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回転ずしでの食事の後、二宮は、バイトがあるからと一人で帰った。残されたつかさとしずくは、彼が不在になったことに、どこかホッとするようだったが、同時に、二人きりになって気まずいようだった。
彼女等は、店舗の前の通りに立っていた。
「まだお昼だね」、とつかさ。
しずくは、間が悪そうに「うん」と返した。
つかさは、じっと立っていると暑くて仕様がないから、しずくに促して、取りあえずつかさのアパートの方へ歩き出すことにした。
「そういえば」、とつかさ。「今日はどうしたの? 聞く前に無理やり連れ回しちゃったけどさ」
「今日は……」
しずくは、言いかけたところで黙り、つかさは妙に思った。
「まさか、またわたしのところにお泊りするつもり?」
牽制するようなつかさの確認に、しずくは「ううん」、とかぶりを振った。「外泊は、施設にきちんと申請して通らない限り、もう出来ないの」
つかさは安堵するように、「そっか」と理解した。
「今日あそこに行ったのは」、としずくは、さっき言いかけて途絶した話題に再び触れた。「ただの散歩。何か、変に思い入れが出来ちゃってさ」
「あの公園でしょう? わたしにとっても、しずくちゃんとの出会いは思い出深いけどさ」
「あそこに行けば、またつかささんに会えるかなぁ、なんて思って」
「ということは、施設はわたしのアパートと結構近いの?」
「ううん。電車じゃないと来れないくらい遠い」
「じゃあ、しずくちゃん、わざわざ電車まで使ってあそこまで来たってこと?」
コクリと頷くしずくに、つかさはまず感心したが、同時に、『なぜ?』という疑念が湧き、当惑した。
彼女の情動を、しずくは敏活に推察したのか、「わたし、嫌われてるから」、と説き明かすようにこぼした。
ボソッと呟くようなトーンでその言葉は吐露されたが、つかさは聞き逃さず、彼女は、あえて返事せず、「家まで来なよ」、と勧めた。「施設のルールで泊めてあげることはやっぱり出来ないけど、少し遊びに来るくらいなら、多分、だいじょうぶだよね」
しずくは「嬉しい」、と率直に述べ、卒然と機嫌がよくなったようで、表情がやわらかくなった。
「ひとつだけ、聞いてみたいんだけどさ」、とつかさ。「しずくちゃんが、わたしなんか好いてくれてる感じなのは嬉しい。けど、わたしって、寂しくて冷たい人間だっていう自覚があるから、正直、困惑しちゃんだよね」
「ううん」、としずくはかぶりを振り、つかさの自嘲のこもった言葉に対して、温かい否定で返した。
「だからこそ」、としずくは続けた。「わたしは、つかささんのことが気になるんだと思う」
しずくの言葉には、揶揄や冗談の響きはなく、至って真剣であり、飾り気がなく、至純だった。
つかさには、しずくという人間が読めなかった。しずくは、普通の十四歳の少女ではないようだった。しずくの頭には、学校での部活や、勉強や、友人との関係や、好きな異性などの想念はほとんどなく、つかさにとって極めて謎めいた何かが占めているようだった。そのために彼女はフラフラし、同年の女子、男子ではなく、たまたま会ったつかさと、たまたま馬が合って慕うようになり、電車まで使って、近所まで散歩に来ているのである。
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