アカデミーの卒業試験当日、オレは何時もより少しだけ早く起きると、簡単に印を結んで影分身を出す。
「うん、問題なく出せるな」
それだけを確認すると術を解き、何時もの服に着替えてリビングに出る。
「おはようナルト。ずいぶん早起きだってばね」
キッチンでは慣れた手付きで朝食を作る母ちゃんの姿があり、テーブルには目玉焼きとベーコンの乗った皿と味噌汁が用意されていた。
「母ちゃんこそおはよう。朝食にしては早すぎな気もするけど」
「ミナトは大事なことがある日は何時もより早かったってば、だからナルトももしかしたらそうかなって」
「そっか」
席に着くと母ちゃんは茶碗に山盛りのご飯を乗せて置き、いただきます、と二人で挨拶して朝食を食べ始める。
「穢土転生って、食事とか睡眠とか、人として必要な行為が必要じゃなくなるのは感覚でわかるけどけど、やっばりこうして直接食べたくなるわよね」
「へぇ、じゃあ今の母ちゃんにとって食事とか睡眠って娯楽みたいなものなのか」
「そうね。死んでるんだから食べたり寝たりしても、体調が変わることもなければ、体型が変わることもないから本当に娯楽なのよね」
そう言いながらヒョイヒョイと自分の皿の料理を食べてる母ちゃんだったが、ふとなにかを思い出したようで、
「そうだナルト、今日の卒業試験、例年と少しだけ変わるらしいわよ」
なにやらそんなことを言い始めた。
「変わるって、分身か変化の術を先生の前で見せるだけじゃないの?」
「それもあるんだけど、なんでも今回は試験的になにか追加の試験があるらしいのよ。私は親だから事前に内容は知ってるけど、卒業試験を受けるナルトには聞かせちゃいけないのよ」
「……それ、追加試験があることも喋っちゃダメなんじゃ?」
「ここまでは伝えて良い部分らしいわ。だから、何があっても良いようにクナイとか手裏剣の類いは持っていった方がいいわよ」
母ちゃんのその言葉に頷くと、朝食を食べ終えてすぐにその準備を始める。
「といっても、オレが使えるのなんて本当にクナイだけなんだけど」
別にクナイが悪いってわけじゃないけど、リーチ的にはあって無いようなものなんだよな、と独り言を漏らし、
「……一応、念のために持っていくか」
まだマトモに使えない練習中の武器も一緒に持っていくことにした。
分身の試験を軽く突破したオレは、アカデミーの教室でその光景をぼんやりと眺める。
「お疲れ様、ナルトくん」
と、オレの隣に座るように日向ヒナタが声をかけてきた。
「お疲れヒナタ、そっちも無事に終わったんだな」
「うん、でも今日は追加で試験があるんだよね」
らしいな、と呟きながら教室を見渡す。
「ヒナタならどんな試験だと予想する?」
「うーん……組手とかかな?」
「そんなのはアカデミーの授業で散々やってきたし、態々試験にする必要無いだろ。ま、オレとしては、あそこでスカした顔してるサスケの阿呆と決着がつけられるなら有難い話だけど」
オレがわざと聞こえるようにそう言うと、案の定前方の方の机でダンマリを決め込んでたサスケがこちらに向かってくる。
「言ってくれるなウスラトンカチ、こっちもできるのならお前との決着をつけてやりたいくらいだ」
「言ってくれるねぇ、7勝8敗の癖に」
「何数え間違えてるんだ、お前の方が7勝8敗だろうが」
やるか、と言わんばかりにオレもサスケも睨み合う。
「でた、ナルトとサスケの喧嘩だよ」
「まぁうちのクラスだと組手試合のトップツーだからね。ヒナタも含めたらトップスリーだけど」
「けど実際、二人が本気で忍術なしの組手したら、僕ら誰も敵わないからね」
シカマル、いの、チョウジの三人が慣れた雰囲気で駄弁っているが、一部を除けばその他のアカデミー生は戦々恐々としている。いつ火蓋が切って落とされるかわかったものじゃないからだ。
お互いに視線を鋭くし、さぁ開幕としたとき、
「おいお前ら、着席しろ。これから追加試験の内容を話すぞ」
と、まるで見計らったようにイルカ先生が入ってきたため、オレもサスケも仕方なく矛を納めてそれぞれの席に戻る。
「さて、改めてこれから追加試験の内容を話すわけだが、内容を簡単に言うと『スリーマンセルによる宝探し』だ」
「……宝探し?」
クラスの全員が思わず異口同音で聞き返し、イルカ先生はその内容を話し始めた。
ルールは三人一組でチームを組み、演習用の森林で制限時間内にアカデミー教師が守る宝物……代わりの巻物を手に入れて脱出するというものだ。
「ただしチームは数分置き、一定の間隔で次々演習場に入るから、後々のチームほど不利になるぞ」
「イルカ先生質問、それって仮に別のチームが確保した巻物を奪ってクリアするのはあり?」
オレの質問にイルカ先生は頷く。
「勿論ありだ。だが原則として、アカデミー教師以外へのチャクラ攻撃は基本禁止、武器か体術だけで奪うように」
「ウッス……」
「そしてチーム分けだが、これから名前を呼ぶ4人がリーダーとなって欲しいメンバーを引き抜く形式だ」
その一言に周りがざわつく。
「イルカ先生、そりゃ誰を引き抜いてもいいんすか?」
「勿論だシカマル。ただし、今回は『猪鹿蝶』で組むことは禁止であり、かつ必ず一人くノ一を加えること。これさえ守ればどう組もうと文句はない」
その一言にシカマルの表情は曇った。まぁこういう試験で『猪鹿蝶』を組まれたら絶対に勝てる気がしないから、それを封じてくるのは当然ながら予想できた。
「さて、それじゃあリーダーを発表する。奈良シカマル、油女シノ、うちはサスケ、そしてうずまきナルトの四人だ」
四人は前に出るように、そう言われてオレや呼ばれた全員が前に出る。
「それじゃあ4人はこの紙に互いに見えないように欲しいメンバーを書いてくれ。被った場合はじゃんけんで勝った方な」
「その前に、お前ら、最初はくノ一を選ぼうぜ。そうしないと結果的にもう一人選ぶのが消去法になっちまうし」
そのシカマルの言葉にオレ、サスケ、シノの三人は頷いた。
(さて誰を選ぼうか)
個人的な候補はいのか、ヒナタだ。どちらともにやれること、やりたいことがわかっているだけに悩ましい択だが、とはいえ、
(ここはヒナタだな)
いのには大変申し訳ないが、心転神の術は今回に限って言えばあまり役に立ちそうもないし、ヒナタの場合は前衛としての格闘戦と、白眼をいかした感知による支援の両方ができるヒナタの方が安牌だと言える。
そう思いヒナタの名前を書き、イルカ先生に提出する。
「さて結果は……奈良シカマルが春野サクラ、油女シノが山中いの、うちはサスケが山中いの、うずまきナルトが日向ヒナタ」
どうやらシノとサスケが被ったようでじゃんけんの結果を確認すれば、
「……というわけで、山中いのは油女シノのチームに確定だ」
サスケがなんとも悔しそうな表情でクラスメイトのくノ一を宣言し、オレも最後の一人を選ぶ。
(とはいえ、キバかチョウジか……正直どっちもどっちなんだよな……)
どっちもタイプは違うがパワー主体の超攻撃型で、こうなると決め手が欲しいところだ。
そう思ってふと視線をそちらに向ければ、なぜかチョウジが期待の眼差しでオレのことを見ていた。いやなんで?
(……まぁ悪くはない、か?)
手数のオレ、支援のヒナタ、そして一撃必殺のチョウジ、後方支援能力だけは皆無だが、役割分担としてはしっかりできている、筈だ。
そう思ってチョウジの名を書いて提出すれば、意外なことに被りはなく、キバはサスケが獲得し、シカマルとシノはオレとあまり関わりの無いクラスメイト二人を入れてチームが決定となった。
ナルト班のメンバーは
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原作通り
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オリジナル