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二宮が偶然手に入れた代物は、結局、かなり高い買取価格が店員から提示され、つかさたちはその高さに目が皿になった。たまたま拾ったものに対する価格としては、それは異様だった。二宮は、リュウゼンコウそれ自体よりは、それに相当する額の金銭の方に重きがあったので、リュウゼンコウは買い取られる運びとなった。
珍しいからと店員がスマホでリュウゼンコウの写真を撮り、その後、対価となる現金数十万円がカウンターに用意され、つかさと二宮は、テレビドラマなどでしか目にしたことのない積まれた札束にオロオロして、思わず凝視してしまった。
「持って歩くの? このお金」、とつかさ。
「近くにATM、あったっけ」、と二宮。
しずくはずっと、何となく気になっていたつかさとまた会えたことに、密かに喜ばしい思いでいたのだが、カウンターの上に置かれた、施設では持ったことのない一万円の札束の山を目にすると、何かゾワゾワと高揚した気持ちになってくるようだった。
率直に、彼女はお金が欲しかった。ある程度まとまったお金さえあれば、彼女にとって忌まわしいと思って蔑んでいる施設の外に脱する元手になると、まだ世間知らずの十四歳に過ぎない彼女は思っていた。しずくは内心、二宮の幸運のおこぼれに与れればと思っており、もちろんその思いは節制して態度には出さなかったが、彼女は物欲しげに、チラチラ彼等の顔を窺っていた。
数十万円の札束は、つかさたちの驚嘆や当惑とは裏腹に、物量としては割合少なく、つかさがリュウゼンコウを入れて持ってきたビニール袋にたやすく収まった。
彼等は骨董品買取店を後にすると、速やかに最寄りの郵便局のATMに立ち寄り、キャッシュカードによってつかさの口座に振り込まれた。ATMが預け入れされたお札を計数する時のシャカシャカという音が、その数にふさわしく長く続いた。
つかさは機械の前で手続きし、二宮は、荷物を梱包したりするために設置されたテーブルの前の椅子に座ってボーッとし、しずくは、つかさに対して少し距離を置いて佇んでいた。
つかさは、視界の端に映るしずくに気まずく感じていた。まだ十四歳に過ぎない子供の目の前で、あまり多くの現金を明け透けに見せるものではないという意識が彼女にあり、率直に、子供に対して、欲望が無闇に刺激されて悪影響が出るのではないかと恐れた。
「本当にいいの?」、とつかさは二宮に対して言った。「このお金、わたしの口座で預からせて貰って」
「いいよ」、と二宮。「その分は、だけど、おれとの共有財産」
「管理が邪魔臭いんだけど」
つかさが迷惑そうに言ったが、二宮はまるで聞かなかった。
「そうだ」、と二宮が思い付いたように言った。「この後そのお金で食べに行こうぜ。なぁ、しずくちゃん?」
二宮はそう言って、彼女に問いかけた。
つかさは牽制するように二宮を睨み付け、他方、問いかけられたしずくは、二宮に対して小振りに頷いて応えるのだが、彼女はすでに逃避願望を叶えてくれる金銭への妄執、ないしは俗念に囚われており、子供らしい素朴さと単純さで、二宮の後追いする恰好で何か値打ちのあるものを拾得し、金銭を得てみようという企みに、静かに燃えているのだった。
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