさい。すぐ帰ります」
彼女はそう言って、慌ただしくお辞儀して去ろうとするのだが、つかさが「違うよ」、と言って彼女の肩に手で触れて制止した。
しずくは、つかさと二宮の関係性の察知が敏速で、二人の干渉になってはいけないのだという引け目の感情が顕著だった。その怯えや遠慮などから、彼女の繊細さが推知された。けれどその他方で、しずくには二度までよその家に厄介になる図太さ、ないしは厚かましさがあり、そのコントラストは、つかさには奇妙で仕方なかった。
「よかったら、おれたちと一緒にくる?」、と二宮が、今ふと思いついたのだろう、しずくに備わっていると推測される繊細さとは真逆の響きのする声調で誘った。つかさはその浅薄さへの不快さに渋面になった。
「いいんですか?」、としずく。
「あぁ、このお姉さんが宝物を持ってて、今から売りに行くところなんだ。きっと高値で売れるぜ」
「宝物?」
しずくはつかさの方に目を輝かせた。
「この人が勝手に言ってるだけで、わたしは宝物とは思わないけど」
つかさはあくまで否定的態度であり、渋々、ビニール袋より中身を取り出して見せた。いびつにゴツゴツした暗色の塊。宝物のキラキラしたイメージとは程遠いその外観に、しずくは、つかさと同じく疑わしくなったようで、訝るように渋い面持ちになった。
「まぁ、店に行ってみれば分かるって」、と二宮。
謎の物体について、二宮は確信を持っているようであり、つかさは大いに疑義があり、しずくは、半信半疑のようで、また興味があるようでもあった。
つかさは多数決のルールに従い、自身の意思はひとまず引き上げ、やむなく二宮の誘引に従うことにしたのだった。
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