転生ナルト物語   作:ドロイデン

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修行 Ⅱ

 今日は秋道家に泊まるということになり、お世話になると頭を下げ、案内された客間から縁側に出ると、そばに落ちていた葉っぱを1枚取ってチャクラを放出する。

 

「ムムム……」

 

 風遁の性質変化の練習をしているわけだが、これが結構難しい。かれこれ3日ほどやっているが、傷をつけるだけでもかなり辛い。

 

「あれ、ナルト何やってるの?」

 

 と、いつの間に後ろからオレがやってるところを見ていたチョウジが不思議そうに聞いてくる。

 

「チャクラの性質変化、オレってば風遁の性質らしいんだけど、その鍛練だってばよ」

「へぇ、鍛練で葉っぱを使うの?」

「葉っぱにチャクラを流して、チャクラだけで葉っぱを真っ二つにするんだってばよ」

 

 そうなんだ~、とポテチを食べながら感心してるチョウジだったが、ふと思う。

 

「そういえば、チョウジは術の練習とかしなくていいんだってばよ?」

「いや?ただボクの術って使うとかなりカロリーを消費しちゃうから、普段はあんまりね」

「へぇ、てことはその『ふくよか体型』も術のためなんだってばよ?」

 

 オレの言葉にふくよか、とチョウジが首を傾げる。

 

「あー、昔の人って一般的に体が大きい子供のことを、ふくよかっていい意味で使ってたんだってばよ」

「え?そうなの?」

「オレもよく知らねぇけど、なんでも昔は食べ物に困ることが多くて、けど体が大きく育ってるってことは、つまり健康的に育ってるって見られてたらしいってばよ。だから、太ってるとは別らしいってばよ」

「ふくよか……いい言葉だね」

 

 まるで天啓を得たように眼を輝かせてるチョウジに、変なことを教えてしまっただろうか、と少しだけ後悔する。

 

「あ、でもふくよかっていうのはあくまでも健康的に育ってる場合だから、運動とか一切しないで食べてるだけなのは、太ってるってことになるらしいってばよ」

「そうなの!!」

「そうだってばよ。ポテチとか揚げ物とかお肉、油っぽい料理とか高カロリーなお菓子を食べすぎたり、運動をほとんどしないと、それはただのデブってことになるってばよ」

 

 その一言にチョウジは愕然とするが、変なことを言ってしまった責任は取らなければならない。

 

「……ナルト、少し組手の練習しない?」

「え、ちょ、チョウジ?」

「ボクは、ボクはデブじゃない……ちゃんと運動して、健康的で大きい体格のふくよかを目指す!!」

 

 まるで瞳が燃えてるかのように宣言するチョウジに、仕方ないと庭に立つ。

 

「ただい……お、チョウジ、どうしたんだ」

「父さん……これからナルトと組手するから、判定してくれない」

「……おいナルト、チョウジがいつになく真面目な顔をしてるんだが、何があった?」

 

 帰ってきて早々のチョウジの珍しすぎる言動に、怪しげに聞いてきたチョウザさんに今のやり取りを説明すると、チョウザさんは苦笑いしながらも納得していた。

 

「なんともはや……いや、焚き付けてくれたのはむしろ助かるが……なんというか、すまんな」

「いや、まぁ、こればっかりはオレが原因だから、ちゃんと真面目に相手するんで、よろしくお願いいたしますってばよ」

 

 任された、と少しだけ嬉しそうな表情で庭の中心に立つチョウザさんに、オレとチョウジが向かい合うように構える。

 

「ルールは術の使用一切禁止の純粋な組手、チャクラを使うことも禁止だ」

「つまり、チョウジの一族の術とかは来ないってことか」

「ナルトくんも影分身は禁止だからな。それでは……はじめ!!」

 

 チョウザさんが手を振り下ろすと、オレは前世のボクサーのように前後にステップして備えるが、チョウジはいきなりタックルをしかけてきた。

 

「あぶな!!」

 

 スウェーをするように回避しチョウジの背後を取ると、オレはチョウジの腰を抱えてブリッジ……いわゆるジャーマン・スープレックスのような形で叩きつけようとする。

 

「させないよ!!」

 

 が、直撃の直前でチョウジが両腕を地面に立たせて逆にオレを上空に投げ飛ばす。

 慌てて着地すると、今度はチョウジの拳が飛んでくる。が、

 

「遅いってばよ!!」

 

 パワー型のチョウジの腕を掴むことなど、三代目のじいちゃんとの組手と比べたら簡単で、パンチの勢いを利用して一本背負いを決める。

 さらにそのまま掴んだ腕を背に乗って締めようとするが、純粋なパワーで体を回すことによって外された。

 

「嘘だろ……」

 

 外された勢いで距離を取りながら思わず呟く。いくらオレとチョウジで体重差とパワー差があるとはいえ、ほぼ決まっていた絞め技を、あんな簡単に外せるものなのかと。

 

「ナルトくん、チョウジは基本的に優しい子だが、それでも本気で殴り合いともなれば同年代ではトップクラスだ。純粋な力だけならチャクラ無しでも下手な大人よりは上だぞ」

「マジかってばよ」

 

 チョウザさんのアドバイスに冷や汗をかきながら戦術を考える。あの巨体からの大振りな攻撃は、避けやすいが当たれば大ダメージ必須だ。かといって受けに回りすぎてもダメージは見込めないし、攻撃が当たるのも時間の問題だ。

 

「なら、足で攻める」

 

 今度はこちらからだとステップを絡めてジャブのように左手で打ち続ける。流石にチョウジもこの連続パンチを受けるのはマズいと考えたのか両手を上げてガードに徹する。だが、

 

「それを待ってたってばよ!!」

 

 ジャブを打つ瞬間、それを下からのアッパーカット気味の掌底突きにして顎を揺らし、そこから体勢を下ろして回転するように足払いで崩す。

 そこから流れるように背後に回り、首もとに飛び付いて両足で首を締める。変則的な四の字締めだ。

 チョウジもすぐに外そうとするが、事前の顎の掌底突きによって軽く脳を揺らしたこと、そして四の字締めで気道を締められたことによる酸欠でふらふらし始めた。

 

「そこまで!!」

 

 チョウジの異変に気付いた瞬間、チョウザさんの言葉が飛んでオレはすぐに締めを解いた。チョウジも締められたことで少し咳はしたが、ふらふらしていたがすぐに立ち上がった。

 

「凄いよナルト、ボク、全然攻撃が当たらなかった」

「いやいや、オレの攻撃ほぼ全部力だけで返しておいてそれはないってばよ」

 

 正直、一発でもマトモなパンチを食らったら大ダメージは必然だった。そういう意味では課題もわかる組手だった。

 

「そうだな、チョウジは攻撃が単調すぎた。タックルと大振りなパンチは確かに当たれば強力だが、避けられてしまえばダメージにならないどころか、自分の体力を減らすだけだ。ナルトくんのような細やかな攻撃も覚える必要があるだろうな」

「分かった……」

「逆にナルトくんは打撃技のレパートリーが少なすぎるな。手数の打撃、組技、投げ技、足技に絞め技と自分の持ち味を生かす戦いかたはできているが、どれも比較的受けに依りすぎてる。自分からしかけ、相手を一撃で昏倒させたり倒したりする技が無いのは、少し勿体ないだろう」

 

 チョウザさんの指摘に素直に頷く。実際ジャブと最後の四の字締めを除けば、完全に受け出し前提か崩しのための技しか使わなかった。というより、それ以外の格闘戦についてほとんど知らないからだ。

 

「とはいえ二人とも回避やガード、受け身といった体術の基礎はできている。そこは間違いない。だからこれからは自分がどのような体術を行うかの方向性を決めるのが良いだろうな」

「体術の方向性……だってばよ?」

「そうだ、例えばチョウジは術がありならば『倍加の術』で単純に重量やパワーをあげることができるから、その持ち味を生かす方向だろう」

 

 確かに、原作での『部分倍加の術』のように腕だけを巨大化して、それこそフックというかラリアットされるだけで簡単に吹き飛ばされるし、ガードなんてまず不可能だ。九喇嘛のチャクラを借りてギリギリかもしれない。

 

「ナルトくんの場合は……そうだな、いっそのこと何種類もの格闘技を学ぶなんてすると良いかもしれないな」

「な、何種類も?」

 

 まさかのアドバイスに驚くが、チョウザさんは頷いて続ける。

 

「そうだ、ナルトくんには『影分身』があるだろ?その影分身がそれぞれ別の形の格闘技で、それも連携する形で多数襲ってきたら、正直、並みの忍では対処するのが難しいだろうな」

 

 オレも『倍加の術』で全員凪払うぐらいしか対処が思い付かない、と真面目に教えてくれるチョウザさんに正直驚いた。

 

「なんていうか、いのいちさんやシカクさんとは違う意味で頭いいんだってばよ」

「ハッハッハ、流石にあの二人には頭脳では劣るが、前線経験だけは多いからな。どういう戦いかたの忍がいるかを何千人と見てきた故の経験から指導するぐらいならオレにもできる」

 

 簡単に言っているが、それがどれだけ難しいことかは教わらなくても分かる。その背中が語っていた。

 

「さて、二人とも汚れてしまったし先に風呂にしよう。目一杯食べて大きく、そして強くなるんだぞ」

 

 オレとチョウジは揃って返事をして風呂場へと向かった。

 なお、秋道家の食卓は想像通りというか、もはや相撲部屋の食卓風景といわんばかりの大量の大皿料理でテーブルが埋め尽くされ、自分の皿ですら完食するのがやっとの食いしばきが行われたのは言うまでもない事だってばよ。

 

(唐揚げが、唐揚げの山がオレのことを押し潰して……)

(ええいナルト!!夢にまで揚げ物を持ってくるんじゃない!!ワシまで胸焼けするわ!!)

 

 これがしばらく定期的に訪れるという事実に、オレも九喇嘛も別の意味で恐怖するのだった。

穢土転生(味方)にさせるなら

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